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lovable tiny ones

大きなものをつくることと、ちいさなものをつくることは、概して、前者のほうが求められがちだと常々感じる。
大は小を兼ねる。
小は兼ねられてしまうのだ。
はたして本当にそうだろうか。

私はちいさな絵ばかり描いている。
壁一面に描かれる絵画のように、人を圧倒させる迫力もない。
でも、てのひらに納まるほどの絵でも、目を凝らしてみると、片隅にささやかな発見がある。
そんなちいさな絵。

私はちいさなものばかりつくっている。
ジャンケンでグーを出したら手の中に消えてしまうほどのサイズ。
解体してトラックで運ばなければならないような壮大さはない。
でも、どこにでも持ち運べて、持っていることすら忘れてしまうほどの軽やかさがある。
そんなちいさなもの。

大きなものには大きなもののよさがある。
とてつもない労力をかけてつくられた大きなものは、見る人に衝撃を与える。
驚きや感動はその大きさに比例して伝わる。

ちいさなものにはちいさなもののよさがある。
丁寧に、見る人が気づいていないところにも心を配る。
それは手にした人だけが感じ取れるのかもしれない。

大きなものがつくれたらいいな、と思うこともある。
けれどもすぐに、ガラじゃないな、と首を振る。

今夜はいつもに増して、ちいさな絵を描きたくなる。




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