見出し画像

New Album "Leave Behind" リリース



1.リリース詳細


12月1日、今日、ニューアルバム"Leave Behind"リリースしました。
下記リンクからSpotify, Apple Music, Bandcampなどでチェック頂ければ。

まず、このアルバムをリリースしてくれたレーベルClipp.Artに感謝です。
正直、この作品を出してくれるレーベルが見つかるか不明で、VinylはおろかDigitalでも出せるレーベルあるのかな、と思ったので。
このアルバムがVinylで出ることは現状ないです。
あと、アートワークは初めて自分の写真を使いました。
これは私からレーベルに希望して、その中からレーベル側が写真を選び、彼らのいつものやり方で黄色い枠を使って表現したというところでしょうか。
Bandcampのアルバム紹介文(英語なので、DeepL翻訳などで日本語で訳して読んでもらえれば)にもあるのだけど、自分はこの作品を最後にこの世を去っても後悔ないかな、という作品を出せたと思っています。
もちろん、今も新曲を作っているし、12/23に八王子リトモスという場所でライブをやるのですが、そこでやる曲の大半はこのアルバムの中に入ってない新曲なんだけど、自分自身を表明すると言う点で、このアルバムは出せて良かったな、と思っています。
5年後10年後に自分のリリース歴を振り返った時に、このアルバムは、Miles Davisで言うと"Miles In The Sky"だったり、Weather Reportなら”Black Market”、The Beatlesなら”Rubber Soul”、ドストエフスキーなら「地下室の手記」、カミュなら「幸福な死」あたりに共通しているかな、と現時点では感じます。

前回の投稿、同様、アルバム収録曲を解説していきます。
これは、備忘録的な側面もありますが。
10曲のうちM7"Landscape"とM9"Amanojaku"は解説済みなので、残り8曲を書いてみます。
お付き合い頂ければ。

2.楽曲解説

1.What Can We Leave Behind In This World
(この世界に何を残せるか)

この曲を作り始めたのは2022年9月12日で、完成したのが9月14日です。
ただ、3日で仕上げた割にアレンジというか、ギターやピアノの音を付け加えるのに結構、骨が折れた記憶があります。
この曲が作れたことが自分の音楽人生にとっては大きかったと思います。
この曲によって、それまで5年くらいやっていたワテクノ(和楽器+Electronic)をBandcampのレーベルの紹介文を借りれば「放棄(abandoning)」したと言えるだろうし、もっと言ってしまえば、2008年から15年くらいやっていたDJ/Producerとしての活動も放棄してしまうかも、そんな1曲になったと思います。
別にDJをやめるつもりはないのだけど、この曲が作れたことで、2006年ころに自分が思い描いていたことをやり遂げたかなと思いまして。
当時、KasabianのClub Footなんかを聞いていて、
「こういうロック作ろうと思ったら、クラブミュージック にある程度浸かってないと作れないかな。16分音符の感覚とかが特に。」
みたいなことを思って、それがキッカケで当時流行っていたJusticeとかKlaxonsとかを聞いて、どんどんDJ/Producerの方向に行っていたのだけど、遂に自分が戻ってくる時が来たのかな、と。
もちろん、2006年の時と今では自分の感覚が違うし、「戻る」と言う言葉は適切ではないのだろうけど、Vocalをやるとか、Bassを弾くとか、15年くらいやっていなかったことを再開するのは間違いないわけで。

で、この曲の構造的なことをについて触れると、
まず、アルバムタイトルが"Leave Behind"でこの曲で始まると言う構成が、なんだかJimi Hendrixの"Are You Experienced"なのか、もしくはKing Crimson周辺あたりのRockなのか、なんだかそういう構成美のようなものの影響は実はあったりするのかな、とか思ったりします。
この曲のビート感にしても、Jimi Hendrixの"Wind Cries Mary"とかDonovanの"Hardy Gardy Man"あたりの影響は知らず知らずのうちにあるかな、と思う。
ライブでもこの曲はやる予定なんだけど、ベースラインをアレンジしていると、だんだんMotownのような感じというか、たとえばOtis Reddingの"Dock Of The Bay"とか、あんな感じのJames Jamerson的なものも顔を出してくるわけで、自分が人生で影響を受けてきた色々な要素が色々と出てくるのが面白いかもしれないです。
アレンジについては、Radioheadのアルバム"A Moon Shaped Pool"の影響が強いかもなと。
今回のアルバムって別名義Suemoriでリリースした"Tawamure"ってアルバムの延長に属している曲もあるかもしれないです。下記に貼り付けておきます。

