2022年の大宮アルディージャを振り返る(選手編)

2022年は昨年より順位を下げる19位、勝ち点は1増の43でシーズン終了。2年連続監督途中交代となった2022年。3年連続の低迷によりクラブの地位は地に落ちた。苦しい台所事情でプレーした選手たちの2022年を簡単に振り返りたい。

GK(6名)



GK31上田智輝
昨年のコンディション不良に続き、今季は負傷。登録抹消も経験した。売りの一芸を発揮する機会もなく、監督交代によるサッカーの変化もあり立ち位置はかなり厳しいか。GKの本来のプレーをより強化する必要があり、下位チームである以上は流れを変えるプレーが欲しい。

GK35南雄太
開幕直後はもったいない失点も多かったが、試合を重ねるごとに目に見えて年齢を感じさせないプレーが増え、J最多出場記録を達成。まだまだこれからという所での長期離脱という試練。今季のパフォーマンスを見ればまだ十分続けられる。復帰した彼の姿をサポーターは皆待っているはず。

GK40志村滉
磐田時代に若くして試合に出ていたイメージが強く、その後燻っていたのが本当に疑問だったが、プレーを見てやはり力のある選手だったと確信。堅実にゴールを守り、次第にスーパーセーブも増加。キックもキャラクターも申し分なく、来季の正GKとして安心して任せられる選手。早く完全移籍加入の一報が欲しい。

GK50若林学歩
クラブの編成ミスから多くの学びを得た1年だっただろう。まだまだ実力的には物足りないが、リーグ戦デビューも経験。残留争いの厳しいシチュエーションを常時メンバー入りしながら体感できたことはメンバー外とは全く違うプレッシャーだった筈。来季は編成も是正された中で実力でメンバー入りを。

GK笠原昂史
明らかにGKが手薄な状況と彼自身が出番を得られていない状況に、いてくれたらどれだけ心強かったか…長崎での立ち位置も非常に厳しい。契約が残っている可能性もあり、来季はどうなるか。セービング特化型だけに職場を選べば輝ける。

GK加藤有輝
長期離脱から見事にカムバックし正GKに。先輩後藤に競争で勝つことができた。とにかく実戦経験を積めたことが若くない年齢的にも大きい。北九州へのレンタルなので志村との絡みもあるが、二人を抱えられたら安心できるのだが。

DF(9名)


DF3岡庭愁人
今季の救世主2人目。明治大の右SBの看板に偽りなし。抜群のスピードと運動量で攻撃を活性化し、守備も奮闘。レンタルとは思えないクラブを想う姿も印象的。まだまだ経験は必要だが、得点への関与を数字上でも増やし、J2なんかにいないで長友や室屋の後をさっさと追ってほしい。

DF4山田将之
開幕前に霜田さんが彼の右SBとしての適性を語ったのはリップサービスだったのだろうか?高木監督時代にWBとして大活躍して以降、ここ2年は活躍は見られず。唯一の相馬監督の下でプレーした選手として出場機会を伸ばすかと思われたが、残念な結果に終わった。

DF8田代真一
様々なクラブで出場機会を得てきたが、直近では町田で出番なし。キャラクターは欠かせないものだったが、年齢的な衰えは否めない。終盤投入されて手を叩いてチームを鼓舞し、サポーターの応援を煽る姿が印象的。シーズン序盤はファーストチョイスとなってもいい時期があったが…

DF17新里亮
櫛引とトレードのような形で加入。得点数はキャリアハイを記録。空中戦・対人・キックの質とどれをとってもハイスペックではあるがミスが多く、前半戦はとにかく失点に絡むシーンが多かった。後半戦は持ち直し、新加入とコンバートの急造DFラインを支えた。冷静ながらも熱いコメントも印象的。

DF22茂木力也
右SBとしての補強だったのだろうが、彼のサイドを狙われた試合も多く、4バックで戦う霜田さんのサッカーに適した選手だったのかが疑問。周りと連携したプレーは得意な選手なだけに、右CBの実績を鵜呑みにした強化部の問題が大きい。

DF24西村慧祐
副キャプテンとしてのスタートだったが、果たして正しい人選だったのか?中々ポテンシャルの高さを活かせず、粗さばかりが出てしまう不安定さが今季も露呈された。終盤メンバー外となった理由はわからないが、このまま終わってしまうのは勿体なさすぎる。

