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色々色

昨日はカラフルな髪とよくすれ違う日だった。

朝の店で見かけた、水彩画のようなピンクグレーのロングヘア。
繁華街で揚々と歩いていた青い髪の女性は、ところどころに赤が混じって、熱帯魚のベタみたいだった。
ハッとするようなワインレッドのウェーブヘアは、思わずじっと目で追ってしまったほど。

総じて黒髪が多いこの国では、変化に富んだ髪色への興味はなかなかに深いのかもしれない。
かく言う私も、学生の時分に金、オレンジと、気分のままに染めていたことがある。
ただそれ以来、ぱったりと髪色への探求心は途絶えてしまった。

染めるとはすこし違うけれど、近頃はシルバーヘアというのか、輝くような真っ白の髪の方を見かけると、街中であってもつい熱く見つめてしまう。
あぁ、あんあふうになれたらと思うけれど、いつだったか、行きつけの美容院の美容師さんが、あの白い髪は遺伝ですよ、と教えてくれた。
祖父母や両親を思い浮かべてみたが、モヘアのような白は残念ながら、私には手の届かない色のようだ。

けれども、自分が大切にしている色がいつもそばにあるというのは、とても幸せなことだと思う。
それは髪かもしれない。
手袋かもしれない。
ちいさなイヤリングかもしれない。

子どもの頃、「緑の髪の小人バブッシェル」という本を読んだっけ、と、ふいに思い出した。
光り輝く緑の髪の毛を持つバブッシェル。

自分だけの色を眺めて過ごす日々は素敵だと思う。


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