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【ライブレポート】2020/11/9 Rhythmic Toy World 11周年記念無料配信LIVE《 STAGE 2020 》

Rhythmic Toy Worldの結成11周年記念無料配信ライブをアーカイブにて鑑賞いたしました。チャットは閲覧できなかったので配信時の視聴者の盛り上がりなどはわかりませんが、ライブそのものを観た感想をまとめていきたいと思います。…いや、まとめというより垂れ流しですね…それではどうぞ。


彼らの本拠地である渋谷CLUB CRAWLでのフロアライブとなった11周年記念ライブ。ハコ内各所に関連するバックドロップが貼り付けられ、メンバー4人が円を作るように向かい合ってスタンバイしています。

「来たぜ来たぜ来たぜ来たぜ!」

うっちーこと内田直孝(Vo./Gt.)がはちきれんばかりの笑顔で嬉しそうに叫び、さっそく1曲目『描いた日々』でライブは幕を開けます。これぞ配信の醍醐味のひとつともいえる、うっちーの顔面アップが画面いっぱいにどどん!と展開。普段のライブハウスでこんな画を観る機会はありません。エッジの効いたきっちゃんこと岸明平(Gt.)のギターサウンドが飛び出せば、磯くんこと磯村貴宏(Dr.)は凛々しい表情でドラミングしながらエア熱唱。この曲ではおなじみでもある、間奏時の四拍子指揮を繰り出したのはもちろんすーさんこと須藤憲太郎(Ba.)。いつもならフロアの観客も一緒に指揮する、リズミックライブの名物シーンが早くも登場です。

1曲目から“ライブは俺らと君らで作ってる”感のある構成で視聴者を引き込むと、「始めようぜ!」といううっちーの号令から『HAME』へ。激しく色を変え、点滅する照明がその存在感を見せつけてきます。ロックバンドとしてのエネルギーが光の力を借りてさらに増幅していく感覚。勢いそのままにアウトロから繋いで『十六夜クレーター』。

イントロの美しいギターが高らかに鳴り響き、そこからサビ前まで歌声と3人の楽器による4つの音のコンビネーションが展開。うっちーのギター音が消えたことでよりシンプルに3人の音が届きます。曲後半ではすーさんの煽りが炸裂。

「ありがとうみんな!」
「画面の前のみんな!」
「いくぞ!声をくれ!」
「俺まで届けーーー!

無観客ライブでなんといっても難しいのが、フロアとのコミュニケーションが取れないこと。ライブバンドであればあるほど、このハードルとの付き合い方は悩んだのではないでしょうか。画面を見ている視聴者に向かって語りかけたり叫んだりしても反応はありません。というか反応を感じることができません。だからといって言葉や思いを伝える際に照れやためらいがあったら観ている側はしらけてしまう。そのあたり、とても難しいと思うのですが、すーさんの叫びはやっぱり本物でした。滑舌は確かに悪いものの、その気持ちはちゃんとこちらに届いています。(以前よりは聞き取りやすいような?)


最初のMCブロックでうっちーは、11周年について彼らしい語り口で話します。

「11周年を無事に迎えることができました」
「本当に皆さんのおかげです」
「11年を迎えたってことは次20しかないから」

「10周年だったらきりがいい」
「11周年になっちまったの」
「船は漕ぎ出しちゃったわけ」
「もう20年という港にたどり着くまでは」
「みんな降りられないからね」
「降りたら途中で海の藻屑よ」

「ここにいるチーム、スタッフさんは」
「俺たちの20年を一緒に迎える覚悟でここにいると勝手に思ってるんですけどいいでしょうか?」

コロナ禍ということでスタッフさんたちは声を出せない代わりに、足を踏み鳴らすことで意思表示をし、「天井からホコリが落ちるほど」(byうっちー)のリアクションで改めて一致団結。「11周年、今の俺たちを楽しんでいってください」という言葉でこのブロックを締めくくって次の曲『いろはにほへと』へと続いていきます。


きっちゃんとうっちーによる向かい合っての競演でイントロから盛り上がり、すーさんのステップワークもカメラはしっかり捉え、観ているこちら側のテンションも爆上がり。思わず踊りたくなる瞬間が何度も訪れます。曲終わりでの《ほへとほへと~~~》では約19秒にわたるロングトーンを披露するうっちー。さすがです。