DF25袴田裕太郎
3人目の救世主。キャリアハイとなる得点数を挙げ、大宮のストロングポイントとなったセットプレーの強さを象徴する「盾で殴れる」選手。最初は左SBとしての獲得かと思われたが、左利きのCBとして充分なタスクをこなした。横浜時代から来て欲しかった選手だったので、退団濃厚とはいえ大宮でプレーする姿を見られてよかった。

DF36吉永昇偉
群馬で定位置を確保できないままの復帰だったが、SBとしては守備が得意ではない上、攻撃の関与も少なく持ち味が全く出ず。SHでの出場の際は推進力が活かされ得点の臭いもしたので、攻撃的なポジションでもう1年様子を見れないか?クラブユース得点王の片鱗を見たい。

DF46貫真郷
今までにいなかったユース出身の長身SB。実戦では経験不足を露呈してかなり不安定な出来ではあったが、SBとしての経験年数もそもそも少ない選手なので、経験を積んで大きくなって欲しい。個人的には酒井宏樹のような選手になってほしい。

MF(13名)


MF6大橋尚志
プレー面で三門の後継者となる選手と踏んでいたが、終盤は原因不明のメンバー外。運動量とボール奪取力は間違いなかったが、足元の部分に加えボールのない所での貢献度も高くなかったか。締めのボランチとしてもメンバー入りしないとなると、かなり厳しい立ち位置か。

MF9菊地俊介
CFとしてもボランチとしても貢献度が高く、あらゆる面でチームに居てくれると助かる選手。しかし終盤の離脱後はメンバーに戻らず、いてほしくてもいないシーズンが続く。得点力は捨てがたいが、ボランチで固定できた期間はチームが安定していた。あとは安定稼働を。

MF14武田英寿
同世代の中で傑出したタレントでありながら、結果に結びつかず。惜しいセットプレーや決めきれないシーンも多く、殻を破れなかった。交代で入ってジョグを繰り返す試合も目につき、試合に出すまでわからない不安定さも課題。ATに入ると誰よりも走っていた。

MF15大山啓輔
在籍年数としてはチームの顔だが、レギュラーに定着できないシーズンが続く。チーム愛だけでなくコミュ力も高く、中心選手としてキャプテンを任されてもおかしくない人材にも関わらず、主力として活躍できていないことが全て。チームに自分が合わせるのではなく合わせてもらうぐらいの軸になってほしい。

MF20栗本広輝
今季最大のサプライズ。ボランチ過多の状態で加入したベテランに疑問の声もあったが、GKとしての出場に終わらず、実力でレギュラーを掴み取りシーズンを終えた。とにかく気の利く、ボールの有無に関わらず仕事ができる選手。SNSではクラブ広報としての働きも抜群で、予算縮小による発信力の低下の穴埋めも行った。

MF26小島幹敏
序盤は出番が少なく流出の懸念もあったが、終わってみればレギュラー確保。この男がボールを自由にボールを触れない試合はほぼほぼ負けてる。抜群の配球センスとPA付近の位置取りは替えがきかない。守りを固められた時、遅攻で点を取るには小島を経由しないと難しい。

MF29三幸秀稔
霜田チルドレンとして補強の目玉と言っても過言ではなかったチームの心臓となるはずだった男は結果的にほぼ構想外。ゴシップのような記事ばかりを賑わす体たらく。相馬監督の下でも僅かながら出場機会があったが、とても1年間在籍したとは思えない連携だった。この選手は周りに合わせてもらうのではなく、合わせる必要がある。

MF39泉澤仁
限られた予算で手に入れたJ2屈指のタレント。リハビリスタートは想定内とはいえ、相馬監督就任が決定打となりベンチ入りしても出場機会はほぼなし。守備や中央でのプレー等、本人が求められたタスクをこなせていないのは理解できるが、外国人選手が不在の今、在籍選手の個の力を上手く活かせないようでは上位進出はない。もっと使われるべき。

MF41小野雅史
本人の意思はわからないが、今季はチームの都合で左SBとして奮闘する1年に。守備面は厳しい部分もあったが、不在時の攻撃の構築はかなり苦しかった。キックの精度が高く、簡単にボールを奪われない、彼なりのSB像を作り上げた。クラブ愛は人一倍だが、この立場に甘んじてはいけないレベルに成長したと思う。

