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伝書鳩パーティー|ショートショート

クックルー。鳩がひとつの民家の屋根に集まっている。みんな足にはカラフルな環。伝書鳩である。

「あなたはどこから?」
「私は南の方から。もう2日ほど飛んでいます」
「あら、長旅ご苦労様」
鳩たちの井戸端会議。あ、井戸端じゃなくて屋根上か。

とそこへ、新たな鳩がバサバサと降り立つ。足環はなし。野鳥だ。
「よう、お前さんたち旨い木の実の場所を知ってるんだが、来ないか?」
「私たちはすぐ飛び立つのでお構いなく」
「まあ、そう言わずに。ついて来な」

民家の屋根から鳩が一斉に飛び立つ。一行は山の方へ。
大きな木に、真っ赤な果実。木の下には、熟して落ちたものが異様な臭いを放っていた。

野鳥は地面の実を啄む。果実は完熟で自然発酵していた。2、3個食べただけで、野鳥はご機嫌千鳥足。
他の鳩も恐る恐る口にする。たちまち酔っ払い、伝書鳩の大宴会となった。元の場所に帰れた者はいなかった。

この騒ぎがきっかけで、伝書鳩の文化は廃れていったとか、いないとか。

(408文字)


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