続く『波紋シンドローム』では冒頭ですーさんの「イェイイェイイェイイェイ!まだ始まったばかり!今日は祭りだよ!祭りだよ!祭りだよ!わっしょいわっしょい!」という、エンジンかかりすぎて言葉が言葉を追い越すような雄叫びも。

ギター控えめでベースがめちゃくちゃ心地よく響くパートがあったり、エフェクターを駆使してギターがまるでキーボードのような音色を生み出したりと、演奏面でのごちそうがたっぷり。テクだけでなくそこにしっかりと熱が乗っかっているのが彼らのライブでもあります。


『絶対領域』はクールなABメロと情熱的なサビの対比が面白い曲。その対比は音だけにとどまらず、彼らの表情やアクションにも表れています。また、間奏で改めてカメラにフィーチャーされる各メンバーのパフォーマンスも見どころのひとつです。


2度目のMCブロックでは、FCライブで実施された私物プレゼントスクラッチ企画にて、商品の見直しが検討されたことに触れ、改めてどんな私物を出すのか、という話に。今回新たに発表されたのは以下の通り。

内田 ギターのチューナーとギターストラップ
岸  Tシャツと『ネバギバ』PVで着た衣装
磯村 練習用スティックケースとドラムシューズ
須藤 大学から使っていたTシャツともう一枚Tシャツ


MCで一度平常に戻りかけた視聴者のハートに火をつける、後半戦オープニング曲は『フレフレ』!
うっちーが「大好きな歌」という一言を添えて始まったので、その瞬間心の中で(俺も大好きな歌!)と呟いてました。

自身のギター音のみを携えひとり歌ううっちーと、誇らしげに右手を上げる3人の構図はまだ冒頭ですがこの曲のハイライトのひとつ。めちゃくちゃカッコいいし、3人のうっちーへの絶大な信頼感がよく表現されている気がします。

かみしめるような表情を浮かべるうっちーや爽やかな笑顔でドラムを叩く磯くん、そしてきっちゃん&すーさんの手元、指さばきも堪能できるスイッチングも楽しい。

《もう一回もう一回もう一回…》と歌うパートをカメラの向こうにいるファンに促し、一方的な配信ライブではないということを改めて感じさせてくれる瞬間もありました。


「もっと行ける?もっと行こうぜ!」といううっちーの煽りから『BOARD』。イントロで再びきっちゃんとうっちーが向かい合ってのパフォーマンス。

歌いだしの《飛び立てGO!》で、そこにはいないはずの観客たちが拳を上げる画が頭に浮かんできてしまう。配信だけど、無観客だけど、フロアにいるファンの姿が見える…それがRhythmic Toy Worldのライブ。4人が皆楽しそうな顔をしているのが何よりも嬉しい。


「みんな最高、ありがとう」
「俺らこれからもガンガン進んでいくから」
「マジみんな一緒にいこうぜ!」
そんなすーさんのアジテーションから『CTOC』。

個人的には2020年にリリースされたリズミックの曲の中でいちばんキャッチーだと思っていて、もうイントロから心掴まれてしまう。3か月連続デジタルリリースされた曲たちはまだ実際にライブハウスで聴いたことがないから、いざ現場で体感したら自分はどんな風にこの曲を楽しむんだろう、と想像しながら味わいました。

画面サイズが似合わない、遠くまで届くようなスケール感のある楽曲です。

ここで3度目のMCブロック。ライブをやることの楽しさをかみしめるメンバーたちですが、うっちーはスマホをいじりだします。それをメンバーにつっこまれると、これが今のスタンダードだから、と開き直る。とはいえ実際、配信ライブが当たり前になるとこうした光景もよく目にしましたね。ネット上に投稿されたライブへの感想コメントをライブ中のメンバーが読み上げる図。

こうすることで、ステージとフロアでのコミュニケーションとは似て非なる、画面を隔てたあっちとこっちによる新しい共有の仕方を手に入れたといいますか。

ひとつひとつのコメントを拾いまくる磯くん、そしてすーさんのふたりをカメラが捉え続けていると、突然画面の外からピアノの音が流れ始めます。カメラが切り替わると、そこにはキーボードを弾くきっちゃんの姿が!

