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山歩 log|初めてのテント泊:木曾駒ケ岳/千畳敷カール/中岳/伊那前岳

まだまだ残暑が厳しいですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
汗かきな私はまだまだ参っていますが、山ではなんと上下ダウンで過ごしました…そうです! ついに人生初のテント泊に行って来ました!

日が落ちて夜になり、日が昇って朝になること。
当たり前を現実として目の当たりにしました。私が何年も生きてきた世界は、まだまだ全く知らない世界で、その壮大さと美しさに、本当に本当に胸がいっぱいになりました。
まだまだ興奮冷めやらぬなか、鼻息荒めに今回の山歩について綴ってみたいと思います。

Day 1|千畳敷カール~宝剣山荘~中岳

今回の登山は初めてのパターン。車から歩いて登山口ではなく、バスとロープウェイを使い、千畳敷カールまで向かいます。

Access バス→ロープウェイ 千畳敷カール

ロープウェイを降りてすぐ、広がる千畳敷カール。
ほぼエレベーターのようなロープウェイで、かなりの急斜をいっきに上ります。斜面を流れる滝をいくつも眺めながらあっという間に到着です。
辺りにはたくさんの方がいらっしゃって、登山をせずに千畳敷カールの散策にこられた方も多かったように思います。

私が着いた時は時間が遅かったこともあり(高速道路の集中工事にどんぴしゃり…泣)かなりガスっていたので、カールの眺望はうっすらぼんやりという感じでした。
が、今思えば、それで良かったかもしれません。いざ、千畳敷カールの麓から出発すると、なかなか急な斜面が続いていて、多少怖気づいてしまったかもしれないです。また、人も多く、すれ違い待ち渋滞が発生していて、なかなか思うように登れませんでした。

ただ、標高が上がるにつれて、山は山の顔になります。鋭利な石がゴロゴロと転がっており、集中しながら登ること、約1時間。

今回テント泊する「宝剣山荘」に到着です。 

Base 宝剣山荘

木曾駒ケ岳が今回のメイン山でしたが、私たちは宝剣山荘を選びました。
頂上山荘のテント場が先着制で場所取りが厳しそうなのと、季節柄なかなかの混雑が見込まれたからです。なにせ初のテント泊だったので、予約制で区画が確保されている宝剣山荘を選びました。

遅めの出発だったので、着いたのは大体15時くらい。まずはテントを張ります。ああ、重かったザックからの解放です。荷物については、また別の記事で語りたいと思いますが、テント泊の荷物はなんて重いんでしょう!(笑)

とはいえ、何度も家や公園で練習をしたテントを張れるのはやっぱり嬉しい! 実際は若干の傾斜や大石が入ってペグが入らないとか、そんなこんながありましたが、今日の寝床の完成です。

今日のマイホーム!

Night 夕日から一日の終わりへ

西日で色づいてきた景色を眺めるべく出発。宝剣山荘からすぐなので、簡単な荷物をまとめて登ります。この時間になると、ほぼ泊まりの方で、山荘の辺りは和やかな雰囲気が流れていました。

山に登れば尚更のこと。喧騒から離れ、静かに流れる刻を感じます。
ゴツゴツとした岩道を抜けると中岳頂上に。
奥には頂上山荘のカラフルなテント群とその先に佇む木曾駒ケ岳。
振り返れば迫力抜群の宝剣山。
ついにここまで来たんだという充足感で満ちていました。

テント場に降りて、レトルトのカレーライスを食べ、夕日を待ちます。
なかなかの雲があり、今日は無理かもと諦めかけましたが…月です。
凛とした三日月が、空に現れました。
それから、不思議なことにさーっと上の雲が晴れていきます。
そこで見えた景色。なんということでしょう。

青から茜、そして夜色へ。

薄い光が神秘的な雰囲気を帯びます。

陽が沈むまで、雲が再びやってくるまでの時間。ずっと眺めていました。
もう同じ表情はきっとしないんだろうなと、そんなことを想いながら。

そして、楽しみにしていた星。
予報ではなかなか厳しそうでしたが、運がいいことに、こちらも満天の宙を見せてくれました。一つ見えたかと思えば、雲が流れていきます。
よくよく見て見ると、星雲が。天の川です。

岩の上で横になりながら眺めていたのですが、そこから見える景色も、今、自分がそうしている状況も、なんだか嘘みたいに、ふわふわとしたような感覚を覚えていました。

前回の燕岳山荘泊では夕立&体力の限界で夜は寝切っていましたが、今回はテント泊。一日の終わりから始まりまで、自然の中で過ごすのです。それが不思議で、叶ったことも幸福でならないし、全てに圧倒されていました。

まだ19時。外はもう夜です。辺りは月と星と、各々のテントの明かりだけ。
いつも、この時間は何をしていたんだろう。
夜ご飯を食べたり…仕事?
なんか、変だと、そんな風に感じました。
上手く言葉にできないのですが、世界はもう眠ろうとしているのに、私たちは、まだまだ起きて、まだこれから何かをやろうとしているのです。
なんだかおかしく、大げさに文明は進んだなあと感じつつも、そんなにも人間はズレていたんだなあと感じました。