MF48柴山昌也
J2とはいえ20歳にしてほぼ通年レギュラーを確保。身体づくりを見直したことが功を奏したか。またドリブル一辺倒から高精度な左足でチャンスを演出し、リーグでも上位のアシストを記録、大宮のメッシではなく柴山の個性として確立されたシーズンとなった。今や個人昇格の筆頭格のタレント。

MF石川俊輝
J1でのプレーを捨てて個人降格したクラブ愛の強い生え抜きは、半ば放出に近い形で甲府に移籍。最終的にはレギュラーを確保し、天皇杯優勝に貢献。残留しても使い道はあっただろうに、安住の地を見つけた形になったのは残念。来季は完全移籍か。

MF三門雄大
プレースタイルは健在だったが、衰えは否めない状況での今治への移籍。精神的支柱を失った穴は大きかったが、チームは何とかJ2残留。クラブは賭けに勝った。またクラブの功労者を引退させることはできなかったが、4年半の活躍は絶対に忘れない。

MF奥抜侃志
2トップでの起用もあり、2019年のようなゴール前のスペースを陥れる動きも随所に見られ、あとはゴールのみという時に急転直下の海外移籍。外国人選手とのコミュニケーションを積極的に取るなど、この時のために準備してきた彼のキャリアに幸あれ。

FW(7名)


FW10河田篤秀
序盤は昨シーズンに続きゴールを量産、外国人ストライカーは不要と言わんばかりの活躍だったが、中盤戦から一気に調子を落とし、終わってみればチーム得点王も明け渡す形に。前線で懸命に身体を張る場面も見られたが、やはり得点機以外の貢献度が課題。PK失敗と千葉戦の決定機逸で株を下げ、調子を上げるチャンスも逃してしまった。

FW18髙田颯也
シーズン当初はドリブラー5人衆(奥抜・泉澤・柴山・髙田・山﨑)の4番手スタート、最終的には更に序列を下げてしまった。守備やボール非保持時のプレーが改善されず出番は限られ、得意のドリブルを披露できず。ポスト三笘となるべきタレントは伸び悩んでいる。

FW23矢島輝一
長らくの離脱からの復帰で、前線で起点になれるプレーを披露。他のストライカーとの個性の違いを見せたが、最終盤は再度原因不明のメンバー外。キャラクターも欠かせないものであることはわかるが、今求められるものはまずゴールだ。

FW27中野誠也
怪我等でプレーできない時期が続いたが、「中野の復帰が補強」と言えるような結果は最低限残した。新婚効果か相馬監督の下では今まで以上にゴール前での思い切ったプレーがゴールに繋がった。J1で二桁取れる選手だと思っているので、もっとやってもらわないと困る。

FW28富山貴光
チームの志向するサッカーに合わせプレースタイルを微調整し続け、32歳にして2年連続のキャリアハイを記録。以前はドカベン岩鬼のような得点力だったが、今季は比較的難しくない場面でも確実に決めてくれた。更に初のキャプテン就任。衰えは見られず、チームの顔としてもう手放す理由はないはず。

FW47山﨑倫
練習試合の出場もままならず、終盤でようやくチャンスを得たが、ただのドリブラーでないことを証明。ボールを手放した後も相手の嫌なポジションを取り、19歳とは思えない次のプレーまでしっかり考えながらプレーできる選手。最終盤の怪我は残念だったが、チーム内の序列では先輩の髙田を上回った。

FW大澤朋也
ユース以前からの有望株も今季は武者修行。FWとしての得点力は非凡なものがあるはずだが、目立った成績は残せず。ポジション適性が2トップなのか、シャドーなのか、1トップなのか…今後の行く末のため早めにはっきりさせたいことろ。

監督

霜田正浩
昨年の功績を受けての契約延長だったが、今季から導入したアンカーシステムは悪手だった。またコロナの影響もあったが、開幕戦が象徴するようにあと一歩の取りこぼしがチームの自信を喪失させ、有効な対処ができなかった。戦力的には決して恵まれていなかったが、彼自身のメソッドも活かされず、無念の退任となった。

相馬直樹
町田での実績十分な知将。霜田さんとはキャラも志向するサッカーも違うが、4-4-2システムや守備から入るシステマティックなサッカーはクラブの体質や陣容には一致していた。下位相手の取りこぼしは続いたが、ボトム2の失速もあり辛くも残留。現時点ではまだ相馬サッカーを体現しきれず評価は難しいが、昨年より劣る戦力で残留したのは立派な功績。

チーム編に続く。

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