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先生、あれって、どういう意味?

「君は先生になるといいと思いますよ」 

 夕方の教室。二者面談。
安藤先生は開口一番にそう言った。

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安藤先生は不思議な雰囲気がある。
イメージで言うと、相棒の右京さんと堺雅人を足して2で割ったよう感じ。何を考えているかわからない。常にうすら笑顔。物腰は柔らかいのだが学生には敬語。メガネ。白衣。背が小さい。担当教科は国語。理科っぽい白衣なのに、国語。

当時中学1年生の僕には、突然なぜ先生がそんなことを言ったのかわからなかった。 だって、僕は授業中前後ろの席のやつとおしゃべりばかりして、授業なんてろくに聞いてないようなやつだよ?

そんな様子なので、学校イチ性格がおっとりしている英語の先生に、テストの答案とともに、丁寧なお手紙をもらった。

「お願いですから授業中は静かにしてください」

はじめての注意のされ方だった。
気の弱い先生に無理をさせてしまった。
きっとこのことは担任の安藤先生の耳にも入っていることだろう。
成績もそれに伴って丸々落ちていっているという逃れようのない事実もある。

安藤先生の敬語は、怒るときにはめちゃくちゃ怖い。詰められてい感じがするから。今日の二者面談は、それについて話をされると思っていたのに。


先生になるといい?え?

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僕は全力で否定した。
「いや、僕には向いてないですよ」

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