期待成果ばかりを求めていた。

年末年始の休暇を利用して、2023年の目標についてじっくりと考えていた。

まあ実際は、溜まっている原稿に着手するなど、いそいそと時間を費やしていたのだけど。MacBookをしまい、ペンを取り出してノートにやりたいことや抱負を記していたら、大事なことに気付いてしまった。

あれ、僕、期待成果ばかりを求めていないかと。

零細企業とはいえ、ひとりの経営者なのだから、数値を求めるのは大切なことだ。例えば「年商を5,000万円にしたい!」と掲げたとして、そこから日々の行動にブレイクダウンしたり、結果に関わるKPIなんかを定めたりするのはもちろんのことだけど。でも、それはあくまで机上の空論であって。もしかしたら僕にはそもそも能力が足りなくて、今のままでは年商5,000万円なんて達成できないかもしれない。

また、僕はいずれ、会社名義の出版物を刊行したいと思っている。

1冊の本を作る。質を求めなければ、そしてお金の問題さえクリアになっていれば、わりとすぐに本を出版できるはずだ。あまり考えすぎずに、勢いで出版するというのもアリかもしれない。

だけど、今の能力のままで、本当に理想の出版ができるだろうか。

そう考えると、足りない能力が多々あることが分かってくる。出版業界に関する知識もないし、売れるデザインや本のネーミングに関する知識や経験値も足りない。そもそも誰にどうやって執筆を依頼するのか、そしてそれをいかに「売れる」本にするのかのノウハウさえない。

誰だって、「最初」というものはあるから、完璧な状態でスタートできるわけはない。そんなのは分かっているけれど、「それにしても」ってやつだ。

多くの企業の人事制度を構築した経験を持つ、ENTOENTO代表・松本順市さんは著書の中で、優秀な社員の成長要素は4つに分解されると記している。

「成果を上げている」(期待成果)
「成果を上げるための重要業務をやっている」(重要業務)
「重要業務を遂行するための知識・技術を習得している」(知識・技術)
「勤務態度を守っている」(勤務態度)

考えてみれば当たり前のことだけど、大学を卒業したばかりの新入社員の多くは、「売上を立てる」といった期待成果をあげることは難しい。商材が決まっているものであればまだしも、商材が無形のものだったり、新規事業に関わるものだったりしたときに、「まぐれ」以外で継続して成果を上げ続けることは困難だ。(可能性はゼロじゃないけれど、組織全体として再現性のある取り組みとして、期待成果を上げ続けるような仕組みを最初から作るのは難しいだろう)

だから一般的に、新入社員には「締め切りを守ろう」とか「ちゃんと報連相しよう」とか「明るく挨拶をする」とか、そういった勤務態度を評価する仕組みになっていることが多い。「なぜ明るく挨拶をするのか」といえば、それが同僚や取引先、顧客に対する印象度につながるからだ。上っ面でセールストークだけ学んでいても、きちんとした挨拶ができなければ、だんだんと顧客からそっぽを向かれてしまう。「明るく挨拶をする」が当たり前となった社員の方が、長期的には成果をあげやすいというのは、ある意味当然のことなのだ。

ちょっと脇道に逸れたけれど、自分のことを顧みたときに「お前は挨拶ちゃんとできてるの?」ということを問い直さないといけないと思っている。勤務態度のような、コンピテンシーに関わることはできていたとしても、じゃあ編集やメディア業務に関する知識や技術があるかといえば、「まだまだ」と言わざるをえない。全然できていないわけではなく、足りないところがたくさんあるのだ。それでいて、「100万冊売れるようなベストセラー書籍を刊行したい」とか「年間1,000万PVのメディアをつくる」とか、笑っちゃうような非現実な目標だと言えるだろう。

でも、今日の今日まで、そんな感じで目標設定(抱負)を作ろうとしていた。

幸いなことに、僕は所属してきた3社において、しっかりとした人事制度が構築されている環境だった。人事制度にしっかりとコストをかけ、それが正しく運用されていたかどうかはともかく、しっかりとした意図のある人事制度を作ろうと経営陣は試みていたのだ。

その経験を、蔑ろにするのは、あまりにもったいない。

新年の目標も、こうした考え方を取り入れながら、現実的なプロセスを踏みつつ目標達成を目指すべきだろう。

ということで、もうちょっと頭を捻りつつ、1月中旬には「2023年の目標」を定めようと思います。プロセス、超大事。

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