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食べることへの心配

馬が持つ最大の特徴は、どんな環境にも適応すること。
「適応できる」というよりは、「適応する」懐の深さ。

「適応する」というよりも、「受け入れる」の方がいいでしょうか。

これは馬の特性に関する、私のかねてからの疑問の一つでした。
人間に生殺与奪の権を握られ、道具として酷使されて、それでなぜ人との関わり合いを受容できるのか。
もちろん、馬に敬意を払って向き合う人間はたくさんいらっしゃいますが。

なにより、なぜこんなにも優しいのか。

ナポレオン戦争

上の絵は、ナポレオン戦争の一コマが描かれたものです。
(引用:Wikipedia)

いま、詳しい資料が手元にないので、うろ覚えで申し訳ありませんが、ひとつ、最近思い出し、そして気になっていることがあります。

それはナポレオン戦争の記録は戦術、作戦、訓練など他項目にわたり、詳細に残されています。
その中の「兵站(ロジスティクス)」に関する記録では、武器・弾薬、食料、輸送などに関する記録は詳細に残っているけれど、
なぜか、何万頭動員されたかわからない多数の軍馬の、
「飼い葉」に関する記録がないのだそうです。

このことに疑問をもち、研究したヨーロッパの、大学もお名前も忘れてしまいましたが、ある研究者が立てた仮説が、

「どこへ行っても草があり、補給する必要がなかった。
馬の飼い葉が作戦に影響を与える要因になることはなかった。」
から。

というものでした。

ここからは私の仮説です。
馬が5500万年前にこの地球上に生まれ、
人と関わりを持つようになったのは約6000年前。
馬が生まれたのを24時間前だとすると、
人と関わりはじめたのはなんと8秒前。

つまり、馬はその進化の過程の、気の遠くなるような長い年月を、
「食べ物の心配をすることなく生きてきた!」

馬の優しさの根源は、そんなところにもあるのかな?

食べることを心配しなくて良いから、
他者を思いやる余裕が生まれ、
お互いに思いやるから信頼が生まれ、
個々の尊厳を大切にできるのかな。

人間も、何があっても「食べる」ことだけは心配しなくてもよければ、世の中の不条理や不合理は、またもう少し優しいものになっていくのかな。

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