セルフサバイバルのすすめ
実は自粛期間になってから、とある動画にハマってしまっている。
エド・スタッフォードのサバイバル動画だ。
実は今までそんなにサバイバル系の動画を見てこなかったのだが、これが本当に面白くて、まんまとハマってしまった。エドは無人島や世界各地の密林やジャングルなどに出向き、そこで最低限の装備で食料を自ら調達し、サバイブしていくのだ。生きるって...こういうことかっ...!己の力で食料を調達し、調理し、食べる。水や食材がなければ耐え忍ぶしかない。厳しい自然界を己の手で切り開いていくドキュメンタリー番組だ。これが生きるってことなのかよ!!って絶叫しながら毎度見ている。もし見たことがない人がいたら、是非一度見てもらいたい。感動するから!
エドの動画には生きるために必要な知識が散りばめられている。火起こしの方法や水を得る方法など、自分の体だけでどうやって生き抜くのかをたくさん教えてくれるのだ。感心してしまう。
私はサバイバル動画にハマりだしてから、ある思いが芽生えてきた。
私もサバイバルしたい.....!!!
だが今は自粛期間であるし、電車で遠くの密林やジャングルに出向くことすら阻まれる。そもそも私のようなへっぽこ団地育ちの女がいきなり大自然でサバイバルできるはずがない。正直怖いし、食料を調達できずに飢えるのが目に見えている。
そこで思いついた遊びがある。それが・・・・
”セルフサバイバル!!!!”
家があるにもかかわらずわざわざ外で生活しサバイバルをするという遊びである。例えば週末の二日間、外を捜索して食材を調達し、外で寝るというルールを作る。これなら家の近所でできるし、誰にも迷惑をかけることなくサバイバル生活を送ることができるのだ。思いついてしまったので、やってみるしかない!まずは自分でルールを考えてみた。
これに沿ってサバイバルをしていく。最初の初心者サバイバルにはちょうどいいルールではないだろうか!
こんな感じで、レッツサバイブ!!!
〜1日目〜
<寝床の確保>
なんといっても夜眠る場所がないと夜は越せないのだ。明るいうちに寝る場所を検討しなければならない。私の家の近所には森がある。かなり自然豊かなので、テントを貼っても大丈夫そうだ。いい感じの場所を見つけたのでテントを貼る。
できた!!どこのキャンプ場?という感じだが実は....
めちゃくちゃ実家の近く!!!!安心安全!!!ちなみに心配性のお母さんは「家の玄関じゃダメなの?」「車の車庫じゃだめなの?」と何回も聞いてきました。娘が一人で森で寝ると言い出したから不安になったようです。サバイブな娘でごめんよ母ちゃん。。。
なんだかんだテントを貼るのに時間がかかってしまい、午前中・お昼が潰れてしまいました。残された時間でどうにか食料を調達しなければ....
<食料調達>
何があってもまず人間にひつようなもの、それは水!まずは水を確保することからサバイバルは始まるのである。エドの動画では砂をほって水を探し当てる等の高騰テクニックが必要だが、セルフサバイバルではそんなものは必要ない。なぜなら...
公園に水あるから!くむだけ!!
家にあった財宝のペットボトルを持ってきたが、これに入れれば公園の水でもなんか美味しそうに見えることが発覚した。
さて、水も手に入れたところなので近所の公園を捜索する。今回のサバイバルでは魚や肉をさばいたりするのは厳しいので、野草を中心に捜索する作戦を立てたのだ。何かないかな〜....あっ!!!
梅だ〜〜!!!これは貴重な食料となりそうだ。この辺の公園には梅の木がたくさん生えていたことを思い出した。取れる分だけとっておこう。
コロコロしててかわいい。より新鮮な梅を手に入れるために木登りをしてたら近くを通ったおじさんに「危ないから降りなさい!」って怒られた。久々に大人に怒られて気持ちは小学生になった。
次は川沿いまで歩いて行ってみようと思う。
歩いている途中でお腹が空きすぎていることに気づく。何せ朝からなんにも食べてないのだから....空腹に耐えられず、さきほど取った青梅をひとつ食べてみることにする。青梅は種はアルカリ性があり食べれないが、周りの実の部分は食べられるみたいだ。いただきまーす!