「紹介します、新メンバー、キーボード・キシミンペイ!」とうっちー。ここから少しトーンが変わって、キーボーディスト・きっちゃんの伴奏に乗せ、こう続けます。

「大切に伝えたいこと、ありまして」
「2020年、こういう世の中だからこそ」
「いっぱい曲を作って世に出すことができました」

「ただ作るだけでは世には出なくて」
「その曲を待ってくれてる人がひとりでもいるなら届けようと」
「そういう気持ちでたくさんの人が力を貸してくれて」
「自分たちの大切な曲が2020年も世に出ていきました」

「あと一曲、まだ2020年、出したいなって」
「最後を締めくくるというか」
「大切な人を思う、そういう曲を作りました」

そして、すでにライブではお披露目されていた名曲『犀日』が11月28日にリリースされることが発表されました。

「大切な人に思いを届ける、そういう楽曲です」
「俺たちもいままでのかたちにこだわらず」
「新しいかたちで最高の状態でみんなに音楽を届けたいなと」
「そういう一心で今ここに立っています」

「みんなに届くように」
「君の大切な人に届くように歌います」

《君は僕の幸せだよ》という歌いだしで始まる、まさに“大切な人に思いを届ける”一曲です。いつもは美しいギターを奏でるきっちゃんがこの曲だけキーボードを演奏。鍵盤が入ることで今までのリズミックとはまた違うかたちで心の琴線に触れる楽曲になっている気がします。足りないギターをサポートとしてbivouacのナオヤくんがカバーし、サウンド面での強化も図っているステージ。皆が曲の世界に入り込んでいて、気持ちが伝わってくる演奏です。


最後となるMCブロック。

まずは『犀日』について、少しはにかむような表情で語るうっちー。
「Rhythmic Toy Worldとして」
「こんなにもストレートでバラードなラブソングは7年ぶりくらいかな?」
「それくらい大切にラブソングをというものをしてきて」

「今、俺たちの大切な人に、君の大切な人に思いを届けたいなと思って」
「このタイミングで作りました」
「ぜひとも大切な人と一緒に聴いてください」


ここからラストに向けてスイッチを入れるようなMCに切り替わります。

「今もこうやって今日もこうやってライブできてるけど」
「もしかしたら次いつできなくなるかもわからない」

「だけどそんなこと考えてる暇なんてなくて」
「俺達にはやっぱり今しかねえから」
「今日しかねえから」
「明日のための今日しかねえから」
「そのために俺たち歌ってるし鳴らしてる」

「だけどきっと約束なんてものは」
「誰かと比べるもんじゃなくて」
「俺と君がしっかり手を握ってちゃんと約束してれば」
「マジでそれだけでいいと思ってる」

「だけどうちのバンドは俺が歌ってるからって」
「他のみんな声出してないからって」
「俺だけに任せるような奴らじゃないの」
「俺に思いを託して」
「俺たちのメンバーみんなも君と約束がしたい」

「君らしく、俺たちらしく」
「そういう生き方したいよね」

「何度でもここで約束するよ」
「そういう歌を届けます」

ずっとカメラをまっすぐに見すえて、その先にいるファンに向かって語り続けたうっちーは、最後にこの言葉を告げます。

「魔法の言葉、Cheki-Cheki」


個人的な思いにはなってしまうけれど、この曲のことが大好きな友達の顔が浮かんでくる。なんだかんだで6年くらい彼らのライブを観ているとフロアに知った顔も増え、SNS上でも知り合いが増えてきます。そんな友人知人たちひとりひとりにとって大切な曲があり、曲と誰かが紐づいている。コロナでライブハウスに行く機会も減り、皆が集まることもなくなりましたが、たとえ配信でもひとたび曲が奏でられれば、誰かの顔が浮かぶ。会ってないのにそこにいるような気分になるのはとても不思議な体験です。


あらためて『Cheki-Cheki』のパフォーマンスに目をやれば、地声とファルセットを自在に行き来するうっちーの凄みに圧倒されます。さらっとやってしまうのがまた凄い。

笑顔が弾けるうっちー、笑顔があふれるすーさん、そして笑顔がこぼれるきっちゃん。3人それぞれの笑顔の出方も面白い。対照的にややクールな表情が多い印象の磯くん。ライブハウスで観る磯くんはいつもニコニコ笑顔でドラムを叩いている記憶があったので、ちょっと新鮮に感じました。


