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青森一人旅レポート-2日目-

2日目は、朝食のビュッフェから始まった。普段の私であれば、少しでも安く済むよう素泊まりを選択するのだが、今回はホテルを探していた時、青森旅行支援が適応になることに気づいた。宿泊代だけで2000円安くなることに気をよくしたため、朝食付きのプランで予約したのだ。
朝食は大変おいしかったが、あてまリゾートで舌の肥えた私はあまり満足できなかった。今でもあのクロワッサンともちもちのワッフル、ライチが食べたい…それでも2回ほどおかわりをし、夢中で食べていた私はふと横の席にスレンダーな美女が座っていることに気がついた。彼女の前にはコップが一つしか置いておらず、JALシティに泊まっていたことから瞬時に客室乗務員だと悟った。私も小さい時キャビンアテンダントになりたかったが、ビュッフェに行ってもコップ一杯しか飲めないと知っていたなれば憧れなかったかもしれない。知ることは案外夢がなくなるものだ。

ホテルをチェックアウトし、向かった先は三内丸山遺跡。駐車場までは行ったのだが、あまりの大雪と、傘を持ってこなかったことから、散策を断念。回れ右をして帰った。
それからが大変だった。岩手に帰る前にりんごパイだけは食べてから、と思ったのが悪かったのかも。もしくは市内の飲食店で妥協すればよかったものを、私は十和田湖近くにある「あら、りんご」というお店にどうしても行きたかった。青森市内から車で2時間近くかかる店舗。今考えてみれば高速道路でもない山道を2時間近くアップルパイのためだけに運転するのは正気の沙汰ではない。
しかし、インスタの映え写真で私は勝手に「あら、りんご」をりんごのテーマパークだと思い込んでしまっていた。テーマパークにしてはアクセスが随分と不便な所だと頭のどこかでは変に感じていたものの、全く疑いもせずに頑張って運転をしていた。これが映え写真の闇なのだろう。2時間の雪道運転で、ガソリンも私の体力も消費してたどり着いたのは本当に寂れた感じの、何の変哲もない辺鄙な道の駅ぽい所だった。あら、りんごはその建物の一階の一角に収まっていた。確かにそのコーナーだけはおしゃれな雰囲気を漂わせていたが、間違ってもこんな長距離運転して目ざす場所ではない。
以前、製作工場見学で青森に行くという同期に、このお店を紹介したのがほんとうに申し訳ない。とは言っても確かに数種類のりんごパイ、りんごのジェラートが置かれており、りんごが好きな人にはもってこいのスポットではある。私はそこで一番ベーシックなりんごパイを頼んだが、パイ生地の上に乗っているりんごは、私が普段食べるアップルパイのような茶色ではなく、ツヤッとしたりんご本来の色だったのが衝撃だった。りんご自体もホクホクとした食感で、サクサクのパイととても合っていた。
その後、私は岩手に帰還するわけなのだが、その間に秋田県の鹿角の道の駅の方が、「あら、りんご」よりもよっぽど豪華でかつ建屋も新しかった。

青森の旅行中一番きついと感じたのは、道がとんでもなくガタガタしていた点だ。雪国の宿命とも言えるアスファルトの剥がれが至る箇所で発生していたのだ。
アスファルトは一見損傷がなくても、実は無数の小さいひび割れが発生している。ここまでは雪のあまり降らない地域の道も同じなのだが、雪国では氷点下の気温により、このひび割れのなかに染み込んだ水が凍結と融解を冬の間繰り返す。理科の授業で習った通り、水は凍結すると体積が膨張するため、ひび割れがさらに進行することにつながる。このうえにさらに車が走ることで衝撃が加わり、大きいもので直径50cm、深さ3cmほどの穴ぼこになってしまうのだ。
私は個人的に岩手も青森も同じ雪国だし、道の状態もそうそう変わらないだろうと思っていたのだが、実情は青森が遥かに酷かった。岩手では、アスファルトを敷くのに当たって、その下深さ60cm分を砕石に置換しなければならないと決められている。それは前述したひび割れに入ってきたみずをなるべく砕石に流すことで、体積の変化を砕石間の隙間で吸収できることを期待しているからだ。詳しくなはいが、青森は規定が異なるのかもしれない。

とにかく私の車は数え切れないくらいこの穴ぼこにはまり、その度ピピッという警告音がさらに私の精神を削った。冬はいえに閉じこもってゲームに励むのが雪国の正しいすごいしかたなのかもしれないと感じる青森旅行であった。

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