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#ミープ・ヒース

少女の日記としてではなく、一人の人格ある人間のものとして「アンネの日記 増補改訂版(文春文庫)」を読む ⑯ アンネの一番の望みは、彼女の死後実現したということ

                                                                                                                                                                                                                                                

ドラマ・シリーズ「正義の異邦人:ミープとアンネの日記(原題:A Small Light)」

とても秀逸なドラマ・シリーズで60分の8話から成る。 題の中の人名、ミープ・ヒースは、アンネ・フランクと7人を隠れ家でかくまった、主な4人の内の中心的な人物である。 幼い頃、オーストリアからオランダ人家族の元に養子にきた女性であり、歴史的にはアンネ・フランクに比べると、ほぼ無名であるが、ナチス・ドイツのホロコーストに真っ向から立ち向かった一人間としては、後世まで語り継がれるべき人である。 このドラマは、史実に基き、演出上の脚色は加えられているものの、事実を歪めるものではまった

8月4日に、ミープ・ヒース著「思い出のアンネ・フランク」第三部「暗黒の日々」を読む

8月4日は、1944年にアンネ・フランクを含む8人が、アムステルダムの隠れ家からゲシュタポによって逮捕・連行された日である。 従って、今日全世界で2,500万部以上の発行部数を記録し、世界記憶遺産にも認定されている「アンネの日記」は、1944年8月1日の日記が最後となっている。 逮捕・連行された日が、8月4日であることを知っていたので、「アンネの日記」を読んでいる間も、8月の日記が近づいてくるに従って、胸が苦しくなったので、実際に彼女らが味わった恐怖というものは、いかばか

少女の日記としてではなく、一人の人格ある人間のものとして「アンネの日記 増補改訂版(文春文庫)」を読む ⑤ ミープ・ヒース

アンネ達、8人のユダヤ人をかくまい、手助けしたのは、以下の引用に出てくる4人の一般オランダ市民だった。 もちろん、かくまった事がナチ親衛隊にばれると、自分たちにも命の危険が及んだのである。 私は、特に日記の中にミープ・ヒースという女性の名が頻繁に出てくることに気が付いた。 オーストリアで生まれたミープは幼い頃、実親が貧しく、子どもに十分な栄養を摂らせてやることができなかった為、裕福なオランダ人の家庭に引き取られ育ったという経歴を持っていた。 引き取った先のオランダ人家庭は、ミ