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未来のヒントは、日々の営みの中にある

慶應義塾常任理事 / 総合政策学部教授の國領二郎さんが「切羽詰まるとイノベーションが起こる話」というブログを書いていた。

タンボラ火山の噴火で馬が減り発明された自転車、第二次世界大戦で娯楽がない中で生み出されたラジオなどを例に出し、閉塞感や危機感などマイナスの状態が契機となり新しいもの=イノベーションが生まれるという内容だ。

技術革新がイノベーションに寄与するのに異論はないが、それだけでは不十分で。PEST分析というフレームワークの通り、Politics、Economy、Society、Technologyの状況を総合的に読み解かないと、未来予測の正確性が低くなる。

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このブログで印象的だったのは、61歳になる國領二郎さんが今もなお「教えてもらう」きっかけを大切にし、日々セレンディピティを求めている点だ。

61年も生きたのだが、毎日知らないこととの遭遇の連続で飽きることがない。今日も原因不明でパンクした自転車のタイヤの修理に行って、自転車屋のお兄さんと原因を一緒に考えているうちにタイヤの構造についていろいろ教えてもらった。知らないことだらけだった。
(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)「切羽詰まるとイノベーションが起こる話|常任理事/総合政策学部教授 國領 二郎」より引用)

パンク修理に出掛けても、普通の人なら「いつまでに直るか」「修理費はどれくらいか」を確認するに留まるだろう。「どの部分がパンクの原因なのか」を聞くくらいで終わるだろう。

そこを突っ込んでコミュニケーションを取った國領さんの知的好奇心の高さよ。

もちろんタイヤの構造を知ったところで何なんだ?というツッコミはあるだろう。

だけど國領さんだったら、タイヤの構造とネットワークの複雑系を結びつけ、アフターコロナの新しい組織アーキテクチャや創発の仕組みについて想像を巡らせているかもしれない。

それは、スティーブ・ジョブズさんの有名なスピーチ「Connecting the dots」(過去何か得た知識は、現在学んでいる様々な知識や経験と結びつき、新たな試みに繋がるかもしれない)とも共通する。

日々忙しく仕事や生活に追われていると、新しい知識のキャッチアップは疎かになる。仕事で「使わない」知識は、雑学と呼ばれ軽視される傾向にすらあるように思う。

だけど、未来のヒントはそういった雑学の中にこそあるのかもしれない。

心に余裕を持ち、視野を広げる。他者の話をきちんと聴く。

誰にでもできる日々の積み重ねが、フューチャーズ・リテラシーの差に繋がっていくのかもしれない。

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