身に付けるべきは高級外車よりも、尊厳ある慣習
ドイツを訪れたことのある方なら、誰でもわかると思いますが、日本では高級外車というイメージ?であるメルセデスベンツは、ドイツではタクシーやトラックとして普通として使われており、取り立てて高級車という扱いではありません。
かつて大学時代の友人がデュッセルドルフに住んでいたことがあって、妻と訪ね、ドイツからイタリアまでアルプスを越えてレンタカーで旅したことがありました。
友人が借りたのは、フォードでした。おそらくリーズナブルな理由からだったのでしょう。
ドイツからいたオーストリア、スイス、イタリアと走ってまた往復した全行程の中でも、日本で時折見かけるような「いかにも高級車!」みたいな車はほとんど見かけることがありませんでした。
フェラーリに至っては、旅行中1台くらいしか見なかったと思います。
ヨーロッパ人は、それほど車のステータスに重点を置いていないように思えました。
したがってヨーロッパではトヨタなどの車は、もちろん「外車」というステータスではなく、「壊れにくい実用的なメーカー」だと聞きます。
「舶来」という言葉が死語になって久しい気がしますが、マスコミなどもいい加減「高級外車」などという言葉を使わないくらいの感覚・知性が欲しいと思います。
それよりもドイツに滞在中、非常に印象に残ったのは、その「市民性」というか「市民としての慣習」でした。
デュッセルドルフという都会でも街中は、非常に静かです。
日曜の夕方などは、アパートの広いベランダに置かれたデッキチェアーで、みな静かにディナーを楽しみます。
また街中のトラムのチケットは、販売機で買って乗降するのですが、トラムの中にチケットを回収するボックスなどが一切ありませんでした。
降りる時に運転士に渡すわけでもありません。
友人に「これでは、ただ乗りできるじゃないか!」と問うと、友人は「知らない。ドイツでは、そんなことはしないという文化ができてるんじゃないの?」と答えました。
今はどうなっているか、一切わかりませんが、私はその時、この上級と言うか、尊厳ある市民性に驚いてしまいました。
そしてこういった文化、精神性こそ求め、身に付けていくべきものだと考えます。
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