強化本部長発言に関する9の違和感と問題点

元々、日程の4分の1が終わった際に振り返りと展望ということで記事にしようとしたがモチベーションが上がらず頓挫、今般"燃料"となるサッカーダイジェストの西脇強化本部長のインタビュー記事が上がったため、その内容から感じる違和感と疑問から9つのポイントを抜粋し、今季の3分の1を終えての振り返りと展望をまとめる。


①大枠で見ると守備は整ってきている


14試合で17失点は決して多くないのは事実だが、結果として少ない失点で済んでいるだけ。そもそも得点どころか決定機も少ないということは攻撃でリスクを冒せていないということで、失点は少なくて当然。
試合内容としてもクロスやセットプレーから簡単に決定機を作られており、しかも何試合も同じ形でピンチを迎えている。失点が少ないのは必然ではなく、偶然である。

②選手のクリエイティブな部分が少しずつ出てくるようになっている


サッカーはチームスポーツだが、攻撃はピッチ上のイマジネーションに頼る部分もある。クリエイティブな部分が出始めているのはその通り。序盤は誰がプレーしているのかわからないくらいの没個性ぶりだったが、今更ながらようやくらしさは見え始めた。気になるのは、監督の指導方針によるものなのか否か。急に今まで使わなかったロングボールやショートカウンターで点を取り出したのはピッチ上の判断なのではと推測できるが…

③選手をどこに置くのかという選手起用や配置の部分はまだ定まっていない


怪我で選手が目まぐるしく入れ替わり、昨年より離脱者は少ないものの選手の質は落ちている。厳しい台所事情なのは理解できるが、新外国人もおらず、昨年と違いチーム練習も継続的にできており、練習試合ができていないとしてもこの状況はあまりにも遅い。一刻も早く、としか言いようがない。

④監督交代を考えたことはない。現体制でやります


交代の是非は置いておいて、最下位に低迷しながら交代が頭をよぎることすらないのは、結果云々ではなく監督を代えないことありきになっている可能性が高い(信頼関係を壊さないため本当は考えたことがあるが信任の旨を発言している可能性もあるが)。散々継続性がないと批判されたクラブの過去を省みたいのか、それとも資金的に違約金を払えないのか。継続するメリットと天秤にかけた上で判断するのがプロの仕事ではないのか?

⑤あと少しをなんとか変えたい


あと少しが根深く、本当に解決する術はあるのか?僅かに歯車が噛み合わず降格していったチームも多い。試合内容としても悪い状況が続いているものの、悪いなりのプレーができている時間もある。それでもこの結果に終わっているのはゲームプランが皆無であること。内容が悪くないと言うのは現実逃避で、10試合以上終えているなら最低限の結果(中位程度)は必要。

⑥今、別の監督を招聘したほうがリスクが高い。また一からのスタートで上手くいかなかったらきつい


今の状態で積み上げがあるとでも言うのだろうか?高木監督の2年間はハードワークを植え付け、3バックへのモデルチェンジを成功させた。コロナ禍による過密日程における大量の負傷者と事前の分析が困難になったことにより2020年は低迷したが、闘える集団に変えてくれた事実がある。
その2年間の面影は果たしてどこにあるのか?積み上げを放棄している以上、強化本部長が積み上げを語る資格はない。良い所はベースとして残していかないとチーム作りも時間がかかる(積み上げの放棄は誰の意思かはわからないが)。
監督の交代については判断が遅れると別の有望な監督は他に持っていかれるし、手遅れになってからではより監督のなり手がいなくなる。今だって一からスタートからほとんど進んでいないのだから。

⑦チームの方向性を作るための岩瀬


就任当初の雰囲気は原点回帰を匂わせるものだったが、結果として、今現在はどのようなサッカーを志しているのか方向性が理解できない。決して岩瀬さんの現役時代の大宮のような4バック3ラインで統率されたサッカーをするでもなく、今一つ4バックを採用するメリットも見えてこない。監督からも選手からも、こういうサッカーをすると言う具体的な発言は一言も聞いたことがない。渋谷監督の「堅守多攻」や、張監督の「7秒サッカー」のような指針はない。
「勝負にこだわる、全部勝つ」
⇒そもそも監督に覇気がない。勝ちたいという気持ちはあっても、勝つための行動・言動が選手スタッフ共に足りていないのではないか?そもそも勝ちにこだわるという所信表明と、方向性を作るという本部長発言がリンクしてこない。
「相手の嫌なことをする」
⇒よくわからない自分達のサッカーをして、嫌がられていない。現に敗戦した町田ゼルビア戦については、ポポヴィッチ監督からスカウティングをあまりしていない旨の発言があった。低い位置からのビルドアップは被カウンター時に相手のシュートまでの手数を減らし、中央を固めておけばサイドは捨てても失点しない。


⑧経験のあるコーチもいるのでカバーできる部分もある


新人監督にヘッドコーチも、S級ライセンス持ちもついていない岩瀬監督に絶対的な信頼を置く体制。ベテランコーチも目に見える実績のあるコーチもいない。新人監督をカバーしてあげられていないから、①③⑤のような問題が起きている。色々な記事から、選手の人望が厚いと思われる北嶋コーチについては、昨年山越の左CB適正を見抜き大活躍のきっかけを作ったが、今季の山越は右CBで低調なパフォーマンス。北嶋コーチには何も権限はないのだろうか。そして今季も10人前後が離脱している状況、最高のハード面が与えられているにも関わらず、コーチングスタッフの力ではどうにもならないのか。

⑨チーム作りに予想以上に時間がかかっており、経験の浅さが影響している


⑧との矛盾点。その部分は仕方ないとしても、経験が浅くてもチームを作れている人もいるのでは?外部から招聘した日本人の新人監督全員がこうなるはずはない。現に、岩瀬監督は指導者としての経験は豊富である。ヘッドコーチやユースの指導者としては優秀だったという見方もあるが、長い指導者人生でここを乗り越えられないようでは先がない。一つだけ良いところをあげるとすれば、2トップを選択していることは昨年より良い点である。

結論


監督についてはもうこれ以上語る必要はない。今季も監督の意図する補強はなかったように思え、監督も被害者。獲ってくる選手は決して悪くないが、現場とコミュニケーションが足りていない。高木監督時代もそうだったが、現場ももっと要求するべき。山越を争奪戦の末獲得したりとスカウトとしては有能であったが、西脇氏は強化本部長としては適任ではない。
大宮アルディージャはDAZNマネー元年にJ2に降格し、J3降格枠4枠というイレギュラーな年に降格圏に沈んでいる。絶対に失敗しちゃいけないシーズンに失敗する歴史を繰り返すのか?2017年は動きすぎて自滅し、地位も人財も失ってしまった。今季はその反省からか、なるべくリスクを冒さないことを主軸に置いているのだろうが、クラブのやるべきことはクラブの未来のために、ファン・サポーター、ステークホルダーを裏切らぬようその時その時で最善手を打つことである。それだけは忘れないで頂きたい。遂に残留圏内と1ゲーム差が開いてしまったという現実はとても重い。リミットまであと6試合。

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