『ライブハウス』はラストスパートとしてさらに熱量が加速。

《ライブハウスのドアくぐって》
《仲間がいて笑い合って》
《音が鳴り響くのを待っている》

の歌詞が刺さる。こんな状況下だからこそ、ライブハウスで聴くのとはまた違った感情が沸き起こってきます。

再びbivouacのナオヤくんがサポートギターで参加。いわゆる正式なサポメンとしてバンドに加わっているというわけではなく、通常のライブならアンプの裏とかステージ袖等、観客の目には見えないところで弾くギター、という位置づけになるのでしょう。ところがカメラはしっかりとナオヤくんを捉える…どころかきっちゃん、すーさん、うっちーとの4ショットでめちゃくちゃ楽しそうにプレイしている姿が映し出されます。

こういうところがチームぶっちぎりの面白さ、そして魅力だなあとニコニコしながら観ていました。スクショで残したいくらいいい画。

きっちゃんやすーさんだけでなく、磯くんも楽しそうな笑顔を浮かべています。


うっちーからも
「最高だなおい」
「楽しいなあおい」
なんて言葉が漏れてしまう、そんな時間と空気を一変させたのが、次の曲『僕の声』。

冒頭の《待ってたんだよ》で文字通り一瞬にして空気が変わるんです。改めて破壊力のある凄い曲だなとしみじみ感じました。

すーさんときっちゃんのステップワークも堪能できて嬉しい。誰よりも汗をかいているうっちーの全身全霊なパフォーマンスにもグッときます。こんな人に《君よ頑張れ》と歌われたらそりゃもう頑張るしかねえ。

「待ってるよ」
「いつでも君と一緒に歌える日を」
「また、会いましょう!」
「ありがとうございました」
最後の挨拶を経て、ラスト『VITE』へ。

《君に会えない日が どれだけ続いても》
《笑い合える日が どれだけ遠くても》
《唄を歌うよ 距離は時間は心だ》
《全権限はこの手の中に》
《自由自在に変えてくさ》

コロナ禍というタイミングだからこそ生み出されたということを象徴するような歌詞に、この半年のいろいろを思い出しながらの鑑賞。

演奏ラストでの各メンバーのやり切った表情がとても印象的でした。4人それぞれが楽器を置き、去っていく。画面は「ご視聴ありがとうございました」という配信ライブではおなじみともいえる終了画面に切り替わります。


しかし。

ここから数分後にまさかのアンコールが始まりました。本編終了から配信再開までは約5分くらい。リアルタイムで観れていなかったので詳細はわかりませんが、チャット等で「あそぼーやコール」(※リズミックではおなじみのアンコール)が起こったのでしょうか。もしそうなら、ライブハウスでいうところの客電がついた状態で5分もコールを続けるファンも凄いし、それに応えて配信ライブでアンコールやっちゃうリズミックも本当に頭が悪いなと思います(褒めてる)。

アンコールでの演奏開始直前にうっちーが「とりあえず思いのまま、パッションで届けよう!」と場をまとめつつ「ツーカウントで入っていいの?」なんて確認している様を観ると、ほんとに全くの予定外の延長戦だったのかな、という気がしますね。


正真正銘、最後の曲となったのは『とおりゃんせ』。綿密な打ち合わせもなかったであろう状況でも楽しそうに歌い、演奏するメンバー。そしてキッチリと対応してプロの仕事をする音響、照明、カメラチームたち。こういう姿を観ると、バンドメンバーだけでなくチーム全体に対して、アンコールに応えてくれることのありがたさというものを痛感します。

嬉しいサプライズの余韻を味わう中「今宵の宴はこれにて終幕!」といううっちーの号令をもって【Rhythmic Toy World 11周年記念無料配信LIVE《 STAGE 2020 》】は終了しました。

配信ライブが始まってから何度も書いている気がしますが、またいつかみんながライブハウスで楽しめるよう、それまで健康にじゅうぶん気をつけて、その時がきたら笑顔で再会しましょう!


セットリスト
01.描いた日々に
02.HAME
03.十六夜クレーター
04.いろはにほへと
05.波紋シンドローム
06.絶対領域
07.フレフレ
08.BOARD
09.CTOC
10.犀日
11.Cheki-Cheki
12.ライブハウス
13.僕の声
14.VITE

Enc.
15.とおりゃんせ

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