ナチス・ドイツによるユダヤ人のホロコーストを加速させた、史上最悪の会議と呼ばれる「ヴァンゼー会議」が開かれたのは、1942年1月20日です。
場所は、ベルリンのヴァン湖畔にある豪邸。
この映画には、一切の戦闘シーンやドラマチックな映像は無く、約90分間、淡々と会議の模様が再現されています。
これは、映画の中にも表される「会議録」が完全な形で残されていたが為です。
私たちは、絶対に過去の一場面に戻って、その様子を見ることはできません。しかし、ひとつだけ、その方法があります。
それは「映画の中で見ること」です。
私は、この日の朝、数か月前に購入した文庫版の「アンネの日記」を開いていたのですが、「ミープ・ヒース」というアンネ家族たちの隠れ家生活を支えた一人の女性のことが気になっていました。
そして、そのタイミングで、「ヒトラーのための虐殺会議」が明日まで上映されていることを思い出し、急遽駆け付けたというわけです。
館内は、平日にも関わらず、意外に多くの老若男女の方が鑑賞に来られていました。その思いは様々なものであったでしょうが、皆さん一律に「これは見なければ」という思いがあったのではないでしょうか。
「ヴァンゼー会議」の出席者たちのその後を調べてみましたが、大半が、その数年以内に暗殺されたり処刑されたりしています。
しかし、その代償は600万人とその家族の悲しみを考えると、軽すぎるとも思えます。
あらためて、「人が生きる」とは、何なのか?と考えさせられました。