児童手当は全額、貯蓄に回すべきなのか

毎日新聞で「人生に必要な「おカネの設計」」と題して、子どもの教育費に関する記事が掲載されていた。

「大学へ 1000万円貯蓄が目標」という、なかなか痺れる見出しのもと、ファイナンシャルプランナー・岩城みずほさんが解説していた。

もちろん現実に即した内容を掲載すべきなのだが、僕のモヤモヤは止まらなかった。特に以下のくだり。

一つ目は児童手当を全額ためていくことです。政府は2024年10月分から児童手当の所得制限を撤廃し、現在の中学生までの支給対象を高校生(18歳)までに拡充します。第2子までは1人当たり少なくとも約230万円となる計算です。国立大学であれば約4年分の授業料を賄える金額です。

まあ、気持ちは分かるし、実際そうしている人も多いのだろう。だが児童手当というのは、「児童手当は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している方に児童手当を支給することで、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的としてい」るものであり、それが大学入学を見据えて貯金するものではない。まして余ったものを老後資金に充てるものでもないわけだ。

そういった正論と、実際のノウハウの間には乖離があるのは理解できる。

だけど、だからこそのモヤモヤを処理できずにいるわけだ。

教育資金、大学のために使うのはもちろん必要なことかもしれないけれど、今、目の前の子どもたちに「体験」として提示できることもあるのではないだろうか。

今井悠介さんの著書『体験格差』を読んだ直後だからこそ、そう思う。

大学に向けて1,000万円必要な社会というのが、そもそも社会設計としておかしい気がしてならない。やっぱり全ては政治につながっていくのだなあと。東京都都知事選、決戦の日は、刻一刻と近付いている。

記事をお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただくのも嬉しいですが、noteを感想付きでシェアいただけるのも感激してしまいます。