J-POPレビュー#12 夏フェスが恋しくなる曲7選

自粛やら感染拡大防止やらで続々と中止が発表される音楽イベント。

個人的には5月のVIVA LA ROCK、8月のROCK IN JAPAN FESと次々に参戦予定のフェスが中止になってしまった。しかしながら、イベントが無くなったとわかると余計に行きたくなるのが人間の性分である。

ここで音楽と距離をとっては気持ちも落ちるし、業界が更に下火になってしまうので、より音楽と向き合い、親しむことで日々を充実させていくしかない。ないものねだりをしても仕方ないが、あったら楽しかったななんて思いながら好きな音楽を聴いてひと夏越せばいい。

今回は、フェスで実際に見聴きしたアーティスト・曲を中心に個人的に夏フェスが恋しくなる曲を挙げていく。盛り上がる王道曲から真逆の曲まで、少ない曲数ではあるが多様な楽しみ方を提唱したい。



1.「PRAYING RUN」UVERworld (2015 )


昔ワンマン(AwakEVEツアー)で行ったのみで、10年はご無沙汰なUVERworldだが曲はずっと聴き続けている。バンドはよりコア向けになり、タイアップはアニメ等あるもののヒットは生まれていない。長らくフェスには登場せず商業音楽的なイメージが強かったが、現在では場数もこなし代表的なロックバンドの一つである。
今回の7曲の中で唯一生で聴いたことはないが、"全部やって確かめりゃいいだろう"のフレーズの応酬が、バンドとオーディエンスの魂と魂のぶつかり合いを見せられているようで、心を揺さぶられる。この歌詞の熱量、バンドのキャラクターを端的に表した曲である。そう、全部やって確かめればいいんだ。


2.「Festival」Czecho No Republic (2013)


おそらく一番好きなバンドであるCzecho No Republic。「Forever Summer」のようなクールな夏、「Electric Girl」のようなキラキラした夏、「Firework」のようなど直球な夏、夏にフルアルバムをリリースし続けてきた彼らは色んな夏の景色を曲に詰め込んできて、そのどれもがライブ映えする曲だ。正直もっと売れてほしい。
この曲の音源は一般に流通しておらず、特に夏ソングというわけではないものの、ライブでもかなりの頻度で披露されている定番曲。前述の3曲とはまた違った和やかで素朴な雰囲気で、初めて聴いてもオーディエンスが一体になれる曲だと思う。バックコーラスのタカハシマイの歌声も可愛らしい。


3.「Summer Venus」KEYTALK (2017)


KEYTALKといえば「MONSTER DANCE」のイメージが強いが、その他にもフェス映えする曲を多くラインナップしており、フェスのためのバンドと言っても過言ではない(いい意味で)。それでいて、やはり夏向きな曲が多くなっている。チャラいバンドに見えなくもないが、バンドの演奏もかなりしっかりしている本格派だと思う。
この曲もご多分に漏れず、おそらくセットリストには大体入ってくるはず。サビ前のEDM風味な音に、手拍子や掛け合い等盛り上げ要素をこれでもかと詰め込み、ストーリー的にはKEYTALK風の睡蓮花ってところだろうか。しかし若者向けっぽく作ってあるけど、実体はかなり作り込んで隙の無い出来です。


4.「若者のすべて」フジファブリック (2007)


デビュー時はよく聴いていたがしばらく遠ざかり、また近年聴くようになったフジファブリック。「徒然モノクローム」や「Sugar!!」「虹」など他にも好きな曲はたくさん。個人的にはバンドの歴史は一旦置いておいて、ただこのバンド音楽が好きである。初見のPerfume FESでは披露されなかった。
あえてこんな王道曲を挙げるのは、野外での情景がより曲のよさを引き立たせてくれるからだ。少し蒸した夏の夜空に響くこの曲のムードがどれだけ素晴らしいものか、昨年のRIJFで思い知らされた。その後上がった花火は本当に心に染みるものがあった。生で聴かなければ、おそらくそこまで好きな曲ではなかったと思う。


5.「short hair」Base Ball Bear (2011)


「Electric summer」や「Perfect blue」、「BREEEEZE GIRL」など夏の名曲も数多い。フェスへの参戦率の高いバンドだが、3人になった今も抜群の安定感を誇り、本当に何度見ても飽きないバンドである。今でこそ担当ステージの規模は落としたが、誰もが足を止める鉄板曲を多く抱えるベテランである。
盛り上がる曲が多い中で、この曲は夏ソングとも言えず、フェスで盛り上がるタイプの曲でもないが、かなりの確率で演奏されている気がする。弱い男の切ない心情が歌詞と、決して野太くはない小出さんのボーカルに相俟って染みる。オーディエンスが少し落ち着くこの曲のタイミングで、気のせいか少し涼しい風が吹くような気がする。


6.「Black Market Blues」9mm Parabellum Bullet (2009)


「新しい光」らと並ぶセットリストのど定番にして彼らの代表曲。心を揺さぶる4人の迫真のパフォーマンスは、こんなご時世で生で見ることは難しいだろう。なぜなら盛り上がるオーディエンスの様相はまさに3密の極み、つい周りの知らない人たちとその楽しさを共有したくなるからである。
この曲こそまさに真骨頂。代わる代わるメンバーの見せ場がやってきて息つく間もなく、曲の短さを感じない濃密な時間がやってくる。サビはどうやっても歌ってしまうし、間奏はオイオイやってしまうし、大サビ前は手拍子もしてしまう。菅原さんに"さぁ踊れ"なんて言われたら、みんな踊ってしまうのである。
…彼らには当分会えそうもない。


7.「ENDLESS SUMMER NUDE」真心ブラザーズ (1997)


J-POP界の夏ソングの上位クラスに位置する、あのトップアイドルもカバーした名曲である。「サマーヌード」と言った方が早いのか。RIJFでいえばFOREST STAGEのトリで出てくる彼らのステージ、正直埋まっているとは言い難い状況である。「どか~ん」のように他にも知られてる曲はあり、人々を楽しませる術を知っているベテランにも関わらず。
それでも、この曲が始まるとどこからか人が集まってくる。決して上手いとは言えない不器用な感じの歌声が夜の森の中に響き、あのメロディライン。雰囲気で心を持ってかれてしまう。フェスの演奏順やステージの決定方法は知らないが、ちょっと涼しくて虫が多くなるあの時間帯の暗がりの森の中で、やはり彼らのステージが毎年見たいのである。

以上7曲を挙げたが、当然聴きたい曲はこんなもんではない。the teleponesの曲はどれもテンションが上がるし、一昨年の清水ミチコのステージもとても良かった。フェスバンドとは言えない大御所たちだって若手に負けない堂々たるパフォーマンスを見せるし、小さいステージで頑張る若手バンドの青田買いも楽しみのひとつだ。

好きな音楽を流して、窓の外の青空を眺めながらビールでも飲んで、気持ちを盛り上げよう。

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