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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

FF16をクリアした。言いたいことがたくさんある

※この記事にはネタバレが含まれます。

具体的な感想に入る前に、この記事を読むのに踏まえてほしい前提を置いておきます。
・事前放送などは見ていない(できるだけ情報見ずにプレイしたかったため)
・1周終えただけなので記憶ちがいなどあるかもしれない
・飛び抜けて思い入れのあるキャラクターや関係性はない
・吉田Pや第三開発に対する期待値が高すぎて減点評価になりがち

4番目に関しては本当にすみません。他ゲーなら気にならないであろうことが気になってるという自覚はあるんですが、自分の素直な感想を書き留める意味で省きませんでした。
また、同開発であるFF14と、シリーズ前作FF15に対する評価は以下のような感じです。価値観の参考に。

FF14→漆黒が一番好き。「主人公が主人公している」のと、リーンのストーリーのわかりやすさ、彼女のキャラがよかったため。マップやボスの多彩さもよかった。

FF15→ハードルを大幅に下げてプレイしたら思った以上に面白かった。DLC、ロイヤルエディション、小説版も買ってる。どうしようもないところが山ほどあるが記憶に残っている作品。


良かったところ

総合的な感想としては、ふつうに良作でした。とんがったところがないので傑作や問題作とは言えませんが、PS5買ってまずなんのゲームしよう?という大人には素直に勧められる作品だと思います(裸シーンが多いという注釈はつくけど)
メインストーリーは「まあそうなるやろな」の連続で意外性はなかったけど、逆にいうと王道を踏襲している。特にディオンのクーデター辺りは暴走までの演出に納得感があり面白かったです。

・バトルが楽しい

アクションフォーカス、サポートアクセサリなしでプレイ。
スキルを次々入れ替えて遊ぶ仕様が飽きさせない。
エリアルブラストにもれた敵をエンプレイスで引っ張り込んで全員洗濯機するの楽しい。
強化インパルスでボコスカ殴ってるときに敵のモーションが見えづらくなるのだけどうにかならないでしょうか?
それ以外は全く不満がない。戦闘中に写真が撮れるのも楽しかった。

・サブクエのやりがいがある

仲間の知られざる一面や風習に注目した内容が多く、やりごたえがあった。
やること自体は似たり寄ったりだけど、そこに「ストーリー」が付随していることが多かったので作業感なくやれた。サブクエのおかげで隠れ家の仲間たちのことをみんな好きになれました。
特に印象に残ってるのは
・トルガル関連
・タルヤと恩師
・姉妹に服を作ってあげるやつ(サブクエ後二人が実際に着て喜んでるのも見られて良かった)

・アクティブタイムロア

これは正直賛否ある。
あれなんだったっけ?と記憶を掘り起こすのにはいいけど、ATR頼りで描写をサボっていると感じた場面もあった。ロアが多いわりに世界観の説得力にあまり寄与していないように思える。
序盤のロザリア城下での魔法の描写みたいなのはよかった。

気になったところ

・各国の首都に行けない

荘厳なオリフレム、活気のあるランデラ、麗しのツインサイド、独自の文化が発達したクレイク・ロイスト。
名前はたくさん出てくるけど行けない。行けるのは廃村、寒村、中規模の集落まで。ポートイゾルデにも入れないとは…。正直、似たような町が多い。
特に「オリフレムに潜入しよう」→街は歩けませんのコンボはええ…?となった。潜入させてよ!
カットシーンでは街並みが描かれるので、大きな都市にたどり着いたときのワクワク感が味わえなかったのは尚更残念でした。綺麗でデカい街の路地裏を探索したかった。

・ゲームで判明する事実とプレイヤーの実感とのズレ

例を上げると、序盤でクライヴが自らの過去と相対し、弟を殺したことを認める場面。クライヴは自身の所業を悲痛な表情で悔いるのだが、プレイヤーはそれ以前のシーンでジョシュアが生きているっぽいことを知っているのでいまいちクライヴの感情に乗り切れなかった。

また、ジルの心残りを晴らす鉄王国編。ここでは無体を働く司祭を成敗するが、名前も顔もやったこともそのとき初めて出るので唐突感が否めない。事実として最悪なことをしているのはわかるのだが、ジルからの伝聞でしかないので実感がわかない(一応言っておきますがこれはフィクションでの話で、現実の(性)暴力者に対しては伝聞でも怒り心頭になります)。

隠れ家の崩壊から5年急に経つのも同じ。
プレイヤーはシドの死と拠点の崩壊に驚き、打ちのめされているのに、クライヴは一人で5年先に行っちゃって安全な隠れ家でリラックスしている。こっちはまだそういう気分になれないんですけど…。

逆に、ディオンやベネディクタの物語は判明する事実とプレイヤーの実感が伴っていたので感情の流れに納得できた。この二人の話は綺麗にまとまっていたと思う。フーゴは…ちょっとよくわかりません

