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連作「母を看取るということ」4

「春の日」

何度目かの退院の日
あした帰れると思うと
嬉しくて眠れなかったと
言っていたのを思い出す

長い長い入院の後
いまやっと
帰ってきた母が
やわらかな
春の光を浴びて
しずかに眠っている