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最近なにみた?~ホリプロ舞台制作セクション・海外業務担当D編~

ホリプロの舞台制作セクション・公演事業部で働くスタッフの【舞台以外で最近みたもの・面白かったもの】を本人に自由に書いてもらい紹介するコーナーです。

今回紹介してくれるのは海外業務担当のDさん。海外とのやり取りが多い我が部署で、その要となるさまざまな業務を担当しています。同時にお笑いにハンパなく詳しいのですが(こちらもそのうち語っていただきたい)、今回は同じくらい好きだというとあるジャンルをご紹介いただきました。

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初めて観た舞台は小学二年生の時のミュージカル『アニー』。アニーの一員になることに憧れるものの、幼いながらすぐに自分の音感のなさに気づき、夢破れました(笑)。以来、座右の銘は「無知の知」です。

そんな私ですが、長年のホラー映画ファンであり、面白そうなものはZ級、A級問わず、観ております。そんな私が近年「これは怖い!(そして面白い!)」と思ったものを2本紹介させて頂きたいと思います。ちなみ両作品とも間違いなくA級です。

1.『聖なる鹿殺し The Killing of a Scared Deer』(監督・脚本:ヨルゴス・ランティモス)

美しい妻、娘、息子の4人で、豪邸で暮らしている心臓外科医のスティーブン。彼は時おり、マーティンという十代の少年と会い、プレゼントをしたり、食事をしたりしている。マーティンの父親は数年前に交通事故にあい、スティーブンのもとに運ばれてきたが、手術の甲斐なく命を落としてしまっていた。以来、スティーブンは何かとマーティンを気にかけていたが、マーティンとの距離が近づくにつれ、スティーブン一家は次々と不幸に見舞われていく。

と言った内容なのですが、本作はとにかく終始不穏な空気に包まれています。映像も登場人物たちも美しいのですが、家族が平和に暮らしているはずの最初の方のシーンでも何かおかしいと観ている者の心をザワつかせます。
そして何とも不気味なオーラを放っているのが、マーティン役のバリー・コーガン。マーティンは一度も声を荒げたり、暴力を振るったりすることはないのですが、それがより一層、彼の恐ろしさを際立たせている。
本作の軸となっているのは人間のエゴ。見終わった後も心がザワザワとします。考察したいところもあり、再度見直したいのですが、観るのになかなかエネルギーがいるので、まだ一度しか観られていません。

2.『アス Us』(監督・脚本:ジョーダン・ピール)

幼い頃に家族と共にリゾート地にある遊園地を訪れたアデレードは、一人ミラーハウスへ迷い混んでしまい、そこで自分と瓜二つの少女と出会う。ショックで気を失ったアデレードはその後、数年に渡り、失語症を患う。そんなアデレードも病気を克服し、無事大人になり、夫と2人の子供と共にくだんのリゾート地へ休暇で訪れる。ビーチで楽しく過ごした一家だったが、別荘へ戻ると、そこには自分たちと「そっくり」の家族がいて、いきなり襲われる。

自分たちに「そっくり」の家族だが、それはあくまで外見だけで、中身はまったく違って狂暴。そっくり一家の目的はアデレードたちを殺して自分たちがそのポジションにつくということだが、彼らの正体が分かると、一概に彼らを責められないという気持ちになる。(『聖なる鹿殺し』も『アス』も見終わった後にどちらが正義でどちらが悪か分からなくなります。)
『アス(Us)』という題名は「私たち」の他に「アメリカ(United States)」という意味も込められているということです。つまり本作は現代アメリカ社会の縮図。
監督のジョーダン・ピールはコメディアンということもあって、随所にユーモアが散りばめられているので、重いテーマでありながら、気負わずに観られます。

ヨルゴス・ランティモス監督の『籠の中の乙女』、ジョーダン・ピール監督の『ゲットアウト』もかなりお勧めです!



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