すっぺぇ!!!(ブチ切れ)
こんなくしゃくしゃ顔になるぐらい酸っぱい、とても食べれない。実もめちゃくちゃ硬いし、だめだこれは....生で食べるのはしんどそうだ。せっかくいい食料が見つかったと思ったのに... ほかの食料で補うしかない...
さて、ここで意図せず農家ゾーンに突入した。どうせならこの辺に住んでる人に野草の情報を聞いた方が早いかもしれない。そう思い、近くにいた農家のおじちゃんに声をかけてみることにした。
おじちゃんは農家兼造園家だそうで、野草には詳しいらしい。川沿いにはノビルとヨモギが生えているらしいという、有力情報ゲット!!おじちゃんが指を指した方向に向かって歩いてみることにした。ノビルとヨモギは有名な野草だ。特にヨモギはヨモギ餅を作る時に使われていて、よく食卓にあがる野草として有名。ここは必ずゲットしたい。
川の近くを永遠に歩く。歩く。ノビルは万能ネギのような見た目をしているので見たらすぐにわかるはずなのに、ない。ない。サバイバルは得られる食料が限られているのに体力が奪われるのが早い。なにせ私は普段家でずっとYoutubeを見る生活をしている。散歩どころか家を出ることも稀なのに!か弱い乙女をこんなに歩かせてどうするってのよ!ノビル!そんな冗談を行ってられないくらいお腹が空いてぶっ倒れそうだ。
何時間歩いただろうか。本当に探す気が失せるくらいお腹が空いてしまってもう死にそうである。こうなったら白目を向くしかないわい!!もう疲れすぎてヘトヘトになってその場にしゃがみこんだ。
そう思ったその時
えっ..................
ヨモギあったーーーー!!!!!
偶然座った目の前にヨモギあった!ラッキー!写真と見比べても間違いなさそう。さっきのおじちゃんが言ってたことは本当だったんだ!!と感動で涙が出そうである。とにかくまともな食料がゲットできてよかった。
たくさん切って持ち帰ることに。よっしゃー!さてさて、どんな風に料理をしようかな〜と考えながら歩いていく。
その後もノビルを捜索したが、結局見つからなかったので今回は諦めることにした。
帰り道にドクダミも発見!独特の匂いで謙遜されがちだけど一応食べれるらしい。食材は多い方がいいので、こちらも収穫。
なんだか雲行きもあやしくなってきたので、捜索はここまでにして家に帰ることにした。
<調理>
さてさて!本日集めた狂った食材たちを紹介するぜ!
ヨモギ・ドクダミ・謎の花(食べれなそうだったので捨てました)
おうふ.....ものすごいラインナップだが食べれるに違いないと信じて、美味しく調理をするぞ!
缶をアルコールランプに加工したもので、火を付ける。そこでヨモギを下ゆでする。塩をふって20分くらい煮るといいらしい。
茹でた後にお湯を捨て、一部のヨモギは取り出して醤油をかけ、おひたしに。残ったヨモギにまた水を入れて、コンソメを入れて煮る。
ドクダミは葉っぱと花をわけ、水洗いしてドレッシングをかける。
完成!!!結構美味しそう!味が気になるところだけど、食べてみないと始まらない。完成した頃には夜がふけてしまった。
<実食>
ついに食べられる!お腹ペコペコでございます。ここからは私の表情で美味しさを読み取ってください。ちなみに外で食べてます。暑いです。
まずはドクダミのサラダ。
とりあえず臭い。真顔になる臭さ。
う〜ん!思ってたほど悪くはないけど......好き嫌いは分かれそう。パクチーよりもっと癖が強いかんじ。他の料理にしたら美味しいかもしれないけど、生で食べるのは微妙かも、というのが正直な感想。まぁお腹減ってるので食べますけどね!!!口の中ドクダミ臭くなるけどね!!!!
