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HACHI 約束の犬 (Hachi: A Dogs Tale)は、理屈抜きに映像を見てほしい作品

もう5~6年前になるだろうか?
ブックオフでこの映画のDVDを見つけたので購入した。安かった。

買ったものの、この話は「泣ける動物もの」だから長いこと見ずにしまっていた。
しかし、あるきっかけから何気なく見ることにした。何の先入観も無く。

結果から言うと、「泣けた」のではない。
うまく言えないが、幼い頃わんわん泣いた?以来の「泣き」だった。
ただ泣いたのでも泣けたのでもない。

つまり理屈では無く、胸の奥を揺さぶられた。
亡くした馬のことが一気にあふれ出た。我慢していたものが、その時にすべて噴出したと言うべきか。

飼い主とハチが一緒にいたのは2年あまり。
飼い主が急死した後、ハチが駅に通ったのは、10年余りにも及ぶ。

それは、「ハチが特別忠誠心が強かった」ということではなく、ハチと教授が一生続く信頼関係を築いていたということを意味する。

私自身が今、ハチ側に立ち、馬の面影を毎日訪ねている。


実際のハチの事を調べてみると、ウィキペディアで既にかなりの情報が集まってくる。
しかし、現実は映画よりももっと哀しく、大正~昭和初期の日本人の犬に対する認識は酷いものであった。
まだ野良犬が多くいる時代で、「野犬狩り」なども盛んに行われていたのだが、大人しかったハチは、いたずらをされたり乱暴をされたことも頻繁にあったようである。

例の片方だけ垂れた耳は、生まれつきでなく、野犬に嚙みつかれたためで、その傷は貫通するほどひどいものだったらしい。

新聞に載り、有名になってからも、焼き鳥を串ごと食べさせるような人間もいて、死後の解剖では、胃の中から串数本が見つかっている。

このようなまだ犬のことを「畜生」としか見ていなかった時代に、上野教授が、ハチと「犬語」を話し、強い信頼関係を築いていたことが、今も尚、国境を越えて観る者の胸を揺さぶるのであろう。

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