怪談蚊喰鳥 (1961)

製作国: 日本
上映時間: 1 時間 18 分 (78 分)
日本公開: 1961 年 7 月 5 日
監督: 森一生
U-NEXT で視聴。

うろ覚えのストーリー

三味線の師匠である女は、馴染みの按摩が亡くなったことを按摩の弟から告げられる。やがて女は按摩の弟から言い寄られるようになるが、女は情夫と共謀して彼から金を騙し取ろうとする。

レビュー

まとまりのよいホラー風味の愛憎劇
星 3 ★★★☆☆

霊的な描写はほとんどなく、ホラーというよりは、ホラー風味に味付けされたサスペンス。
しかしながら、数少ないホラー描写もなかなかに印象的である。
分かりやすい記号や演出は使われないものの、いま画面に映っているこの人は、生きている人間ではなく幽霊なのだとはっきり伝わってきた。

78 分のストーリーにおいては、三者 (女、情夫、按摩) それぞれの欲望と思惑が交錯し、パワー バランスは二転三転する。
特に按摩を演じる船越英二が素晴らしく、卑屈におい縋る小物の姿から、憎々しさ満点の傲岸不遜な態度まで見事な変わり身を見せる。
最後まで話の行く末に集中して観ていられた。

全体的に暗い画面が多いが、不思議と観づらさはあまり感じなかった。
日本家屋のセットの中で、視点の奥行きや動きを感じさせる構図が記憶に残った。
普段新しめの映画ばかり観ていると、少し古い映画を観ることは何か別の体験をしているようで新鮮だった。

原作は劇作家の宇野信夫。
『曽根崎心中』の脚色、演出に功績がある方のようで、本作も世話物っぽさがある。

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