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Read Roughly『土と内臓』

読もうと思った きっかけ

ONLINE読書会で、参加者の方から紹介があった本。

『土と内臓』
デイビッド・モントゴメリー & アン・ビクレー
[共著]
 片岡 夏実 [訳]
築地書館 2016年11月刊行

本書は、健康な土壌の中に棲む微生物と、健康な腸の中に棲む微生物を結びつけ、体験談と科学的な記述を巧みに織り交ぜている。
エイミー•スチュワート
『The Drunken Botanist』著者
日本語タイトル『酔った植物学者』
世界の素晴らしい飲み物を作る植物
アルゴンキンブックス2013年

【築地書館HP】

【ブックレビューより】

肥満、アレルギー、コメ、ジャガイモ
みんな微生物が作り出していた!
植物の根と、人の内臓は、豊かな微生物生態圏の中で、同じ働き方をしている。
マイクロバイオーム研究で解き明かされた人体での驚くべき微生物の働きと、土壌根圏での微生物相の働きによる豊かな農業とガーデニング。
農地と私たちの内臓にすむ微生物への、医学、農学による無差別攻撃の正当性を疑い、地質学者と生物学者が微生物研究と人間の歴史を振り返る。
微生物理解によって、たべもの、医療、私達自身の体への見方が変わる本。

【はじめに】

デイビッド・モントゴメリー と アン・ビクレー夫妻の発見があった。
新居の土壌改良をする中で「コーヒーの出がらしのような有機物が、どのようにして こんなにも早く生命(いのち)を花開かせることが出来たのか。と云う単純な疑問から。

ほどなくして わかったのは、微小な土壌生物が有機物を噛み砕いて、新しく成長する植物のためにさまざまな栄養へと変えていたと云うこと。pⅰⅰ
【問題解決】
土壌の枯渇や破壊を防ぎながら、どのように食料を生産するか。
Point:地下の微生物を育てること。p.ⅰⅰ

微生物が植物と人間の健康維持に果たす共通した役割に興味をそそられた。p.ⅰⅰⅰ

【生命の車輪を回す】

土壌改良:炭素が豊富な、木材チップや落ち葉 30に対して、窒素を多く含む珈琲カス1の割合で調合する。
正確な割合は、さほど重要ではなく炭素より窒素を多く配合する。
次に、堆肥中の有益な微生物を培養して土壌に加える。
そして、土の中にミミズの群れを見つけた。
やがて、低木と草花が育つと、花粉を媒介する昆虫たちがやってきた。
「自然界の隠れた生き物の存在」
本文 pp.1〜23.

【どこにでもいる微生物】

微生物:肉眼では見えない、1/10 未満のもの
代表的な微生物:大腸菌 (2ミクロン)
1000分の2ミリ

【(日本微生物生態学会公式サイト】

微生物の肖像 p.26
古細菌 細菌 菌類 ウイルス 原生生物
生物の大きさ p.41
肉眼で見えないものから、数十メートルのものまで。
新しい生命の樹 p.57
細菌 古細菌 真核生物
微生物の融合 p.69
第1の融合 古細菌と遊泳細菌 約20億年前
第2の融合 約12億年前
第3の融合 約9億年前
現在 動物 菌類 植物
本文 pp.24〜76.

【土壌】

土の中の後光 p.121
植物は、土の中に栄養豊富な滲出液を分泌し、有益な微生物を引き寄せる。
地下の循環経済 p.131
菌類と細菌は、植物の湧出液を消費し、見返りとして植物の成長と健康に必要な栄養と代謝物をあたえる。
本文 pp.77〜164.

【体内の自然】

抗生物質が出来る前は、感染と感染症は人類にとって最大の驚異だった。p.167
コッホとパスツール 
pp.217〜241.
大腸
pp.242〜262.
炭水化物
pp.263〜283.
消化器官
pp.284〜312.

【おわりに】

土壌の健康と人間の健康
微生物が土壌の健康と人間の健康の両方に果たす役割が、明らかになった。
共生関係 symbiosis
腸と共に生きる p.321
私たちの足元深く、そして私たちの身体全体に「自然」という大きな木が、生きた根を下ろしている。p.326
本文 pp.313〜326.

【訳者あとがき】

原題『The Hidden Half Native』
「隠された自然の半分」

腸内細菌(ちょうないさいきん)とは、ヒトや動物の腸の内部に生息している細菌のことです。
ヒトでは、種類は500~1000とも約3万とも言われ、概数についても大腸40兆・小腸1兆、総重量は1.5kg-2kgと言われています。
これらの細菌を全体として腸内細菌叢(腸内フローラ/symbiosis)と総称し、各細菌は相互および宿主であるヒトとの間の代謝物のやり取りなどを通じて複雑な生態系をなしています。
腸内細菌の重要性は、以前からも言われていましたが、さらに一歩進んで、細菌の多様性やバランスが注目されるようになったと云う事でしょう。
この本には、微生物と動物との共生関係。免疫との関わりなど、新しい知見までが、概観出来ます。

【関連図書】

『土の文明史』
デイビッド・モントゴメリー 著
片岡 夏実  訳
築地書館 2010年4月刊行

土が文明の寿命を決定する!
文明が衰退する原因は気候変動か、戦争か、疫病か?
古代文明から20世紀のアメリカまで、土から歴史を見ることで社会に大変動を引き起こす土と人類の関係を解き明かす。