見出し画像

今年の高校野球長崎県大会決勝は、少子化の進む、かつての炭鉱地帯の公立校同士の対戦

令和2年の高校野球大会の決勝。

つまり、優勝しても甲子園の無い県大会の決勝です。しかも観戦できるのは部員と限られた保護者だけで、応援団はもちろん、声援さえもありません。

そんな切なすぎる今年の長崎県大会・決勝は、今日行われる長崎県立大崎高校(西海市) 対 長崎県立鹿町工業高校(佐世保市鹿町町)。

ともに公立高校で、同じ炭層に位置する、かつての炭坑で昭和初期に賑わい、今は少子高齢化にあえぐ地域にある高校です。

長崎県立大崎高校はともに長崎県の離島で、大島と崎戸島の分校が統合し、昭和27年に開校した学校で、普通科3クラスと採鉱科1クラスでスタートしています。

大島には松島鉱業所大島炭鉱があり、崎戸島には三菱鉱業所崎戸炭鉱があり昭和の時代、全国から集まった鉱員さん家族によって大変栄えました。

「崎戸炭鉱・鉱員社宅街」

画像1

「崎戸でのお祭り。日記によると、最盛期は中学校で1学年16クラスあったといいます」

画像2

長崎県立鹿町工業高校は、昭和37年開校。閉山した御堂炭鉱の跡地にできた高校です。

「御堂地区の炭坑住宅街。御堂炭鉱以外にも深江炭鉱など大小の炭鉱で栄えました」

画像3

「近くにあった国鉄伊佐線-松浦線の江迎駅での様子です。御堂地区の積み出し港には他地区の炭坑地帯より空中ケーブルで石炭が運ばれ、北九州の発電所などに向けて出荷されました。親子の服装にも景気の良さが伺えます」

画像4

しかし、崎戸鉱は、昭和43年、大島鉱は昭和45年閉山し、炭鉱のあった街は例外なく人口が激減し、縮小していきました。

現在の両地は、想像に難くないと思いますが、少子高齢化が顕著となり、部活動はおろか、学校の存続さえ危ぶまれる状況となっています。現に長崎県でも小・中・高のうち必ず何校かは毎年閉校しています。

画像5

画像6

そのような状況下にあり、野球部の県大会でこの2校が対戦するということは、私たちの世代にとっては感慨深いものがあります。

どちらが優勝するにしても、せめて1試合だけでも甲子園の土を踏ませてあげたいと思うのですが、それも叶わない、切ない願いです。

しかし、両校とも試合後は堂々と胸を張って地元に凱旋してほしいですね。

画像7

画像8

画像9

鹿工


※「チップ」は有難く拝受させて頂きます。もし、この記事が多少でも役に立った、或いは「よかったので、多少でもお心づけを」と思われましたら、どうぞよろしくお願いいたします。贈って頂いたお金は1円たりとも無駄にせず大切に使わせて頂きます。