殺人ワークショップ (2014)

製作国: 日本
上映時間: 1 時間 15 分 (75 分)
日本公開: 2014 年 9 月 3 日
監督: 白石晃士
U-NEXT で視聴。

うろ覚えのストーリー

同棲している男から家庭内暴力を受けている女は、人の殺し方を教えるというワークショップの案内を受け取る。講師の指導のもと、ワークショップの参加者たちは殺人を実践する。

レビュー

たしかに魂が解放されたかも
星 3 ★★★☆☆

オープニングの家庭内暴力のシーンから、画面に引き込まれてしまった。
決して激しい暴力ではないのだが、罵声のひとつひとつも妙に生々しく、しっかり不快な気持ちにさせられた。
この暴力描写があるからこそ、殺人ワークショップという突飛な存在について何の説明や正当化がなくとも、主人公がそれに縋ってしまうことに納得感が生まれていると思う。

殺人ワークショップの講師役を演じるのは、白石監督のモキュメンタリー作品群ではお馴染みの宇野祥平。
渋谷の交差点を歩くシーンはファン向けのサービス ショットか。
講師の佇まいや喋り方からは "ヤバい" 雰囲気がぷんぷん伝わってきて、タイトル コールの時点で既にキャラクターがはっきり立っている。

殺意を共有した参加者たちの連帯と不信、明らかな異常者である講師に従わざるを得ない恐怖、後悔ともう引き返せないのだという絶望、殺人の実践を前にした怖気や逡巡…
物語の進捗とともに揺れ動く参加者たちの感情と、一貫してサイコパス的な講師の言動が鮮明に対比されている。

エンディングに至る展開は想定を超えるものではなかったが、最後まで観終わった後には、エンディング テーマも相まって不思議と満たされた気持ちになった。
これが映画のコピーにあった「魂の解放」というやつなのか。
倫理的な主張には踏み込まずに、淡々と暴力を映しているだけなのに、どうしてこう清々しい気分 (ある種の救済?) を与えることができるのだろうか。

ちなみに、ホラー映画ではないのでこの note でレビューすることはないが、『罪の声』の宇野祥平の演技もとても良かった。

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