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私が対州馬を絶滅から救いたいと思う理由㉜

ホルター(無口頭絡)に引き綱を付けて歩く②

まず生まれてから一度も綱で繋がれたり、曳かれたりしたことの無い馬にとって、綱は非常に「違和感がある怖いもの」です。

ですから、この綱(物体)は、「君を縛ったり、強制するためのものではない」というイメージ付けをしなければなりません。

もし、そのようなイメージを植え付けてしまったら、先に書いた逃げ出した馬のように、綱に対するトラウマを植え付けてしまうでしょう。

そうではなく、「この綱は、君と私とを文字通り繋ぐ信頼のようなもの」というイメージを持たせなければなりません。(それでも、そのような状態に持っていくことは実際には至難の技ですが)

やはりまず最初は、綱そのものに慣れさせます。
最初、手に持って匂いを嗅がせたり、給餌中、近くに掛けておきます。
次に、顔以外の体に触れさせ、体に掛けたりします。

ここまで問題が無ければ、ホルターの金具に付け、いきなり曳いたりはせず、すぐに外し、これを繰り返した後、付けたまま体に掛けておく時間を長くします。このあたりの感覚は個体差もあるので、馬の様子を見ながら臨機応変に対応します

またこの段階に入る時点で、馬のいる柵内に入った時に、馬が注目し、背中を見せると寄ってくる状態になっている必要がありますが、この理由は㉘ の「向きのこと」で述べていますから、読んでみてください。

https://note.com/horse_whisperer/n/nc2cc06d8cb07?magazine_key=m693f20ed2eff

クラウス・フェルディナンドは、「曳き馬にこそ、馬とのコミュニケーションを創る全てがある」と述べているように、このプロセスにこそ調教における最も重要なものがあると考えて頂いて間違いないと思います。

いよいよ綱をつけて馬と歩くわけですが、いきなり引っ張ってももちろん歩きません。下手をすると、「何をするんだ!」という強い反発を招いてしまいます。

まずは向かい合って立ち、綱にテンションをかけていない状態で、馬に綱で繋がっていることを見せます。
馬は正面を見ることはあまり得意ではないですが、ちゃんと見せれば、ちゃんと見ます。

新しい馬具などを付ける時もそうですが、「これをつけるけど、これは怖いものではないからね」とちゃんと伝えることが馬にとってはとても大事です。

馬が綱を確認して、目線を外すなどの様子が確認できたら、次の段階に入ります。

もし、馬の顔が緊張して綱を凝視し続けているようであれば、綱に対する恐怖心がありますので、そのまま次に進むことは厳禁です。
綱に対する恐怖心や抵抗が無くなるまで根気強く慣れさせる必要があります。
例えば、綱を付けさせた後には、リンゴをひとかけ与えるとかすると綱に対するイメージが良いものになります。


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