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#炭鉱

劇場のスクリーンで「空の大怪獣ラドン」の中の、昭和30年頃の坑道内と炭鉱街の「天然色のリアル」に触れた

かつて県内のいたる所に存在した炭鉱と炭鉱街。 それはどんなことをしても、当時を再び見ることはできません。 数枚残されているかどうかというモノクロの写真だけが手がかりで、それすら無いところばかりです。 今、かつて炭鉱があった場所に立ってみても、「本当にここにそんな場所があったとは、到底信じられない」ような所ばかりで、果たしてそれが正しいのかどうかすら疑問になります。 しかし、ほぼ唯一。昭和30年頃の炭鉱街を当時のカラーのまま、見ることができるのが、表題にある東宝映画「空の大

地底の記録ー呪詛 坑内馬と馬夫と女坑夫 ① 武松 輝男 著

目 次 1埋葬地 墓標のない埋葬地 2坑内馬 馬買い 鼠 石炭運搬 体高減少 3馬夫と女坑夫 坑夫募集 廃疾 賃金と生活 4人柱、馬柱 文柱 贄 栄光と没落 5あとがき 参考・引用文献一覧 墓標のない埋葬地  『坑内で死んだ馬が埋められたのは、あそこの、ほら、緑で覆われている小高い丘があるでしょ、ネ、あそこ一帯ですよ。  あんた、埋められたところを探しに行くとですか。それはやめた方がよか。あの緑で覆われたあたりはですナ、昔はずうっと丘が続いていたとです。それを

軍艦島ツアー前後に、ぜひ一読を薦める 「1972青春 軍艦島」(大橋 弘 著)

フォト&エッセイであるが、写真集と言ってもよい本。 軍艦島が閉山となる1974年(昭和49年)の約1年前、カメラマンを志す一人の若者であった大橋氏が、50㏄のスーパーカブで東京から長崎にやってきて、たまたま賃金のよかった軍艦島(三菱鉱業所端島鉱)に半年間に移り住んでいた時に写した写真がメインである。 ただの旅行者やジャーナリストではなく、炭鉱労働者として生活した視点から撮影した大橋氏の若い感性が光る写真が多く、他の写真集とはまったく視点が異なる。 私は、写真に関してはまっ

今もお茶の間で親しまれるサザエさんの作者、長谷川町子さんは炭鉱町気質!?

TVアニメ「サザエさん」は今や日曜夕方の代名詞ともなっている観がありますね。 アニメ自体はややインパクトに乏しい感じもしますが、そのベースに流れているものは基本、穏やかなヒューマニズムであり、BGMがわりにつけておけば、苛々させられることもありません。 作者はご存じ、長谷川町子さんですが、意外にも自身は生涯独身をつらぬいており夫や子どもという家族を持った経験がありません。しかし、同居していた母や姉妹、姪っ子、更にはペットたちがその家族としての役割を十二分に果たしていたことが