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『君たちはどう生きるか』 ①〜②


はじめに 

コペル君は、中学2年生。
本名は、本田潤一。
背丈は 低いほうで、コペル君も、かなり気にしていました。
ところが、成績は上位で1番〜3番の成績でした。
しかし、コペル君は点取虫のガリ勉ではありませんでした。
野球では、クラスの選手で二塁を守っていました。
成績は上位で、運動も出来るコペル君は、これまでクラスの級長になった事がありません。
理由は、少々 悪戯が過ぎるからなのです。
コペル君の悪戯は、人を困らせたり、嫌がらせのような、ひねくれたものではなく、人を笑わせて喜ぶ無邪気なものでした。

『君たちはどう生きるか』
吉野源三郎 著
マガジンハウス (2017.08.24.)

なぜコペル君か

コペル君のお父さんは、2年ばかり前に亡くなりました。
その後、郊外の小ぢんまりした家に引っ越し、お母さんとコペル君、婆やと女中さんの4人で暮らしています。
近所には、叔父さん(お母さんの弟)が住んでいて、ちょくちょく訪ねてきます。
コペル君も、よく叔父さんの家に遊びに行きます。

1) コペル君のあだ名のいわれ

コペル君は、デパートの屋上から銀座の街を見下ろし、動いている車がカブト虫のように見えた。
それを見たコペル君は「何か大きな渦の中に漂っているような気持になり、人間って分子のようだ」と感じた。p.21
そのとき、叔父さんからコペルニクスの話を聞き、自分の見方が変わるきっかけになる。

ものの見方「おじさんのNote」より
pp.28〜32.
コペルニクスのように、自分達の地球が広い宇宙の中の天体として、その中を動いていると考えるか?それとも、自分達の地球が宇宙の中心にドッカリと座り込んでいると考えるか?
子供のうちは、みんな自分中心にマトメ上げられている。
大人になるに連れ、世間と云うものを先に考え、いろいろな物事を理解するようになる。pp.30〜31.

2) 真実の経験

コペル君は、クラスでいじめられている友達のハンスを助けると約束するが、いざとなると見て見ぬふりをしてしまう。その後、ハンスがいじめに耐えて勉強に励んでいることを知り、自分の弱さを恥じる。

おじさんのNoteより
pp.56〜65.
学校の成績は良い方が良いに決まっている。行儀の悪いのは困る。
世間に出たら、人から指一本さされない生活をしてもらいたい。
それだけが肝心な事ではない。
その前に、もっともっと大事な事がある。p.62

3) 本当の発見とは

コペル君は、ニュートンが万有引力の法則を発見した話を聞き、自分も何か発見したいと思う。
そこで、オーストラリア産の粉ミルクの缶詰に目をつけ、世界中に広がる生産関係に気づく。

「人間分子の関係、網の目の法則」
≒ 生産関係

おじさんのNoteより
pp.97〜106.
君のお母さんは、君のために何かをしても、それに対する報酬を欲しがりはしない。
君のために尽くしていると云う事が、そのままお母さんの喜びだ。
君にしても、仲の良い友達に何かをしてあげられれば、それだけで十分うれしいではないか。p.106

4) 貧しき友

コペル君は、貧乏な家庭で家業を手伝っている友達のタケシに会いに行く。
タケシは学校に行けないことを悔やんでおり、コペル君は自分の恵まれた環境に感謝する。
叔父さんは、貧富によって人間の価値を判断しないことを教える。

おじさんのNoteより
pp.136〜152.
貧富によって人間の価値を判断しないことを教える。p.139

5) ナポレオンと四人の少年

1799年から1815年までの、いわゆる「ナポレオン戦争」は、イギリス、イタリア、オーストリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、ロシア、さらにそれらの植民地を含む広範な地域を戦禍に巻き込み、350万~500万人の犠牲者(戦死だけでなく、怪我、飢餓、疫病、低体温症を主因とした死も含む)を出した。
コペル君は、ナポレオンが偉大な人物だったかどうかを考える。
叔父さんは、ナポレオンが人類の進歩に役立った時期とそうでなかった時期があったことを説明し、偉大な人物とは人類の進歩に貢献した人だと教える。
また『人類の進歩に尽くした人々』と云う本を読むことを薦める。
pp.153〜206.

古本夜話

②へ続く

2024.02.24.
2024.03.06. 加筆修正