お次はヨモギのおひたし!いただきまーす。
ん!!!!うまい!!!!
ヨモギってこんな美味しいんだ....知らなかった....ただ茹でただけなのに葉がしっとりしてて舌触りもよいです。これは結構満足かも。うお〜〜まともな食事にありつけてる感。やばいです。
さて、最後はヨモギスープ。
うめぇ〜〜〜あったまる。お腹膨れる。やっぱスープは強いですね。ヨモギもしっとりしていてかなり美味しいです!これは大正解だっ!!
意外と野草だけでも美味しいご飯ができて驚きだ。自分が調達した材料を自分で料理して食べる。この行為の尊さを知ってしまった!いかん、私はすでにサバイバルの醍醐味を体験してしまっているのかもしれない。幸福。
<就寝>
食事も済ませたので、テントに帰って就寝。正直サバイバルは生き抜けばいいだけなので夜は特にすることがない。下手に動くと体力持ってかれるので、さっさと寝るのが吉である。
正直に言っていいですか。私外で一人でテント貼って寝たことないので正直怖い!でもなんか修学旅行みたい!外の森の音聞こえるしやばい!ギャル並みのテンションの上がり方をしてしまい逆に眠れないという最悪な事態に。さっさと寝たいけど興奮が上回ってしまい全然寝ることができませんでした。結局3時くらいまで目が覚めまくっていた。といいつつもいつのまにか気を失っていた......
〜2日目〜
カァカァカァカァ!!!!!カラスが鳴いてラァ!!とぶち上がりながら起きました2日目です。時刻は朝4時。超眠い。カラスよ、私が何をしたというのだ.....だが森の中で目覚めるというのはすごく清々しい。大自然の中で生きてるぜ〜と感じた。(実家との距離約2メートルほどですが.....)
<食料調達>
とはいいつつも空腹はやってくる。お腹はグゥグゥ鳴っている。昨日もなんだかんだ一食しか食べてない。サバイバルは食料調達が命なのだ。昨日調達した食材は使い果たしてしまったので、今日も気合いを入れなけれならない。とりあえずギリギリまで寝て体力を温存し、昼から食材調達に出向くことにした。
川までの道のりを歩くのも慣れてきた。途中で見つけたドクダミを掻っさらいながらてくてく歩く。今日はいい食材に巡り会えるだろうか....なんとかして今日はノビルを見つけたいところ。空腹はかなりピークにきているし、早く調達して家に帰らなきゃ、などと考えていると.....
ん.....!?!??!???!??!?
果実発見!!!!!!
え、なんでこんなところに果実置いてあんの?と誰もいないのに呟いてしまうくらいには驚いた。神様からの贈り物....?空腹で死にそうだった私にとっては宝にしか見えない。キョロキョロと周りをみても誰もいない!目をハートにしながらそそくさと果実をカバンに入れる。やっべ〜〜〜神様ってほんとにいるんですね!!ありがとう、神様。
持っていたナイフで中を見て匂いをかぐ。これは明らかにオレンジの香り!うまそう!!耐えきれなくてその場で頬張る。
うま............
めちゃくちゃ真顔で頬張ってたと思う。河川敷で。道に落ちてる果実を頬張る日がくるなんて過去の私は思いもしなかっただろう。というかこのセルフサバイバルで道に落ちてるものを食べることになんの抵抗もなくなってしまった。いかん。ごちそうさまでした。
思わぬ棚ぼたで空腹をしのげた私はパワー全開!食材捜索を再開した。昨日のおじちゃんが言ってたノビルが頭によぎりながらも、新たな食材の情報収集をすることに。近くにいた農家の女性に声をかけてみる。
じゃがいもなどの野菜を育ててるらしい。「育ててる野菜全部分けてください」という言葉が喉まできているが、飲み込んで野草について聞いてみる。すると、近くの公園に桑の実があることを教えてくれた。桑の実といえば、ジャムにすると美味しいと評判の果実!絶対にゲットしたい。
桑の実の公園に行く前に、安定のヨモギを調達する。昨日散々さがしたので、ヨモギを爆速で発見する技を身につけてしまった。この間までこの道を通っても何も思わなかったのに、今はごちそうの宝庫に見えてしまう....
