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『社会的共通資本』を読む ①


はじめに

資本主義と 社会主義と云う2つの経済体制の対立・相克(そうこく)が、世界の平和を脅かし、数々の悲惨な結果を生み出している。
この混乱と混迷を越えて次の世代に展望を開こうとする考え方が「社会的共通資本」です。
※ 相克:対立するものが互いに相手に勝とうと争うこと。

『社会的共通資本』宇沢弘文 著
岩波新書 (2000.11.20.)

第1章 社会的共通資本の考え方

『社会的共通資本』とは
① 自然環境(大気・水・森林・河川・湖沼・海洋・沿岸湿地帯・土壌 など)
② 社会的インフラストラクチャー(道路・交通機関・上下水道・電力・ガスなど)
③ 制度資本(教育・医療・金融・司法・行政など)
以上の3つの範疇にわけてあります。
序章 p.5より

第2章 農業と農村

農の営み
自然と共存しながら私達に必要な食糧を生産し、衣料や住居をつくるために必要な原材料を供給する。
価格は、資本主義的な市場制度において形成される→価格体系 
農業に働く人々が、自らの人格を維持しながら、自然の中で自由に生きる(活きる)ことが可能になる。
自然環境の維持:水田耕作→保水機能
メタンの発生を最小限に抑える 
林業
森林の保全・維持 

社会的共通資本としての農業
そこに働く人々を総体として捉え、農業で育った若者が、都市で育った若者と絶えず接触し、優れた文化的・人間的な条件をつくり出す必要がある。

村の「社」について
「社」英語のCommons
「社」とは、もともと土を耕すと云う意味があります。
それが「耕作の神」「土地の神」を意味し「社」は村の中心となり、村人達は「社」に集まって相談事や重要な事を決めるようになっていきます。
そして「社」は、人々の集まりや組織(集団)を指すようになったと言われています。
農家五十戸をもって「社」となす。
「Commons」を考える
Commonsの管理は、そこを構成する人々(集団)からの信託で管理される。

「日本の例」
感慨溜池 森林の入会 漁業協同組合など

近代日本の農
工業と同じように農を経済的・経営的な単位と考え、労働の成果に市場経済的な競争原理を導入した。
結果、農機具や農薬の購入について、農業生産に係る損失補塡と考えるようになった。
また、農業以外に収入源を求める第二種兼業農家の割合が高くなっていった。

農村の最適な規模を考える
仮に人口比率で、20%で考える。
農業に従事するために、経済的・社会的・文化的な環境を整備する。
つまり、農村をひとつの社会的共通な資本と考えCommonsを形成する。

第3章 都市

社会的共通資本としての都市
ある限定された地域に、数多くの人々が居住し、働き、生計を立てるために必要な所得を得る場。且つ、文化の創造を計っていく場です。

二十世紀の「都市」
合理的 且つ 最大限に機能化された幾何学的・抽象的な美しさを持つ。
高層建築の建物 (オフィスや住宅)
商店街を始め、学校・病院・図書館・美術館・コンサートホールなどの文化施設や公園が計画的に配置されている。
すべての建物や施設には、自動車で直接的にアプローチ出来る。

『自動車の社会的費用』

自動車との関連で、現代の都市論に大きな影響を与えたジェイン•ジェイコブズ。
都市の多様性を生み出す原則として
① 街路の幅は出来るだけ狹く曲がって、1つのブロックの長さは短いほうが望ましい。
② 再開発に際し、旧い建物が出来るだけ多く残るように配慮する。
③ 都市の地区には、2つないし それ以上の機能がある。
④ 都市には人口密度を高くするように計画されなければならない。
以上の4つを挙げています。

ジェイン•ジェイコブズの都市理念に基づく都市の形態、特に公共交通機関の果たす役割が注目される。   

道路の幅が広くなく、曲がっている。
T字路を基本としている。
歩行者が自動車に依り、直接的に通行の影響を受けないように、街路樹などにより適当に遮断されている。
つまり、人間的な "まち" をつくろうとしている。

ル•コルビュジエの「輝ける都市」とは対象的である。

最後に、ジェイン•ジェイコブズの『発展する地域 衰退する地域』を紹介します。

『発展する地域 衰退する地域』
ジェイン•ジェイコブズ 著
中村達也 訳
ちくま学芸文庫 (2012.11.10.)

【「地方都市のこれから」を考える】

ジェイコブズの主張
都市の多様性
第9章 なぜ後進都市は互いを必要とし合うのか

023.11.18.
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