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愛を込めた感想と勧誘

多少のネタバレこそありますが、肝心な部分はぼかしています。このnoteは感想であるとともに、やってみない?っていうお誘いが目的なので。



新島夕の最新作って以外にも、久々の佐本二厘さん、BGMの水月陵といい、懐かしめのスタッフ陣が、新レーベル立ち上げて製作と聞いていたので発売前から期待してたんですけど、ようやく重い腰をあげてクリアしました。久々にグッと集中してやれたエロゲだったのでだいぶ楽しめた!Hシーンで絶対ヒロインにパイズリさせるタイプのセカイ系美少女ADVだった。

面白さの方向性として先に注意するけど、サイエンスフィクションとは正直言い難いところはあります。フィクションちゅてもいいです。ガジェットはともかくとして、俺はハインライン信者なので、その技術があったとして社会はどういう風な変化を遂げるか、それに対応する現実的な未来の推測って点において物足りなさを感じた。口頭でチラチラ説明はあるけど。出てくる世界の規模に対して関わったのは重要人物のみなので、セカイ系っつっても差し支えない。

彗星が落ちてきたことによってもたらされた病気、彗星病に命を脅かされてる余命短い主人公、愛内周太が七年ぶりに再会した天才、有村ロミから科学特捜部の設立を要求される形でプロローグが進みます。こう聞くとメインヒロインのロミが変人に聞こえるけど、キャラが立ちすぎてる愛内(これに関しては後半上手く作用させてた)に対してマジでしっかりしてた。悲劇性は主人公に割かし詰められてた分、ロミが頼もしさで隣に立ってたのはちょっと新島夕メインにしては珍しさも感じたり。ストーリー上メインヒロインはきっちりやってたにせよ、相棒って方が俺はしっくりきたな。メインヒロインなのにHシーン一回で、しかも終盤すげえ巻いてる中ぶっこんで来た感があったので、そこは苦笑しちゃった。

今回傑出してよかったのは坂下唯々菜ルート。

最近ヒロインの属性として「一般的」だとか「普通」みたいなのが一つの個性になるみたいなとこあったけど(わかりやすい例だと冴えカノの初期の恵みたいなポジ)、上手い具合にそこにハマりこんだキャラクター……って部分も凄い惹かれたんだけど、やっぱ一番慣れ親しんだエロゲヒロイン的だったからだね。立ち位置は一番特殊な子だったと思います。出会った瞬間に羽を幻視し、一目惚れを勘違いするって流れも百点。

この子のルートが本格的に動き出すのは、彼女から「最近家族から一瞬忘れられる」ってことを打ち明けられる時から。周りから、そして主人公からも完全に忘れられる瞬間が出てくるなど、完全に異常な状態にまで事態が進む。周りから完全に忘れられてしまった理由を見つけ出すため、手をつないで共同生活を彼女、坂下唯々菜と送り始める……といったシナリオ。この後のジェットコースターみたいな展開はこの物語自体の肝に関わってくるので触れませんが、とまれ彼女の周囲環境のややこしさ、儚さ、でも関わってる限りはどのヒロインより現実にいそうなラインを兼ね備えた魅力的なキャラだったので、心のやわっこいひっかき傷みたいな感傷が好きな人はこれだけでやる価値あります。最初のHシーンの、「私がちゃんとここにいるって、確認して」は必見。

メインでこそなかったけど十分悪友ポジとして際立ってた片桐と、立ち絵ない癖にやたら出てきた南条さんが印象的な西野ルート、飲食の経営について割とがっつりフォーカスをあて、大人への自覚を次第に持ち始める過程が丁寧だった新田さんのルートも楽しかったです。日常パートがそれ単体で成立させてもいいくらい面白くてストレスなくやれるってのは、新島シナリオのいいところだね。昔からここの部分の積み重ねは本当に上手い。

で、肝心のロミ&グランド(ここはもう統合して一ルート換算します)についてだけど、伏線回収は中々巻きの印象だったね。説明不足を感じる部分も他のルートと照らし合わせれば割と納得できるものも多かったが、にしても終盤のスピード感にはちょっと置いて行かれそうになった。もちろん、今までを締めくくるルートだったので、日常パートには文句なし。所々、設定面での面白さもあった。戦闘は、まあ「バニッシュだ」でほぼ済まされてた時代よかマシだよ。

正直今作ラスボス扱いの方に関しても、え~って思うところはありましたが、ラストのラストで全てを許しました。ぜひ自分の目であの激熱ラストを確かめてください。ヒントはタイトル回収と、Satsubatsu Kidsでおなじみひょんがボーカルを請け負った別バージョンの「新世界のα」です。OP1、主題歌に相当する「新世界のα」はLunaさんが担当していましたが、こんなに男性ボーカルが似合う曲になるとは思ってなかったです。今回、OP1「新世界のα」、OP2の「Answer」の作詞も新島夕が担当してるので、購入する際は箱買いをオススメします。

一応DL版も貼っておきます。


最後に、グランド、もしくはグランドの直前から、それまで主人公「愛内周太」にボイスがつくんですけど、ここで俺らの視点を主人公に入れ込む一人称の視点から、第三者目線へ切り替えていくのは面白かったな。他のエロゲに比べてもかなり主人公のキャラが立ってる方だったので、キャラクターの一人として取れるようにかなと思ってたんだけど(それこそ今までの新島主人公の洸太郎や初雪、渚などがそうであったように)、今回はシステム的に、そして後半で何故愛内を客観的に見なければならないのかがスッと分かる展開は、うならされた。グランドルートでボイスがついているところと、ついていないところを注視しながらシナリオを進めていくと、面白い発見があるので、やってみてください。

改めて総評としては、あらゆる側面でだいぶクセ強い新島夕のシナリオ成分高かったんじゃないかな。俺は凄く好みのシナリオだった。展開の尖り方に反して、読みやすいのもGOOD。Hシーンはまあ、きみしま青のイラストパワーとキャラの可愛さで補完できる範囲です。やたらパイズリさせてたけど好きなの?他の人のおちんちんは知らないけど、大きいんじゃないかなって言われて調子に乗る主人公のおちんちんが10センチっていう謎の俺らへの視線も気になった。俺におちんちんはないのでノーダメ。

ツッコミどころはあるものの、同じくらい光るものがあったエロゲでした。やるエロゲに困ってる、最近何が出てるのかよく把握できてないって人間は是非「アインシュタインより愛を込めて」、いかがでしょうか。


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