心お弁当|ショートショート
その日は、雨が降っていた。
夜も遅く、コンビニ弁当でもと思ったところに、見慣れないお弁当屋さんの灯りが見えた。
傘の雫をバサバサと落とし、お店に入る。大人が3人も入ればぎゅうぎゅうになるような小さなお店だった。
「いらっしゃいませ。今日はどんな御気分で?」
並べられた黒い箱のお弁当を覗き込んで驚いた。
「雨でぐしょ濡れ嫌な気分」
「残業終わってほっとした気分」
「恵みの雨で嬉しい気分」
「ナイターの結果にワクワク気分」
無機質なプラスチックの蓋に覆われていて、肝心の中身は