外で過ごす。スマホを見ない。宙を眺める。
それだけで、なんだか自然と眠くなります。
さあ、テントで就寝です。おやすみなさい、地球。

Day 2|伊那前岳~木曾駒ケ岳~千畳敷カール

Sunrise 伊那前岳山頂

テント場から景色を見ていると、東にひと際目立つ山がありました。
伊那前岳です。
遠くない距離にあり、稜線が続いていました。

「朝はあそこから迎えよう」

無名の山といっては大変失礼ですが、行けたらいいな、くらいに思っていた山でした。ただ、実際に見ると、自分の思い込みや偏見に気づかされるものです。まるで、朝日をいち早く眺めようと飛び出しているような山。
そこから見る朝日はどれほど綺麗なんでしょう。

日の出前、もうすでにやんわりと明るい空に起こされつつ、テントを出ます。その瞬間、思わず息を飲みました。

雲海です。

人生で初めて見ました。アルプスの上。日が現れないけれど、漏れ出る光に包まれて、雲が絨毯のように広がっています。そこから頭を出す山がちらほら。まるで天国のようです。

稜線を歩くので、終始感動しながら足を進めました。
どこを見ても良い景色。

山頂には誰もいませんでした。振り返ると、宝剣山や木曾駒ケ岳の頂上、テント場に人が集まっているのが見えます。
みんな、朝日を見るために、早起きした人たちです。

そして、その時は、ほどなくやってきました。

ご来光です。

その瞬間、思わず「きた!」と声がきました。
朝が来ました。朝は昇って来るのです。
目が覚めたら朝になっているのではなく、世界の朝はやって来る。
毎日変わらず、陽は落ちて、やがて昇って来る。

昨日の夜のはじまりと、今日の朝のはじまりを見て、この時になってやっと、何か「変だ」と感じていた理由も少し分かりました。

変というよりは、知っているだけで見ていなかったということ。
だから、最初は理解する、受け入れて消化することができませんでした。
見て初めて、ああ、こういうことかと実感できたのです。

大自然の中で人は本当にちっぽけです。
言葉にしてしまえば、よくある言葉なのですが、山登りをした人ならきっとわかってくれるはず。本当に小さいです。

だけど、頭の中で膨らむ想像は本当に大きくて、知らない世界や事実をわかったような気でいる。知ったかぶりだったのかと、思い知らされました。

雲が西からぐんぐんと山を追ってきて、また景色は変わりました。眼下にその様子を見ながら、まるで生き物のようだと感じました。
抗いようのない、大きな怪物が、地球をふわっと覆っていく様を上から眺めていると、もしかしたら、普段、目にしている天気予報や雨雲レーダーは、ものすごい事実を伝えているのではないかと思います。

簡単に雲が行き来しているように見えるけど、実際はこんなにも雄大で。
そして、知らない世界がまだまだ、まだまだある。
そのことに、もっと好奇心が芽生えました。

Main Mountain 木曾駒ケ岳

朝食を食べたら、メインの木曾駒ケ岳へ。
ここで私が感じたのは前述の通り、と言ってしまえば寂しいのですが、やっぱり山頂はどうしようもなく、視界が広いのです。

アルプスならでは。いろんな稜線や連峰を見渡せる。
私たちが山だ、自然だ!と思っていたのは、近くによれば壁のようだったり、あまりに道のりが長かったり。それが頂上ではひどく小さかったり。

木曾駒ケ岳は中央アルプスを代表する山です。
初心者ながら、そこに辿り着いたことに神社で感謝した後、下山をします。

「2,956m」

今、現在での私の人生最高到達地点です。

Goal 千畳敷カール

行きには見えなかった景色が広がっていました。
その名の通り千畳敷カール。

今回は無事に体力を上手く使いながら帰ってこれました。とはいえ、帰りのバスで爆睡しましたが…本当にいい経験でした。

これ以上のない景色はあるのかなと思ってしまうくらい、様々な表情が見えるのが、このコースと山の魅力かもしれません。

今回の山歩きまとめ

くどいようですが、本当に本当に、よかった。
何がよかったのかと言えば、総じて、挑戦してよかった。
そして、やはり、目で見て肌で感じることで、広すぎる世界を少し知れたような、当たり前をちゃんと理解できたような気がするのです。

私にはまだまだ知らない世界がある。
それが私の原動力になる。
広告みたいな綺麗事の意味を、本当に理解したいと思うし、実際にそれが存在するんだと、知ることができた濃密な2日前でした。

なんて言いながら、下山した翌日、普段通りの平日を迎える私です(笑)
また時間があったら、使用したものをまとめて更新したいと思います。

山もこれからあっと言う間に色づく頃ですね。
今度は紅葉を楽しみに、日々を頑張りたいと思います。

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