・生活インフラを強制停止することに対する葛藤や悩みが伝わってこない

マザークリスタルを破壊することでクリスタルを用いていた井戸や鍛冶場の炎が消える。サブクエではそれで生活の糧を失った集落も描かれ、クライヴは「全てのマザークリスタルを破壊したらふいごなどの技術を広めるつもりだった」と言いますが、それはあまりに呑気すぎでは…?と感じた。
1つめから2つめの破壊に5年かかってるし、ベアラーの負担も増えているという描写がある中で、それに対する主人公たちの葛藤と「それでもやらなければ」という動機づけはもっとするべきだったのでは?
5年で覚悟は決まりきったということなのかもしれないが、そこは書かなければいけない部分だった。
現在でも鉄王国は魔法を用いない生活をしているはずなので、その辺と組み合わせたらお話が作れそうでもったいなかったです。

・遊びが足りない

ダークなストーリーの雰囲気を壊したくないのかもしれないですが、単なる笑える部分だけでなく、プレイヤーができる遊びの部分が極端に少なく感じた。
マップ内でさわれるオブジェクトの少なさ。
着いてくる仲間が基本的に反応しない(話しかけられない)ので、旅してる感じが薄い(この点は15のシステムの方が完全に優れていると思う)
ミニゲームもそういえばなかったな。アレテストーンはなんかちがうし…。

・ご、5年…!?

繰り返しになりますが、旧隠れ家を失い、どん底に陥ったところから少しずつ希望を見出す一番おいしいところをなぜすっ飛ばした…?

特に、この5年ずっと一緒にいたであろうジルとの関係もすっ飛ばしたことで、メインヒロインである彼女との関係性の変化や重みが感じられずヒロインとして無味無臭になってしまった。
クライヴとジルにカップリングオタク的な興味を持てた人は行間も妄想できるのだろうが、自分は残念ながらそこまで至れなかった。

そもそも、少年期/28歳期/33歳期の三幕構成にするなら、28歳期が最も長くあらゆる布石を打つべき期間のはずだ。それが早々に終わってしまったので33歳期に色んなものを詰め込みすぎ、最後の盛り上がりまでが冗長に感じた。

・とにかくジルの描写

思うに、ここの開発は「正しいことを言い、正しいことをする女」を描くのが苦手なんだと思う。
14のミンフィリア(新生)に似てると思った。味方側の正ヒロインで、嫌われないよう(主人公の邪魔をしないよう)に描こうとするあまり無個性ヒロインになっている(逆にベネディクタみたいな女はやたら生き生きしていた)。

また、他のキャラクターたちにはクライヴと行動を共にする以外にも自身の夢や動機があるが、ジルは「クライヴを支える」というほぼ一点しか描かれなかったのも無個性化の原因だと思う。

その割に、クライヴが過去を受け入れるときも、心が折られそうなときも、ジルは彼に影響を与えることを許されなかった。クライヴはいつも一人で立ち上がるか、弟に支えられるかだ。ジルは戦う能力があるヒロインだけど、最終的にはいつも「待っていて、受け入れる女」だった。

すごく残念だと思う。待つ女自体が悪いわけじゃないけど、待ちながら何をしているかが問題だ。
14のタタルも「待っている」側だが、受動的な印象はまったくない。彼女は自分がやれることを精一杯やっている描写があるからだ。
同じようにミドやヴィヴィアン、タルヤといった手に職を持つ隠れ家の女性たち、ベネディクタのような強烈な個性を出してくる女性の方がよっぽど魅力的に感じた。

13年間奴隷のように戦わされ、暴行され、もしかしたら性暴力にも晒されていたかもしれない女性は、今のジルのようにいい子ではいられないと思う。
いい子でいられなくなったけど、クライヴと再会したことで人間性を取り戻し、共に歩む決意をするという「変化」が見たかった。

いや、そう描きたかったのはわかるけど、その演出があまりに薄く乏しかった。
彼女は自分のことを獣と呼ぶが、ジルが獣に見えたシーンはない。どちらかというと理性的で情があるキャラクターという面しか見えてこない。

自身も暴力に晒されたであろうジルが、クライヴの何気ない仕草に反射的に身構えたり、触れられることに怯えたりする描写があればまたちがったと思う。
それか、再会した直後に、人間の姿のジルがクライヴの目の前で敵兵を容赦なく刺し殺すシーンなどあったら、彼女の価値観が変わってしまったという実感も深くなっただろう。

都合のいいロマンス相手として描かれていると感じざるを得なかった。

終わりに

最初に申し上げた通り、開発への信頼が大き過ぎたゆえに減点評価になりがちな自覚はしています。
またグラフィックのリアリティレベルが高いことで「このグラだと気になる」ということが増えた弊害もあると思う(これは今作に始まったことじゃないが)。

ともあれ、「FFの新作が出る」というお祭りを味わわせてもらったことには感謝したい。
個人的に前作FF15は好きだけど、プレイしたときは「(悪い意味で)やばいもん作ったな」と感じました。FFはもうだめかもしれないとも。
それが今は「次もFFが出るなら買おうかな」と思えている。
次回も第三開発が手がけるのかはわかりませんが、「ゲーム楽しい」という気持ちがわいてくるような作品がまた作られることを期待しています。
あと、スクリプトドクター入れてください。

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