ESP Instituteでアルバム、リリースしてみて思うこと

そんな訳で、ニューアルバムがESP Instituteからリリースしました。

リリースしてみて「やった!」みたいな気持ちは、正直、全くなくて、
「さて、ここから、今後、どう活動して行くかな...」
という不安の方が大きいです。

一応、今年後半、EPが別名義含め5枚くらい、アルバムももう1枚リリースするので、2019年に「和楽器+テクノ=ワテクノ」と題してから3年目にして、過去最高にリリースするのですが、安泰みたいな感覚も全くないです。

別名義SuemoriのOsare! Editionsでのアルバムにせよ、今回のESP Instituteのアルバムにせよ、コロナの影響で半年以上延期したりで今月リリースなので、今年、果たしてどの程度、成果を出しているんだろう、という感覚もあります。
Suemoriの方も下記リンク貼りましたので、試聴いただければ。

項目をいくつかに分けて、書ける限りで、今の心情、出来る限りのクリティカル・シンキングが出来れば、という具合です。


1.7年前のデジャヴのようだ

私は2014年7月にBoysnoize Recordsから"Barcelona"という1stアルバムをリリースし、その4ヶ月前にBNR TRAXでExtraというEPをリリースしました。

今回も4ヶ月前に"Karakuri / Michinoku"というEPをリリースし、そして、今回のJomonというアルバムをリリースする運びになり、強引かもしれないですけど、デジャヴのように感じたりもします。
ちなみに1月に出たEPは下記に貼っておきます。


7年前との違いは何かと言うと、
「レーベル所属意識の違い」
かと思います。

7年前は
「やった、これで自分はBoysnoize Records所属だ」
みたいに思っていました。
今、思うと、これが自分の敗因だったなぁ、と。

今の自分はどこかのレーベルに「所属している」という感覚はなくて、あくまで「自分固有の音楽を出してくれるレーベルを探す」というスタンスです。

7年前は、そのレーベルに合わせるという意識が強すぎたかもしれないです。

あと、株で言うと、Boys Noizeに全額投資している状態なんで、危険すぎる訳です。
しかも、2014年ってエレクトロという音楽ジャンルが落ち目だった訳で、明らかに衰退している会社の株を全部買うという暴挙でした。

そして、2014,2015の2年間、他の可能性を探るという行為を怠ったために、この時期にESP Instituteでリリースする可能性も探れなくもなかったかな、とか思うのです。

なので、最近はリリースが決まっても喜ぶというよりは、自分の出来る範囲でシミュレーションをして、
「このレーベルでリリースしたら、大体、こんな感じになるだろう」
という想定をして、やっている自分はいます。


2.ブルーオーシャンなのかもしれない

今回のアルバムはリリースするまでに時間が掛かりましたし、何曲かは3年前に作ったりなんで、3年間のワテクノの集大成なんですが、一方で「Jazz/FusionとHouse Musicの融合」みたいな側面もあったかな、と自分では見ています。

なんだか、言葉にすると昔から誰かがやっている感じもあるんですが、今回の曲で言うと、Shin SekaiやTanabata Monogatari、Yamatouta、Hane no Utaあたりって、自分の過去のリリースの中でもJazz/Fusion要素が強く、基本、サンプル使わないで、自分でMIDIだったりで打ち込んで作っているので、特殊な気はします。
Fender Rhodesのソロとかまで打ち込むんで、16小節のソロを時間を掛けて打ち込んでいる訳です。

学生時代にJazz/Fusionをバンドでやっていて、ベース弾いてたんですが、とにかくアドリヴが苦手だったんですね。
苦手は言い過ぎかもしれないけど、いつまで経ってもジャズで自分が弾きたいようなソロが弾けない訳です。
一方でMIDIで打ち込むのは大好きで、Shin Sekaiで打ち込んだようなキーボードソロを弾いて欲しいなぁ、とか考えながら作るのは好きです。

なので、自分は今のところ、Jazz方面に行くって感じではないかな、と思っています。
前回だか書いたように現在のJazzってTeeth Agencyをはじめ、良い具合のが沢山あり、生楽器でライヴを主戦場にやっている訳で、自分の場合は生楽器は全く使わないし、ライヴって言われても...って感じでDJギグがメインかな、と。

で、一方で、クラブ要素に話を持って行くと、おそらく、自分みたいにJazz理論とか、Chick Coreaを浴びるほど聴いて勉強して、自分の血肉にラヴェルとかから脈々と流れるような和音感覚を持っているDJ/Producerってほとんどいないと思うのです。
Juju & JordashのJordan GCZが近いかな、って思う時はあるけど、彼もキーボーディストだし、、、よくよく考えると自分はベーシストだけど、何と言うか、楽器を弾く人って感じでもないし、いわゆるDJ/Producerって立ち位置でもないし、謎なポジションでやっているのかな、と。

そう考えて行くと、ある種、「ブルーオーシャン」というか、Jazzでもないし、もろにClub Musicでもないし、って立ち位置で独特なんだと思います。

そして、「日本の音楽」とかOsare! Editionsでのアルバムで繰り広げられる「和楽器+Electronic」なテイスト以上に、今回の「Jomon」で繰り出した音楽の方が独特なのかもな...ただ、これは時間が経過してみないと分からないかな、というか。
先日、boomkatでのSuemoriのレビューを見たんですが、
"Think Foodman meets Meitei for an esoteric ritual that will only make sense when you’re dancing along to it."
とあり、その辺と比較されるんだな、なんて思いました。
自分的にはその辺の意識で和楽器を使って音楽を作っている訳ではないし、あと、「日本の音楽」の時もSugai Kenさんと比較されたりしたんですが、そもそも、あのアルバムを作っていた頃って、Sugai Kenさんの音楽すら知らなかったので。
ただ、レコードショップとしては、イメージしやすい類似したアーティストをリストした方が売り上げに繋がるとは思うので、そうなるのかな、と。

YOUTHやAlien Jams、そしてこのOsare! Editionsでリリースしたような音楽性も続けて行くというか、たぶん、まだ結構な量の未発表曲があるので、リリースは続けると思うんですけど、名前の挙がったお三方とも違う活動かな、とも思っていて、今後の流れ次第ではあるんですが、今回のESP Instituteのアルバムのような音楽性というか、クラブ要素強めの方向性が主体になるかもなぁ、なんて若干、他人事のように思いました。
具体的には、4月に南米のオンラインフェスで出演した時のDJが現状のベストかもしれないな、なんて。

やっぱり、10年以上、クラブミュージックをリリースしてきたので、DJをクラブでやって、とか、海外の有名DJが掛けたくなるトラックを作るとか、そういう方が特技で、Electronicもそうだし、Ambient/Droneあたりになると、自分の曲の出来以上に、比較対象が多過ぎて、その中でone of themになるかな、なんて思いまして。

と、なんだか、今回は、結構、心の内を書いたように思いますが、誰かの活動の参考になれば(これは音楽に限らずですが)幸いです。

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