その本はいつもあなたのかたわらに
ときどき、CM映像のようにこんな光景を思い描くことがあります。
子供の頃から大人の現在までに数えきれないくらいたくさんの人と出会ってきましたが、その人たちが、日常生活の中で、文庫本を開いている光景を思い浮かべます。
ある人は電車の中でつり革につかまりながら本を開き、ある人は寝る前のベッドの中でまどろみながらページをめくり、ある人は旅先のリュックの中に本を放り込んで旅をしている。
そんな私の知ってる人たちと、そのかたわらの本がセットになって、次々と場面が切り替わり、いろんな人がいろんな場所で、とある小説を読んでいる。
私の大好きな人たちのかたわらにいつもあるのがふさわしい、そんなボロボロになるまで読み込まれた小説。
そこに書かれている内容、ストーリー、を目指して、私は小説を書いているのかもしれません。
人生を生きる中で、それぞれの痛みがあり、傷があり、喜びも光もあって。
そんな日常のつらいことや優しいことに、寄り添う本を書きたい。
音楽の名盤アルバムとか、またはずっとエンドレスで聴いてられる名曲ってあるじゃないですか。
私は通勤のときに最近耳にイヤホンを指しこみ、spotifyで音楽を聴いているのですが、ふだんの日常に、音楽が差しはさまれると、まるで映画の中に入りこんだみたいに、日常がぐっとドラマチックに見える。
そんなエンドレスリピートできる音楽のような、そういう作品を目指して、いつも書いています。
ふだん本を読むひとばかりじゃなくて、読まないだろう私の好きなあの人たちにも、とりあえず空想のなかで本を持たせてみて、そこにはどんな小説が書かれているのかなって想像するのが楽しいんです。
5月から、ゆっくりですが、また書けそうな気がします。
また、みなさんと早く次の小説でお会いしたいですね。
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