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占い師の倫理について考えてみた

昨年末から、少しずつ占い鑑定を有償でさせていただいています。

占い師という仕事は、特別な資格や検定などがあるわけでなく、「占い師」と名乗れば誰でもなれる職業です。
もちろん、職業上のガイドラインやコンプライアンスもはっきりしていないので、個々人のモラルによりさまざまな品質の占いが提供されている状況です。
(ここでいう品質は、「当たる・当たらない」でなく、お客様にとってのメリットデメリットです。当たるかどうかは、メリットのひとつにすぎません)
ただ、その個々人のモラルの認識にめちゃくちゃ差があるので、業界内で議論や炎上が起きたり、占いの被害者(金銭的・精神的・社会的など)が出たりするんですよね。

私も占い鑑定でご依頼者様と関わる中で、やはり職業倫理のガイドラインははっきりさせておかないといけないと感じました。
これは有償無償に関わらず、ですね。
ご依頼者様のためでもあり、また何かトラブルが生じたときに「自分は間違ったことをした」と後悔しないためでもあります。

占い師という仕事は、仕事を覚える過程やケア対象との関わり方など、いろいろな面において、看護師の仕事ととても似ています。
そこで、「看護師の倫理綱領」を参考に「占い師の倫理綱領」を書き出してみます。
「看護」を「占い」に変えて考えてみましたが、占い師のためにあつらえたようにしっくりきます。


1.対象者の権利を尊重せよ

★占い者は、人間の生命、人間としての尊厳及び権利を尊重する。
「(前略)占い者は、いかなる場でも人間の生命、人間としての尊厳及び権利を尊重し、常に温かな人間的配慮をもってその人らしい健康な生活の実現に貢献するよう努める。」

▶鑑定対象者の、生きる権利を尊重するということですね。

2.対象者を差別区別するな

★占い者は、対象となる人々に平等に占いを提供する。
「占いにおける平等とは、単に等しく同じ占いを提供することでなく、その人の個別的特性やニーズに応じた占いを提供することである。
(中略)また占い者は、個人の習慣・態度・文化的背景・思想についてもこれを尊重し、受け止める姿勢をもって対応する。」

▶「金持ちだから」「恋愛至上主義だから」など鑑定者の価値観やレッテルで、対象者への態度や扱い方を変えてはいけないということですね。

3.信頼関係を築け

★占い者は、対象となる人々との間に信頼関係を築き、その信頼関係に基づいて占いを提供する。
「占いは、高度な知識や技術のみならず、対象となる人々との間に築かれる信頼関係を基盤として成立する。
(中略)占い者は、自己の実施する占いが専門職としての支援であることを自覚し、支援上の関係を越えた個人的関係に発展するような行動はとらない。(中略)また、人々の顕在的潜在的能力に着目し、その能力を最大限生かすことができるよう支援する。」

▶脅しや強制でなく、人と人との信頼関係に基づいて助言しろってことですね。「地獄に行くわよ」とか言っちゃダメ絶対!
▶鑑定対象者と恋愛関係や個人的なパトロン関係にもちこもうとするなってことですね。「あの人と付き合っちゃダメ」とか言って私生活面倒見させてはダメ絶対!
▶なんでもかんでも占い師の言うなりの依存関係や支配関係にするなってことですね。

4.鑑定結果の伝え方

★占い者は、人々の権利を尊重し、人々が自らの意向や価値観にそった選択ができるよう支援する。
「人々は、知る権利及び自己決定の権利を有している。(略)意思決定支援においては、情報を提供・共有し、その人にとって最善の選択について合意形成するまでのプロセスをともに歩む姿勢で臨む。
(中略)自分自身で選択する場合だけでなく、知らないでいるという選択をする場合や、決定を他者にゆだねるという選択をする場合もある。」

▶より幸せに生きるための、意思決定支援、アドボカシー(代弁)について触れています。「病気になったからといって、大好きだった酒やラーメンを死ぬまで口にしないようにさせるのが対象者にとって幸せなことなのか?良い看護なのか?」というのと同様の視点を、占いでも持っていたいものですね。
▶アドボカシーは、占いでいうと、本来の自分・潜在意識・インナーチャイルドなどの姿や意志をお伝えし、その方らしい人生とは何かを考えるきっかけを与えることですね。
▶悪い(凶兆の)鑑定結果を、そのままズバリ伝えるのがよいことなのか?という視点ですね。
▶この項目はとても重要だと思います。

5.個人情報について

★占い者は、対象となる人々の秘密を保持し、取得した個人情報は適性に取り扱う。
「(略)個人情報には、氏名や生年月日といった情報のみならず、画像や音声によるものや遺伝情報も含まれる。
(略)(情報通信技術について)占い者は、業務上の利用と私的な利用を区別し、その利用に伴う恩恵のみならず、リスクも認識する。また、情報の正確性の確認や対象となる人々と看護職自身のプライバシー権の保護など、細心の注意を払ったうえで情報を発信・共有する。」

