一級建築士製図試験合格発表の瞬間

製図試験が終わった後、自分は試験に落ちたとは思ったが、気持ちは落ち着いていた。試験を受けて、自分の実力が全く一級建築士に値しないと感じていた。特に記述で断面詳細図を1/50で書く問題は私にとってほぼ無謀だった。その後、仕事で内装の拾いをする機会があり、その時になって初めて吹き付け断熱材のウレタンを外周部からおおよそ900mm内側まで施工するのが基本であることを知った。

これらをかけることが、一級建築士には求められているのか…それなら自分は全くそのレベルに達していない、と割と素直に受け入れることができた。幸い私は絵を描くのが好きだったし、製図の勉強自体は学科の勉強より好きだった。製図講座の料金、おおよそ60万円は確かに重かったが、冬のボーナスでピッタリ払える額だった。一致しすぎて、会社が「これで製図講座の費用賄えよ」って言っているようにすら感じた。

もう一年勉強になるとして、1番きついと感じたのは、製図の勉強で痛めてしまった腰だった。コンビニでおにぎりとインスタントのお味噌汁を購入し、レジから持ち上げようとした途端、自分の腰にこれまで体験したことがないピキッを感じた。それから3日くらいは本当に遠くから見たら腰が曲がってしまったお婆ちゃんそっくりだったと思う。幸いまだまだ若いため、その後は徐々に回復していったのだが、今でも調子が悪い朝とかは顔を洗うことすら痛かったりする。

製図をしている時、1番姿勢が悪くなるのは柱型を書くタイミングだ。5から10分位は腰をおよそ90度に曲げ、製図板とほとんど水平になりながらテンプレートでひたすら四角をかく。その後も意識的に動かなければ、ずっと同じ姿勢でいることになるため、長時間の製図は体に悪い。勉強の合間には適度に運動をしたり、ストレッチをするべきだ。

2022年の年末、神現場にいた私は22日から休みを貰っていた。当然合格発表の26日も実家におり、在宅勤務だった父と一緒に8:00くらいから時計と睨めっこ。まだまだ発表の時間ではないのに、発表サイトのHPの更新ボタンを押しまくったりしていた。どきどきを体内に留められず、前日観たミュージカルのライオンキングのものまね、あーーーーいやいやぁー、と叫んだりと大騒ぎをした。

やっとのことで9:30になり、ページの更新をしても出てこない。うーん、10:00なのか?となったが念のためもう一回更新。そしたら新着情報に「一級建築士合格者番号」の文字が!一気に冷静になり、ポチリ。次のページで受験地、岩手をポチリ。閲覧者が集中して全く開かない、という噂だったが、時間ぴったりに開いたからか、驚くほどすんなりと合格者番号のPDFを開くことができた。

一級建築士の受験番号、最初の二文字は申し込み都道府県を表している。私は東京にいた頃に申し込んだため、2F、岩手県で申し込んだ受験者は1Cから始まる受験番号である。試験会場では、2Fは私以外に2、3人おり、1Cからひとつ席を空けて順番に並べられていた。私はその2Fの中でも1番最後の受験番号だった。

岩手の合格者は1行にも満たない人数だった。受験会場には2教室が受験生のために用意されていた。階が違ってたため、もう一つの教室の状況は分からない。しかし、私のいた教室はおおよそ30人が受験していたため、岩手全体で50〜60人くらいは受験していたのではないかと推測する。蓋を開けると、岩手の合格者は13人。やはり合格率の低い資格試験だ。

合格者番号の1番下に自分の番号を見つけた時、恥ずかしながら私は泣いてしまった。横にいた父が撮っていた動画を見ると、「信じられないや、私凄すぎるわ」と何度も言っていた。岩手県の合格者13人のうち、7人が総合資格受講者、4人が日建学院の受講者、残り2人はその他の計算となる。また、ストレート合格者は6人中4人が総合資格の受講者だとHPで書かれていた。

ここまで書いて、「まるで総合資格の回し者みたいだな」と自分でも感じるが、誓って私は中立の人間である。次章、「日建学院と総合資格の徹底比較をしてみた」

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