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[初出店] 文学フリマ大阪のおもいで② (本を売るの楽しすぎ編)

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虚(うつろ)な目をしている私の目の前に上品そうなお嬢さんが現れた。

「あの……準備中ごめんなさい。こちら1冊いただけますか?」
設営の終わっていない、とっちらかった机上の本を指差し、彼女は言う。

予想外の言葉に一瞬怯んだが、オンライン読書会のメンバーの方だと思い、
「エ、エオルゼア(私が主催しているオンライン読書会の名称)の方ですか!?」と挙動不審に尋ねると、彼女は明らかに困惑している。

やってしまった!せっかく来ていただいたお客さんに意味不明な質問をしてしまった!

「あっ、訳の分からないことを言ってすみません!どちらでこの本のことを知っていただいたのでしょうか?」と、疑問に思ったことをストレートに聞き直すと
「Webカタログを見て、読みたいな、と思っていたんです」という答え。

ありがたい〜〜〜!!
そして、書いててよかったWebカタログ!

「500円ですっ」
値札のない本の値段をお伝えし、興奮気味に”初めての即売会”であること、そして、"私の初めてのお客さん”であることを伝え、読書会の方に渡そうと思っていくつか持参していた名古屋のお土産を迷わず手渡した。

彼女が去った後、嬉しさと安堵で少し涙が出た。
情緒のジェットコースターである。

来年も文学フリマ大阪、出よう。
この瞬間、心が決まった。

私は落ち着きを取り戻し、持っていっていたノートのページ2枚をやぶり、紙用マッキーで大きく『500円』『300円』と書いて本の下に置いた。
少々不恰好だが仕方ない。背に腹はかえられぬ。

無印良品のノートから錬成した手書きの値札

————

この出来事がきっかけとなり、今までのBADな流れが目に見えて変わった。
Twitterを更新する暇がないほど、切れ目なくお客さんにブースを訪れていただいた。

まず、コピー本が午前中に完売した。見本誌コーナーで手に取っていただいた方が多かったようで、完売後もお二人の方に「通販ありますか?」と聞いていただいて嬉しかったな。
→こっそり通販してます(BOOTH)

強気の部数用意した本命の合同誌も、宅配便で家に送り返す必要がないほど沢山売れ、帰りの荷物の軽さにうれしくて泣きそうになった。
(後日、通販で即日完売しました。読んでいただいたみなさま、ありがとうございました。)

早々にカウントを諦めたノートのページ。人間4。

結局、17時の閉場までお客さんの波は途絶えず、私の初めての即売会である文学フリマ大阪11は無事に終了した。

遊びに来ていていただいた皆さま、そして、合同誌に寄稿いただいた執筆者の皆様、本当にありがとうございました。

■後日談

翌日、大阪観光を楽しみ、この文学フリマのために作った連絡用のメールを見てみると、なんと感想メールが来ているではないか。

ドキドキしながらメールの本文を読んでいくと、なんと『コーヒーとお茶菓子をありがとうございました』とある。あの名古屋土産を渡したのは、あのお嬢さんと読書会の関係者のみ。

すなわち、

あ、あの初めてのお客さんから感想メールがきているー!!!

彼女は実在していた。
私の負の感情が生み出した悲しきイマジナリーお客さんではなかったのだ。

しかも受信時間を確認していると、文学フリマ当日の夜。
つまり、私が呑気に大阪観光をしている時にはすでに読了し、感想を寄せていただいていたとは……。

この世にそんな女神のような人がいるだなんて……。
遠い名古屋の地から、思わず西に向かって手を合わせた。(関西在住の方でなかったらごめんなさい)

Oさま、その節は本当にありがとうございました。
あなたのおかげで、私、来年も絶対ここに来る!!と思うことができました。
そして、あなたのおかげで全ての流れが変わったので、今でも本気であなたのことを女神だと思っています。

文学フリマの女神……(この言い方全然嬉しくないですね)

続く→

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