2024/3/15
深夜5時
人気のない高架下
2人の足音が響いている
雑多に入り組む飲食店
湧き出す硫黄の煙
坂の下の海は瑠璃色
明日去るこの街で過ごした3年間の記憶が蘇る
この街の思い出はつまり貴女との記憶だ
私たちは3年間共に過ごし、
そしてそれに区切りをつけることを決めた。
8月、共に観た花火を思い出す。
夏の暑い夜
この日が私たちの最後の夜だった。
帰り道で別れを告げた
自ら別れを告げておきながら、私は喪失感に押し潰されていた
もうどうでもいいんだ
そう思った。
今になって思う。
私は本当に身勝手な人間だ。
謝罪の言葉では済ましきれない。
そして今、私はさらに身勝手を重ねようとしている。
3年間聞きなれた足音とは異なる
軽い足音が響いている。
こんな言葉では著しきれない、
私はどこまでも罪深い人間だ