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天花寺さやかさん「京都府警あやかし課の事件簿」7巻の感想です!

今年の9月に発売された、天花寺さやか先生の「京都府警あやかし課の事件簿」7巻の感想を書きたいと思います。7巻のサブタイトルは「送り火の夜と幸せの魂」表紙の大ちゃんと塔太郎さんが、穏やかな顔をしていてすてき。

こちら、6巻から引き続いての祇園祭を舞台とした京都信奉会との大決戦!手に汗握る展開となっておりますね。凄惨なバトルシーンにハラハラしながらも、あやかし課の面々のあいだの心あるやりとりが、一服の清涼剤だったりして……

では、7巻感想いきまーす!(ネタバレには配慮しておりますが、情報を入れずに読みたいという方は、戻ってくださいね)

【第一話 山鉾巡行と天上決戦 ~作戦編~】

信奉会の四神の一人・船越との決戦の日は、祇園祭の先祭、山鉾巡行の日でもあり……喫茶ちとせで、竹男さんの冷たいカフェオレを飲みながら、お互いを気遣う大ちゃんと塔太郎さんの姿が、いつものふたりであることにほっとして。

大ちゃんも、いくつもの戦いをくぐりぬけてすごく強くなったのだな、と改めてしみじみしました。このとき塔太郎さんからもらった言葉は、大ちゃんをさらに奮い立たせたのでしょうね。

そして、始まるまさかの天上決戦!!!まさからの空からの敵の来襲に供えて、あやかし課も「空飛ぶ乗り物」で迎え撃つことに!これはすごい……

そして、個人的に脱線した感想ではあるのですが、さやか先生の描写する京都府警隊員の衣装の描写って、すごく美しいのですよね。随神課の人の衣装の描写をちょっとだけ引用しました!

応接室の出入り口から上座辺りを見ると、平安時代の貴族の身辺警護・随身を思わせる姿の者が何人かいる。青空のような縹色はなだいろや美しい赤色の闕腋けってきほう染分袴そめわけばかま。足元は動きやすい履物の草鞋そうかい尻鞘しざやの太刀を帯剣し、弓矢を持っている。腕章はつけておらず、皆、匂い立つような凛々しい顔や体つきだった。

こういう衣装、思い浮かべるだけで楽しい…!!!もちろんアニメや実写などの映像で見れたら、さぞ美しいだろうなあ、と想像しますが、こうやって美しい文章から彼らの像を頭の中に立ち上げるのも、また良いですよね。

大ちゃんは随神課の面々のなかに、八坂神社の狛犬を務める鴻恩と魏然を見つけ、あいさつします。そこで二人から、塔太郎の修行時代のことを聞くことで、鴻恩と魏然の塔太郎への「彼を守っていきたいという想い」も察することになります。そして「塔太郎の”力”についてのある推測」も聞かされ、はっとする大ちゃん。

そして、隊員たちに召集がかけられ、現れた「皆を乗せて戦うための空飛ぶ船」――できたら、未読の方にはこちらの描写にも注目していただきたいです!さやか先生の描き出した「戦闘船」は強そうなのに美しい。さあ、これからいよいよ決戦の火ぶたが切って落とされます!

【幕間 一】

決戦前、お互いを鼓舞し、無事を祈る言葉を囁きあう大ちゃんと塔太郎さん。たぶん、推測でしかないのですがこの二人は「両片想いの二人」である前に「同僚」でもあり「戦闘員同志」でもあって……

バトルもののなかでの恋愛って、やっぱり普通の日常のなかでの恋愛とはちょっと違うんじゃないかなと私には思えるのです。切ったはったの世界で、命をやりとりするような、安心できない時間が過ごす中での「恋する思い」は、さらにドキドキするんじゃないかなって。そんななかでも、なぜか大ちゃんと塔太郎さんには「ほっこり」を感じてしまって、この二人すごいな、肝が据わってる……と感嘆してしまう私なのでした。

【第一話 山鉾巡行と天上決戦 ~激突編~】

船越一派を待ち構えながらも、祇園祭のテレビ中継を注視する大ちゃんと、そこにやってきた総代くん。緊張のあまり畏まる大ちゃんを、さりげなくフォローしていく姿はさすが。

船越の漆黒の船がとうとう姿を現し、すぐに敵陣からの「坂本塔太郎と話がしたい」との報が入ってくることに。敵の煽りに乗らない塔太郎は、船越にある提案を始めて――?

このあたり、すごく心動かされました。総代くんが塔太郎について言った言葉「坂本さんが船越に呼びかけてるんじゃなくて、〇〇そのものが、船越に呼びかけてる気がするんだ」という言葉はまさにそのように思えました。

結果、交渉は決裂。ついに始まってしまった、祇園祭の山鉾を奪いたい船越軍勢と、山鉾を守りたい京都府警あやかし課との闘い――。

大迫力のバトルシーンでしが、ほんとにほんとにすごいのです。(すごいしか語彙が出てこない)

そして、変身して走り戦うまさるの心に聞こえてくるのは、たしかな<もう一人の自分>である大ちゃんの声。(きっと、阻止できる!)――この言葉がどれほど頼もしいものなのか、あやかし課を一緒に追いかけてきているみなさんには伝わるのではないかと思いました。

【幕間 二】

船越の言葉で語られる、幕間は思いがけない心の吐露から始まっていました。京都信奉会のボスであり、塔太郎の実父でもある神崎武則のすがたは、船越から見てどういうものなのか、がひしひしと伝わりました。

ドラマに出てくるすべての人には、その人が行動するその理由があるのだと、思わされた幕間でした。

さて。【第三話 山鉾巡行と天上決戦 ~決着編~】【幕間 三】【第四話 送り火の夜と幸せの魂】【終章】の感想については、読んでのお楽しみということで割愛しますが、全体を通しての感想をひとこと。

あやかし課の「エース」について、三話で塔太郎さんが大ちゃんに話したこと。その言葉の重み。忘れられそうになかったです。

そして、四話で大ちゃんが塔太郎さんの三話での言葉に応えたこと。彼女なりの凛々しい決意が感じられて、とてもすがすがしかったです。

そして訪れた塔太郎さんの、思いがけない「プレゼント」をいただいたことによる、自分自信からの「赦し」は、とても感動的なものでした。

これからの、あやかし課が、ますます楽しみです!さやか先生、書いてくださりありがとうございました。

過去に書いたご感想はこちら↓

お体に気を付けて、またあやかし課の大活躍を楽しみに待っております!


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