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2024年4月の記事一覧

F.P.レシェトニコフ 「Deuce Again」

作品のタイトルである「Deuce Again」は、「再試験」とでも訳せばいいだろうか。 家族から一斉に冷たい視線を浴びせられる中、飼い犬だけは帰宅した男の子を「大歓迎」している。 無垢な動物の存在が人にとって、いかに重要なものであるかを旨く表している作品である。 私が幼い頃住んでいたアパートでは、犬を飼うことが禁止されてはいなかった。 「ペロ」という名のダックスフントを飼っていたのだが、やはり彼は重要な存在だった。 夜眠る時、兄と交代でペロと一緒に寝ることが許されていたし、

NHK 映像の世紀 バタフライエフェクト「東京裁判」を観て

現在までの世界史で、最も被害・犠牲規模が大きかった第二次世界大戦。 その終結後、戦勝国である連合国が敗戦国である日本に対して行った「東京裁判」(正式には極東国際軍事裁判)。 そもそも「戦争」が、裁判によって裁かれ得るのか?という大前提は、今なお論議を呼んでいるところである。 これについては、日本の被告側を弁護したベン・ブルース・ブレイクニーが以下のような発言を遺している。 この問題定義こそ、当時の日本がどうだ?とかいうことではなく、未来に語り継がれるべき「言葉の遺産」であ

馬場 雄大 選手に捧ぐ 

長崎ヴェルカが昨年、B2プレーオフを突破して、B1に昇格した。 私は、佐賀市の佐賀アリーナで、佐賀とのプレーオフ決勝を観に行ったが、正直B1でのヴェルカには何の期待も無かった。 第一に、昇格を決めた後のマネージメントに腹が立った。 市内をパレードした後に選手が年間何十万円もする高額なチケット、いわゆる「年パス」を販売するチラシを手渡し配布していた。 その直後、半分近い選手が契約解除もしくはB2、B3リーグへの移籍となったことが発表された。 つまり水面下では首切りとなっていた選

少女の日記としてではなく、一人の人格ある人間のものとして「アンネの日記 増補改訂版(文春文庫)」を読む ⑯ アンネの一番の望みは、彼女の死後実現したということ