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2019年12月の記事一覧
【短編】誰かのサンタクロース
クリスマスイブの夜、七時五十分。仕事をやっと終えた私は息をきらしながら、家の近くのケーキ屋に向かって走っていた。店が閉まるのは八時。間に合うだろうか。まだ、ケーキは残っているだろうか。
家で待っている娘の里桜(りお)のことが、頭をちらちらよぎる。
『ママ、クリスマス二人でしようね。パパは、忙しいんだもんね』
夫である久志は、長野で単身赴任をしていて、私と里桜が住む東京には、帰ってこれないそう
クリスマスイブの夜、七時五十分。仕事をやっと終えた私は息をきらしながら、家の近くのケーキ屋に向かって走っていた。店が閉まるのは八時。間に合うだろうか。まだ、ケーキは残っているだろうか。
家で待っている娘の里桜(りお)のことが、頭をちらちらよぎる。
『ママ、クリスマス二人でしようね。パパは、忙しいんだもんね』
夫である久志は、長野で単身赴任をしていて、私と里桜が住む東京には、帰ってこれないそう