M-1 2022 決勝戦感想

  1. カベポスター

良さを最大限に活かしたロジカルな漫才。ボケのワード一つ一つでも笑いが取れ、構成も切れることなく後半に回収する上手さもある。二人のたたずまいと声のトーンが非常に落ち着き、いつまででも聞いてられる。トップバッターでなければ去年のモグライダー同様もっと点数が高かっただろう。

2.真空ジェシカ
今年も圧巻のコント漫才。シルバー人材センターという、どう笑いに結び付けるのかというところから、一気に世界観に引き込む。お笑い番組や漫画を使ったボケもあり、まさに30代前半がドツボにハマる細かいボケも用意しつつ、最大の強みであるブラックな強ボケと嘆きツッコミで笑いをかっさらった。今年は去年よりもブラックなボケが多くて非常に良かった。後半がちょっとごちゃっとした箇所はあったように感じたが、2番手で647点は見事。
来年は確実に優勝を仕留めたい。

3.オズワルド
敗者復活はオズワルド。令和ロマンとの一騎打ちを制した。令和ロマンも敗者復活で大爆発していた。来年はストレートで決勝にいるだろう。
今回も圧巻のしゃべくり漫才だったが、前半に笑いがあまりなく期待値を超えられず終わってしまった印象。伊藤の強ツッコミで笑いを取るシーンはあったが、全体の流れでそこまで取り切れず。去年の一本目を超えるネタではなかった。

4.ロングコートダディ
笑い飯のようなダブルボケで勝負をしてきた。シンプルな構成かつ、ワードのみで笑いを取る非常に高度な漫才ながら、全て外さずまごうことなく走り切った。ここも真空ジェシカ同様、ワード自体が強いので一個一個の展開に非常にワクワクさせてくれる。流石の高得点。

5.さや香
まさに大阪のしゃべくり漫才。そこまでハマらなかったが、トップ通過。
普遍的なテーマかつ、雑談のような雰囲気であそこまで笑いが取れるのは漫才の理想形であると思うが、熱量が高すぎてそれについていけなかった。審査員が高得点なのも納得だが、自分はかまいたちのような、徐々に熱を帯びていくほうが好み。

6.男性ブランコ
非常に上品なたたずまいから、凄い角度からのコント漫才。場にわからさせるのも非常に上手く、ただ慌てているだけでも面白い。設定自体が強いと内容自体はシンプルでも最高に面白くなることを証明してくれた。男性ブランコはこのような凄い設定の漫才以外にも、ベタなコント漫才からの超強力なボケがさく裂する漫才も持っている。今後は決勝の常連になりそうだ。

7.ダイヤモンド
三回戦で披露していた漫才。会場もウケずすべっていた。最初の掴みから会場を掴み切れずに終わってしまった。不自然ローソンの下りも予選では爆発していたが、そこも不発。システムチックな漫才からしゃべくりっぽい雰囲気に変えてきたが、一昨年のスタバのネタの方が面白かったと思う。決勝もサプライズ選出っぽいレポを結構見たが、令和ロマン等があがるべきだったのではないか。最下位は妥当。

8.ヨネダ2000
一番自分達の世界観を持っている漫才師。設定の表現力がすさまじく、何故か笑えて来てしまう。個人的には去年の準決勝ネタの方が好みだが、世間に実力を十分に見せつけた。まだ結成二年目という驚異のルーキー。女性っぽさを一切武器にしない、ランジャタイに次ぐ不思議な漫才師だ。

9.キュウ
ここもダイヤモンド同様、すべっていた。最初にハマらず大きな盛り上がりもなく終わってしまった。予選でかなりウケていたと聞いたので期待していたが、残念な結果。スローテンポなのはやはりM-1の舞台では非常に厳しいのを再認識させられる結果となった。

10.ウエストランド
悪口をひたすら言う、まさにウエストランドなネタ。ここは自分はハマらず。悪口のワードもそこまで切れ味が鋭くなく、割とベタな印象だった。
ただ、平和な笑いが求められている時代に逆行しているのも相まって審査員の評価も高かった。ここまで高評価なら2017年あたりに決勝に行ってもおかしくなかったではと思ってしまう。

最終決戦を制したのはウエストランド。
M-1は予選から大勢の人が注目する大会となり、レベルも上がっていると言われているが、決勝を終えると頭抜けて面白いコンビはいなかったなと思う。
来年は令和ロマン、ストレッチーズあたりは決勝にいるだろう。
真空ジェシカ、男性ブランコが来年の優勝候補だと思われる。

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