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みそ五郎どんの高岩山をガイドするのは、かつて主のいなかったビーグル犬・大五郎

南島原市・高岩山には「みそ五郎どん」という心優しき大男の伝説があります。

その伝説とは・・・・・

『 昔むかし、西有家で一番高い高岩山に大きな男が住んでおった。この大男、人が良く、ちから持ちでだれやかれやから好かれておったそうな。みそ五郎どんは畑仕事の手伝いをしたり、山を切り開いて、畑を造ったりして、みそを分けてもらっておった。 高岩山を住みかにしとったので、朝起きて雲仙岳に腰を下ろし、有明海で顔を洗うのを日課にしておった。 そして、唯一の楽しみは雲仙岳に座り、高岩山の八間岩に足をのせて、九州の山脈、遠くの海を眺めることじゃった。そのころ遊んだお手玉石や足跡のくぼみが、今も高岩山に残っている。今日も、大きな鍬をかついで、山を切り開いて、畑にする仕事をしておった・・・・・ 』

 というもの。人が良くて、力持ち。おまけに働き者・・・という、いかにもこの地方らしい、とても良い人物なのです。(画像は、西有家町にある南島原市役所前のみそ五郎どんの像)


みそ五郎どんゆかりの高岩山は、南島原を見下ろす高峰。その高岩山の麓にあるのが塔ノ坂(とうのさか)という小さな集落で、この塔ノ坂集落には、みそ五郎どんの人柄にも負けない、大変性格が良く利口な「大五郎」という犬がおります。(画像は、高岩山と塔ノ坂集落)

ビーグル犬・大五郎との出会いは8月の下旬のこと。高校生の息子と小学生の娘、そして父、というメンバーで高岩山登山へと向った時のことです。
南島原市塔ノ坂(とうのさか)集落に車を置いて出発。
塔ノ坂は平成24年度末に閉校となった長野小学校塔ノ坂分校の取材で来て以来でした。分校も無くなり、寂しくなったなぁ・・と思いながら歩いていると、1匹のビーグル犬が我々を見つけ、じゃれついてきました。犬好きの娘はただ大喜びでした。

そしてこのビーグル犬、そのままぴょこぴょことついてきます。どこの犬だろうか?と登山口付近で作業をしていた男性にたずねると、「誰かが以前置いていった犬で、この集落に居ついている犬。たぶん山までついていくだろう」とのこと。
他の人に「この辺りは猪が出るから気をつけて!」と言われていたので、「犬と同行できるのは、有難いぐらい」に考えていました。

我々が立ち止まっても、必ず先のほうで待っていてくれ、そのかわいらしい姿に大いに癒されました。特に娘の足取りが快調であったことは、いうまでもありません。

その後も我々の後になり、先になりしながら、頂上まで案内してくれ、その間我々はガイド犬付の登山を楽しみました。

「頂上に着いたら、ビーグル犬に、ご褒美として、おかずを分けてあげよう」と思っていました。というのも、九重の伝説のガイド犬平治は、最初の頃、登山客の弁当目当てについていった、といエピソードを思い出したからです。
しかし、犬は頂上付近に到着する直前に姿をけしてしまいました。がっかりした娘に、『きっとまた後で会えるから』と言い聞かせながら、昼食を済ませ、出発した塔の坂集落目指して下山しました。

すると、やはりいました!彼は、我々が頂上に着いたことを確認した後、集落に戻っていたのです。

早速残してきた唐揚げをあげることに。

本人?も、もらう気満々で、明るい声がはずみました。

犬がいた家の人に聞いてみると、名前は「大五郎」で、自分の家の犬として飼っているのだとか。野良犬だったら、連れて帰りたいと言っていた娘も安心しました。

さて、大五郎くんとも別れ、長崎市に向け出発することに・・・・。
しかし、彼のガイドはまだ終わりではありませんでした。車についてダッシュしながらついてくるではありませんか。
『もうここで、いいよ』と途中で言い聞かせても、帰っていきません。

結局、彼の姿が消えたのは、またもや行き先を見届けた、塔ノ坂集落の外れ辺りでした。

心優しき、みそ五郎どんの里には、心優しきガイド犬、大五郎が頑張っています。
あなたもいつか、この名犬・大五郎くんに出会えるかもしれませんね!

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