私が対州馬を絶滅から救いたいと思う理由 その㉘
調教 = 「向き」のこと
「馬語を話す」は、もちろんですが動物と話す時、この「向き」は大変重要なことだと思います。
考えて頂きたいのは、群れをつくる動物、馬はもちろんですが、犬や鹿などの体の造りを見てみると、体の「向き」に重要な特徴があるということです。
ひとつは、後ろから見える特徴です。馬を知る方なら、足の後ろ側に「夜目(よめ)」と呼ばれる反射板のようなものがついていることをご存知だと思います。
犬や鹿の尻尾の裏や肛門の辺りは、闇夜でも目立つような色になっていることが多いのもご存知でしょう。
これは、夜間に群れで移動する時に、後に続く子どもや他の仲間に「進む方向」を示すものです。
つまり「背を向ける」=という位置は、おおざっぱに言うと、「ついておいで」という意味(言葉)になります。
もうひとつは、「目」です。馬や鹿、犬などは、人間と違って細長い頭蓋の両側についていて視野が広くなっています。これは、背後から襲ってくる天敵から身を守るためということも、ご存知でしょう。
これらの動物を背後や横から見ると、1つだけ見えます。
しかし、真正面からみると、2つの目が見えます。
これもおおざっぱに言うと、2つの目の見える位置に、2つの目を見せて立つ。つまり正対すると、「止まれ」という意味(言葉)になります。
テレビなどで、人を怖がっている犬とタレントさん等が、馴染もうとする時に、正面からじっと迫って「ほら、おいで!」とずっと言い続けているといったシーンを見たりしますが、動物は「複雑な言葉の意味」を理解しないので、犬語としては、「なんだ、お前は。そこにいなさい」と言う意味になってしまっているのだと思います。
この、「向き」については、クラウス・フェルディナンドなども、繰り返し述べていますね。
もちろん、私もひん太と接する時に、この「向き」を大切にしました。それでも、「向き」だけでは解決できないことも多かったのですが。