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【読んでみたい本】『情報の歴史』

はじめに

1990年に初版、1996年に増補版を刊行後、長らく絶版になっていた『情報の歴史』の再増補版『情報の歴史21–象形文字から仮想現実まで』が2021年4月に刊行されました。
(監修:松岡正剛 構成:編集工学研究所&イシス編集学校)
1995年までの紙面はそのまま再録し、1996年〜2020年にいたる25年分の年表、そして”情報の文明”と銘打った解説文とダイアグラムを追加。
巻頭には、監修者・松岡正剛による序文 “人新世に突入した「情報の歴史」の光景” が収録されているようです。

情報の歴史21』公式サイト

■目次

1 情報の記録 BC6000以前~BC600

われわれはどのように情報を記録し、伝達しはじめたのか。 

2 情報の分岐 BC600~999

経典と写本と図書館が、古代世界のデータベースを準備する。

3 情報と物語 1000~1599

航海術と印刷術は、情報文化の表現を多様に変えていく。

4 技術と情報 1600~1839

産業革命が社会と技術を近づけ、人々の世界観を変質させる。

5 情報の拡大 1840~1899

資本と労働が対立し、世界は激しい情報の多様化をおこす。

6 戦争と情報 1900~1939

宗教は後退し、資本の矛盾が情報文化に辛い試練を迫る。

7 情報の文化 1940~1989

環境危機をかかえたグローバル・コミュニケーションの時代へ。

8 情報の文明 1990〜2029

情報の多様化、大量化、高速化が築く新たな文明の姿。

『情報の歴史21』序文より冒頭一部要約いま、人類は新型コロナウイルスという特異な情報体に大いに惑わされている。とはいえ、ウイルスが突如出現したわけではない。ウイルスは人類が登場するはるか昔から、地球上の「生命情報の歴史」の一員であった。
ホモ・サピエンスの出現とともにスタートしたのが「文明情報の歴史」である。
大河の周辺で育まれた古代文明から、文字や楽譜や建物といった文明情報があらわれ、人類はそれらを使って物語や音楽や絵画を表象しはじめる。古代宗教が登場すると、天国や浄土や楽園や地獄といった「想像上のもうひとつの世界=ヴァーチャルランド」が用意され、中世になって道路や市場や学校が誕生すると、「精神の価値」や「物品の価格」によって文明の成果を享受するように発展していく。
それでも農耕や牧畜や漁労による自然界との交流は続いていたが、産業革命あたりをさかいに、動力が機械や電機や電子に代行され、人々は人工的な道具立てのなかで「便利」で「経済的」な日々をおくるようになり、それこそが「進歩的である」と思うようになった。
そこから、資本主義は欲望と競争を連続的に起爆させていった。アスファルトが敷かれ、電線が張りめぐらされ、自動車が走りまわり、いよいよ文明が自然環境を大きく変質させていく。

編集工学研究所/公式サイト

『情報の歴史』編集の特徴

『知の編集術』松岡正剛 著
講談社現代新書 (2000.01.20.)

情報を年表や図表にする
1) 国別や項目別の縦割りすることをやめる
2) トラック毎に情報の流れの特徴が出るようにする
3) 年表の中に大小のヘッドライト(見出し)を入れる。
『知の編集術』p.145より

2023.03.19.