川辺でお兄さんが釣りをしていたので話しかけてみる。この川ではエビやハゼが釣れるらしい!ずっと住んでいるのに知らなかった。セルフサバイバルをしていることを伝えると「やばいですねw 頑張ってください!」と半笑いで言われた。今回は釣りの装備がないので無理だけど、次またセルフサバイバルするときは釣りに挑戦するのもいいのかもしれない。
引き続きノビルを捜索したが、残念ながら見つからなかった。もしかしたら季節的に今は生えていないのかもしれない。諦めて桑の実の公園へ向かうことにする。
長い道のりをかけて例の公園に到着。さて!桑の実を頬張りまくるぜ!と意気揚々に探したが一向にみつからない。公園を散歩している人に聞いてみても、この辺に桑の実はないと言われた。チクショー!!!せっかくきたのに!!と悔し涙をこらえてトボトボあるいていると、オレンジ色の物体が下に落ちているエリアに到達.......
え、これは..........梅!??!? 昨日見つけた梅は青梅だった。これはしっかり熟してるやつだ!しかもなぜがここのエリアだけ無数に落ちている。幸運でしかない!片っ端から拾いまくる。
わ〜〜かわいい。丸くてかわいい物体があるだけで幸せになっちまう。桑の実は見つけられなかったけど、梅がこれだけあれば十分!農家の方よありがとう!!!
とりあえず食材が調達できたので日が暮れる前に帰宅することに。食材の捜索で5時間もかかってしまった。体力がそこを尽きる前に調理をして食べなければ....何かを口に入れないと本当に動けなくなりそうだ!
<調理>
昨日よりはより良い食事が食べたいの一心で、この日は天ぷらを作ることに。それってサバイバルなの?と疑問に思った方々はすみません。許してください。それより腹が減っているのです。
天ぷらセット完了。ヨモギとドクダミの葉を揚げていきます。
うお〜〜〜!すでに美味しそう。ヨモギの香りがふんわりと広がってきた。ふかふかの衣が食欲をそそります。
完成!!早い。揚げるだけでこんなに美味しそうなものが出来上がるなんて!昨日より食事っぽい感じがしてきた。
<実食>
やったー!!!!やっと食事が食べられる。私のテンションは最高潮だ。いただきます!!!!
うっま.........!?!?!?
口の中にヨモギの香りが広がる.....サクサクしていてすごく美味しい。普段の食卓でも並べたいぐらいだ!天ぷらのパワー恐ろしや.....
ドクダミもうまい!生で食べたときは結構匂いがきつかったけど、ただ揚げるだけでこんなに違うんだ。驚き!パクチーみたいにクセになる味だ。
まともな食事にありつけているのが本当に嬉しくて食べてる間終始ニヤニヤしていました。食後には梅の実も実食!
青梅はとても食べられなかったけど、ここまで熟していると生でも全然食べられる。酸味もきいていてとても美味しい!これを食べ続ければ空腹もしのげそうだ。
こうして2日目が終わり、私のセルフサバイバルは幕を閉じた。私は2日間自分で食事を調達し生き抜いたのだ。
〜セルフサバイバルを終えて〜
エドに感化されて始めたセルフサバイバル。結果エドとは程遠いゆとり感満載のサバイバルになってしまったが、自分の力で生き抜いたことには間違いない。自分の食事を自分で調達し食べる喜びを知ることができた。また、食事という観点で自分の住んでいる街を見たことがなかったので、新しい発見が多くあった。もうヨモギがご馳走にしか見えない....
もし今、自分の家がなくなってお金がなくなっても、どうにか生きられるかもしれない.....という根拠のない自信がついてしまった。
いつでも誰でも簡単に始められるセルフサバイバル、一度試してみてはいかがでしょうか!
おわり
・追記・
この記事がデイリーポータルZ新人賞2020 佳作をいただきました!わーい!
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