このアルバムのタイトル曲の"Tawamure"が、自分なりのThom Yorkeあたりへの賛歌は言い過ぎにしても、自分なりによりアカデミックとか芸術性を出そうと言う渇望があったんではと思います。
それが2020年の11月で、あの時はこの"Tawamure"を作ったことが、自分の中ではエポックメイキングなところがあったのかなと。

あとはVocalを入れられるようになったことも大きいです。
この曲の後半でファルセットで歌っていて、それはテキトーに歌ったものをあとでLogic ProのFlex Pitchで編集してこういう形にしたのだけど、このファルセットの感触は、Curtis MayfieldとかLenny Kravitzあたりの影響が大きいかもしれないし、もっと別の誰かかもしれないし、という感じでしょうか。

構造はこのくらいにして、タイトルで言うと、本当、タイトルどおりで、「この世界に何を残せるか」というのは、昨年くらいからだんだん考えていることなんだと思います。
DJ/Producerとして考えると、「今」というのが重要で、私と長く付き合っている人であれば「今」という言葉を事あるごとに言っていたのを覚えているかもしれないです。
ただ、今の時点では、「今」売れるとか評価されるよりは、しっかりと作品を残せるかの方が重要に思うし、その変化もあって、この曲があるのかな、と。


2.Essence (本質)

この曲は2022年9/15に作り始め、その日のうちに仕上げました。
歌詞は、普段書いている日記から取り出したものです。


(歌詞)
While I spend time on things that don't matter, I lose time thinking about my true essence.
どうでも良い事に時間を費やしている間に、自分の本質を考える時間を失ってしまう。
What does it mean to say “success?”
「成功」と言うのはどういうことだろう?

If my life is enriched, that would be one correct answer or a form of happiness.
自分の生活が潤えば、それが一つの正解というか、しあわせの形になるだろう。

But I don't know if that's what I'm asking for, and what is my intention?
しかし、それを俺自身が求めているのか分からないし、俺の意思とはなんだろう?

Self-will is born from a terrible lack.自己の意思とは、おそろしく欠乏したところから生まれる。

That's what my experience has told me.
そのようにオレの今までの経験は言っている。


Bandcampのレビューに、
"In a year we lost the great Japanese musical icon Ryuchi Sakamoto, this tune comes as a soothing balm to your humble narrator. It’s a song I could imagine the great man himself nodding along to."
とあって、坂本龍一氏が出てくるのは恐縮なんですが、このアルバムの中だと彼の影響が1番強いかもしれない曲です。少なくともこのアルバムで1番Electronic/Ambientの類に属するかもな、という。
曲の内容については、歌詞にすべて委ねてもらおうと思うのだけど、Vocalのやり方は、Thom Yorkeのアルバム"Anima"の影響もあるのかな、、、ただ、自分がこういうことをやると、Marvin Gayeの"I Want You"とかFrancoise Hardyの私小説(たぶん"Message personnel"ってタイトルのアルバム)の影響が強いかもしれないです。

3.Toukai (東海)

この曲は2022年9月6日に作りました。
M10の"Alone in A"を除くと1番最初に出来た曲ってことになるのかな。
元々はピアノトリオでもやれる曲を目指して作ったように思えるんだけど、ライブでやることはないのかなっていうw
サウンド的には、2022年9月20日にNous Disquesで出した"Hototogisu"って作品に近い要素があるとは思うのだけど(特に"Gunkei")、ただ、何であれ、ピアノトリオでやろうと思ったとか、シンプルに作ろうと思った時点で、次の時代に繋がる曲だし、Toukaiを作った結果、"What Can We leave Behind In This World"のような歌物とでも言うか、よりロックとかに繋がっていくと考えると、この曲の存在も自分の中では大きいかもしれないです。

Toukaiは結果、Chilly Gonzalesあたりにも繋がる要素はあるのかもしれないですね。


4.Asia

この曲は2022年10月24日に作り始め、10月28日に完成しました。
元々はインストだったんだけど、友人に聞かせたところ「アジアっぽいですね」と言われ、風呂に入っていた時か、このAsia, don't you wanna go with thatっていうフレーズも浮かんで声を入れた次第です。
歌詞にたいした意味はなくて、おそらくなんだけど、The Rolling Stonesの70年代前後のノリみたいなのを受け継いだ感じなんではと。
この曲は作った時期が昨年の割には、2010年代の雰囲気のある曲かもしれないです。たとえば、TigaのBugattiとか。自分の作品で言うと、Boysnoize Recordsから2016年にリリースしたDiscoあたりに入っているかもしれない。
ただ、作風にunderground感が漂っている率が2016年より高いというか、その間に色々あったので、やっぱ違うんですかね。
あと、ピアノが入っているのもありますかね、特に後半のピアノの感じって、思い出せないのだけど、北欧とかドイツあたりなのかな、70年代あたりのJazz、それもFree Soulとか流行っていた頃の90年代くらいのDJが掘りそうなレアソウルにも流れを汲みそうな、そんなテイストが混じっているかもしれないです。
コレもバンドでやってもと思って作ったんだけど、ベースラインが難しくてw
ベースを弾いて作ったわけではないので。



