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もしも叶うなら「透き通った人」になりたい

みなさんは「フルーツバスケット」というアニメをご存知ですか?
この作品は同名の漫画が原作で、1998年から2006年まで「花とゆめ」という少女漫画雑誌に掲載されていました。
2001年と2019年にアニメ化されており、原作終了から時が経ってもその人気振りが衰えていません。

「なぜここでアニメの話?」と思われた方もいるのではないでしょうか?
「透き通った人」と言っても、透明人間のことではありません。
主人公の女の子のイメージが「透き通った人」なのです。

高校生の本田透は、唯一の家族だった母親を亡くしてから一人でテント暮らしをしていた。ところが、テントを張ったその場所は由緒正しい『草摩家』の敷地内だった!
草摩紫呉に家事の腕を買われた透は、学校の王子様的存在の草摩由希、そして由希を敵視する草摩夾と一緒に住むことに。
ところが、草摩家は何百年も前から忌まわしき『呪い』に縛られていた。
由希、夾、そして草摩家の皆と交流を深める透は呪いを解こうと奔走する。

(出典:TVアニメ「フルーツバスケット」公式サイトhttps://fruba.jp

この主人公の本田透がとても魅力的な女の子なんです。

見た目はどこにでもいそうな女子高生で、誰もが振り向く絶世の美女というわけではありません。

特別に成績がいいわけでもなく、どちらかというとおっちょこちょいな普通の女の子です。

ただひとつ変わっているのは「とんでもなく透き通っている」ところです。

幼い頃に父親を亡くし、母親と慎ましく生きていた透。
その母も、透が高校生になってまもなく事故死してしまいます。
その後はなんと山の中でテント暮らしを始めるのです。
行くあてがないとは言え、花もはじらうはずの女子高生にはなかなかヘビーです。

私だったらこんな人生恨みます。
社会の不平等に怒り心頭です。

でも透はそんなことにはめげません。
弱音もはきません。

なぜか?

それは透が「透き通るくらいに純真無垢」だからです。

ここでは私の憧れる本田透の魅力について語りたいと思います。

いつでもどこでも人のため

透の行動原理はとにかく「人のため」です。

バレンタインの日、お世話になっている草摩家の人々へ、透はチョコレートをプレゼントします。
ですが、透はもちろんその境遇から決してお金に余裕があるわけではありません。
バレンタインのチョコ代を捻出するために、毎月の高校修学旅行の積み立て金を延滞してしまいます。

普通なら、かわいい服を着ておしゃれしたいと思うでしょう。
女子高生である透は、毎日バイトして稼いだお金を自分のためではなく人のために惜しみなく費やすのです。
惜しみなく愛情を分け与えることは意外とむずかしいことかもしれません。
誰だって損はしたくないし、与えてもらうほうが簡単です。

透には打算も損得勘定なく、ただ周りの人たちへの感謝があふれています。
小さなことにも目をきらきらさせながら喜ぶ姿に、草摩家の人たちは引き込まれていくのです。

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ないものねだりしない

私たちは手が届かないものをうらやんだりほしがったりして、今あるものを見失いがちになっているのではないでしょうか。

けれど透はいつでも自分が持っているものに目を向けます。
苦しい境遇でもそばにある素晴らしいものをきちんと認識しているのです。
母親を失い、テント暮らしをするはめになっても自分を支えてくれる友達や住む場所を与えてくれた草摩家の人々に感謝することを忘れません。
自分のために力になりたいと言ってくれる友人、気にかけてくれる人の存在をきちんと理解し「私は果報者です」と心から喜ぶことができるのです。

私たちはすぐに「もっと広い家に住みたい」「ブランドのバッグがほしい」「お金がほしい」と思ってしまう生き物です。
欲望が悪いわけではありません。人は誰しも欲求を持っており、それがモチベーションとなり成長することもできると思います。
しかし誰かが持っているものばかりほしがって、夢想していてはもったいないのではないでしょうか?
本当に何もなければ人は生きていくことすらできません。
穏やかに眠る場所、暖かい料理、そばにいてくれる家族や友人、信頼し合える仲間。
こうして文章を書いたり、誰かの投稿を読んだり、自分が好きだと思えることができていることも素晴らしい体験になるのではないでしょうか?

ありのままを受け入れてくれる

あなたは自分の弱さを受け入れらていますか?
人は誰しも弱い部分を持っていると思います。
弱さだけでなく、ずるさや妬み、誰かをうらやましく思ったり憎んだりすることだってあるでしょう。
でもそんな自分に気付いたときに、自己嫌悪することはありませんか?

透は決して人の弱さを責めません。
弱い自分やずるい自分に気付いたときに、それを否定してしまうと逆に苦しくなってしまいます。
自分の弱さを自分自身で認めるのは難しいことです。
人と深く関わることができず距離を置いてしまう自分を好きになれない由希。そんな由希の弱音を「話してくれて嬉しい」「人にはそれぞれ優しさの形がある」と受け止めます。
由希だけでなく、心にそれぞれの闇や葛藤を抱える草摩家の面々の心をふんわりと溶かしていきます。
弱い自分を、ほっこりする笑顔で暖かく受け止めてくれる透。
そんな透がいると前に進む勇気が湧いてくるようです。
自分を信じてくれる透が、悩み苦しみながら進んでいこうとする草摩家の人たちに力を与えてくれるのです。

透という名前

最初は「男の子みたいでかわいくないな」と思っていました。
けれど、フルーツバスケットという作品に触れ、透の魅力を深く感じるようになってからは「ぴったりな名前だな」と思います。
透明感あふれる素直さ、純粋さ、きれいさーー。
見栄も虚勢も張らず自然体でいられる安心感。
そんな透の魅力に、触れてみるとほっこりと穏やかな気分になれるはずです。

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