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「ラーゲリより愛をこめて ~ 山本 幡生という、人柄と主張

元々、シベリアに抑留されていた収容所に、「クロ」と呼ばれる野良犬が住み着いて日本兵たちになつき、その犬はなぜか、ソ連兵をみると吠えるので収容者たちに可愛がられていたというエピソードは知っていた。
また、そのクロは、収容者たちは、引き揚げの際、どうにかして引き揚げ船の出る港までついてきて、最後は船を追って、海に飛び込んで泳いできたのを船長が停船して助けたという結末も。

ですから、この映画を観たいと思った理由は、そのエピソードが使われているからというものでした。

※以下、映画のネタバレを含みます。

見終わった感想はともかく、心に残ったのは、主人公のモデルであった「山本 幡生」という人物のことでした。
山本さんは、帰国叶わず、外地で亡くなったのですが、原作「収容所(ラーゲリから来た遺書」(辺見 じゅん著)にあったように、帰国した元収容者たちが、暗記していた遺言を妻に伝えるという事実をベースにしています。

そこまで収容者たちに慕われた理由というのは、映画や書物の中で表されていますが、一言で言うのならば、それは「人柄(価値観、思考方法など)」であると思います。

「穏やかな人柄」というだけでなく、「穏やかさ、寛容さをベースにした主張、表現、活動の方法を身に付けていた」とでも言うのでしょうか。


テレビで国会中継などをラジオで聴いていて、たまに「一方的に感情的に与党を糾弾し続ける野党議員」がおります。こういう人は、たとえ言っていることが100%正しいとしても、大衆の賛同を得られることはありません。
むしろ、不快さから反感をかいます。

山本氏のように、ソ連側や収容者内にはびこっていた軍国主義に抗う時にも、「相手の立場を理解する寛容さと穏やかさ」を示してこそ、共感を呼び、主張が通るのだということを教えられます。
また、いかなる制圧的な環境に置かれても、かすかな希望から「大きな生きる希望」へとつなげられるということも、後世に示した人ではなかったかと思います。



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