5.Obsession (強迫観念)

この曲は2022年9月8日に作りました。Toukaiの2日後ですね。
Toukaiの項で言わなかったのだけど、今思うと、Toukaiくらいからシンプルに3和音で作るというのは考えていたかもしれないです。和楽器+Electronicの頃って、和音階をそのまま和音にしていたので、5和音ってことになるのだけど、この作品はそういうのから距離を置いていると言うか。
すなわち、JazzとかHerbie Hancockあたりの感覚から距離を置いているということかな。
ただ、Obsessionは普通にC Majorとかって訳ではないので、結果、複雑というか、たぶん、Bartokのmikrokosmosあたりの影響があるのだとは思う。
その方法論については割愛させてもらうのだけど、いずれにせよ自分なりの「フォークミュージック」を作ったということになるとは思う。
それはGlenn Gouldあたりは好きではないラインだとは思うんだけど、自分としては、こういうフォークというか、それが結果、都市につながっていくような感覚の和音というか、コード進行が好きです。
おそらく、どこかでThom Yorkeあたりと共通した要素があるかもしれないけど、ただ、自分の場合、彼の影響ではなくて、Chick CoreaとかBartok、そしてMiles DavisやThe Beatles、またはThe Policeの頃のStingあたりかもしれないです。
結果、自分が山を登っている最中で、Thom Yorkeと出会った、そんな感じでしょうか。
この曲に関しては、新しいバージョン、Obsession 2.2というのを作っていて、それを12/23のライブでもやろうかと思っています。
そのバージョンでは、歌う箇所もあれば、このアルバムバージョンでは出てこないコード進行を入れたり、より今の自分を表現できている感じになるかな、と。



6.Rinne (輪廻)

2022年10月26日制作なので、このアルバムの中では1番新しいということになります。
バンド用に作ってみたという感じでしょうか。
ギターはシンプルに、ベースラインもシンプルに、という具合で。
ピアノに関しては、どことなくMcCoy TynerがJohn Coltraneとやっている頃、その辺りの影響があるかもしれないです。
学生時代はギターで曲を作ることが多かったので、改めて聴いていると、自分が20代前後に作っていた曲のテイストに近いかもしれないです。
おそらく、Pat MethenyとかJohn Abercrombieとか、彼らの80〜90年代くらいの作品群の影響があった、そんな曲かな、と。
ただ、仕上がりは、結局、2020年代の音楽なのかな、とは思ったり。


8.Teinen (諦念)

2022年9月7日制作で、M3の"Toukai"とセットで作ったような曲です。
ただ、Toukaiよりグルーブがあると言うか、ドラムマシーンの使い方がよりクラブミュージック度が高いですかね。
この曲に関しては、そこまで言及することがないかな。
案外、DJが使うにはいいのかもしれないです。


10.Alone in A

この曲が1番古い曲で、制作を始めたのが2015年1月11日です。
なので、他の9曲に比べると、音響とかドラムの使い方とか、だいぶ違うかもしれないです。
もう9年近く前の曲なんですが、当時のことを思い出すと、おそらくErol Alkanの影響は強いと思います。
彼がBBC Radio 6でNew Musik - Warpを掛けていて、その影響はあったんでは。
あと、Gesaffelsteinあたりの影響というか、当時Bromanceとかで彼がリリースしたトラックとか、その辺の影響もあるのかもしれない。
あとはL.I.E.S.とかロウハウス/テクノが全盛期の時代ですかね。
なので、この曲がアルバムで異質なのは、他の作品が2015年〜2022年の8年くらいの音楽シーンとか自分の音楽生活などの要素を含んでいるのに対して、この曲はその辺がすっぽ抜けているんですよね。

曲の構造について触れると、コード進行に関しては、自分特有のクリシェな感じなんですかね。
Chick Coreaあたりの影響もあるのかもしれないけど、それよりはギターで作ったことの方が大きいです、おそらく。
曲の歌詞については、恋人との出会いと別れ、そんな感じですね。
このアルバムの中で1番切ない感じですかね、後半のシンセリードが1オクターヴ上がる感じは、Jimmy Pageあたりが弾くギターソロとかでこういう感触あったよな、、、Led Zeppelinの後期だと思うけど。
で、最後に歌詞を載せて、楽曲解説を終わりにします。

(Lyrics)
Well She said
"I just shake it down"
I got feeling, song of larger

Well, inside
Only you and I
I got feeling, song of larger

Way Alone
Never coming back
I got feeling, song of larger

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?