▶個人情報の扱いです。対象者についての一次情報だけでなく、鑑定結果やいただいたご感想の取り扱いも重要ですね。
▶また、占い師本人の個人情報も守りましょう。占いはエネルギーワークなので、名前や生年月日などの個人情報がわかるほどサイキックアタックされるリスクが高いそうです。

6.悪い占い師を許すな

★占い者は、対象となる人々に不利益や危害が生じているときは、人々を保護し、安全を確保する。
「占い者は、常に、人々の健康と幸福の実現のために行動する。(略)関係者による不適切な判断や行為がなされる可能性や、占い者の行為が対象となる人々を傷つける可能性があることを含めて、いかなる害の可能性にも注意を払い、人々の生命と人権をまもるために働きかける。」

▶ほかの占い師が、お客様を脅したりコントロールしたり傷つけたりしているのを発見したら、見過ごしてはいけません。って、これを真面目にやってたら消耗するので、あまりにも目に余る場合に限り、かな・・・。

7.自分の占断に責任を持て

★占い者は、自己の責任と能力を的確に把握し、実施した占いについて個人としての責任をもつ。
▶できない依頼はしっかり断り、適当な占断はせず、お伝えした言葉については責任を持ちましょう。

8.知識・技術の向上に努めよ

★占い者は、常に、個人の責任として継続学習による能力の開発・維持・向上に努める。
▶占いの知識と技術を研鑽しましょう。また、時代に合わせて価値観や提供方法にチューンアップして、質の高い占い鑑定を提供しつづけましょう。

9.対象者を必要な機関につなげよ

★占い者は、多職種で協働し、よりよい【保健・医療・福祉】を実現する。
▶広い意味でとらえてみると、個人の健康と健全な社会システムに寄与するということですね。分を越えて介入するのではなく、お客様の利益のために必要であれば、医療や法律専門家につなげましょう。

10.モラルをもって行動せよ

★占い者は、より質の高い占いを行うために、自らの職務に関する行動基準を設定し、それに基づき行動する。
▶ペルソナやNG設定、公私の切り分けや時間管理、会話のマナーや鑑定書のリテラシーですね。公共の場で、お客様の悪口とか言わないようにしましょう。

11.占いの研究と実践に励め

★占い者は、研究や実践を通して、専門的知識・技術の創造と開発に努め、占い学の発展に寄与する。
「占い者は、常に、科学的知見並びに指針などを用いて占いを実践するとともに、新たな専門的知識・技術の開発に最善を尽くす。開発された専門的知識・技術は蓄積され、将来のより質の高い占いの提供に貢献する(略)」

▶これは占いの未来に希望をもてる内容ですね。知識だけでなく実践も大切だし、新しい技術を生み出すのも大切!

12.自分自身のケアを

★占い者は、より質の高い占いを行うため、占い者自身のウェルビーイングの向上に努める。
▶ワークライフバランスを取り、メンタルヘルスケアに努め、ハラスメントの危険から身を守れるよう行動する。これ!長く続けるために、めっちゃ大事です!!!

13.占い師としての品格を

★占い者は、常に品位を保持し、占い者に対する社会の人々の信頼を高めるよう努める。
「(略)占い者は、その立場を利用して占い者の信頼を損なうような行為及び不正行為はしない。」

▶占い業界全体の代表あるいは窓口であるかのように、品位を持ってふるまいましょう。

14.社会のために

★占い者は、人々の生命と健康をまもるため、さまざまな問題について、社会正義の考え方をもって社会と責任を共有する。
▶マンデン占星術や金融占星術など、社会の平和に貢献できるようなジャンルもありますしね。チャネリング・リーディング系の能力は、正義にも悪にも働く可能性があるので、この項目のような高い意識も大切ですね。

15.横のつながりを

★占い者は、専門職組織に所属し、占いの質を高めるための活動に参画し、よりよい社会づくりに貢献する。
▶〇〇国〇〇占い協会とか、勉強サークルとかに参加しましょうね。

16.世界中の人の幸せのために

★占い者は、さまざまな災害支援の担い手と協働し、災害によって影響を受けたすべての人々の生命・健康・生活をまもることに最善を尽くす。
▶エネルギーワークですから、できることはたくさんありそうです。今回の震災でも、多くの占い界隈の方々が動かれていましたね。


【参考】看護職の倫理綱領|公益社団法人日本看護協会


いかがでしょうか。
後半は大分スケールが大きく、看護師の場合だとしてもかなり意識高い系のことを言っていますが、全体的にとても納得感があります。
・対象者個人
・占い師本人
・そして社会全体
これらすべての幸福と利益を追求していくことが、倫理綱領なんですね。
占星術でいうと、土星の枠組や美学を持ちつつ、木星の発展性や精神性を最大限発揮していく、というイメージですね。

占いを有償でさせていただくにあたり、迷ったときや葛藤したときは、この倫理綱領に基づいて考えていくのもアリだなと思います。


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