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G線上のあなたと私 第7話 誰もが揺らぐ(登場人物をエリクソンのライフサイクル論に当てはめてみた)

どんなに大人になっても感情が揺らぐ時はありますよね。

原作との完全なる違い

理人が結愛からの好意を「気持ちには応えられません」ときっぱり断った時と、理人が也映子に「今はあなたのことが」って言った時に原作との完全なる違いを理解しましたよ。也映子の就職が決まるタイミングも原作より非常に速い。これまで原作との比較をしながら見てきたけれど、7話目にて覚悟が決まった。もう原作との比較は控える。原作も大好きだけどドラマ特有の詳細な設定もたまらなく好きだから。でも、原作で好きなびっくりドンキーのシーンがなさそうなのが少し寂しいな〜。

すれ違う2人

弓を渡す約束をしてカラオケで2週に渡りすれ違う也映子と理人。「あいつはどうせ唐揚げだろ」と也映子が注文しようとしたら理人から行けないメール。翌週は理人が唐揚げ食べて待っていると也映子から行けないメールが来る件が面白かった。2人の「何だよ」に会いたい気持ちがこもってた。

それぞれの課題

この作品は幅広い年齢層の登場人物が配置されていて、各年代特有の課題が散りばめられているのがずっと気になっていたのです。そこで、昔学んだエリクソンのライフサイクル論に登場人物を当てはめてみました。

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児童期:多実ちゃんは学校と塾で学び、友人との関係性を作りつつ勤勉性を身につけています。今回は幸恵が「多実に反抗期が来た!」と喜びを見せていたけど、反抗と思わせながら思いやりがあるええ子や…。

青年期:理人は実習を頑張り、眞於に「多少専門的なことが分かってる人間の方が話しやすいと思うから」なんて言葉も言える程、少しずつ自信を持ちながらなりたい自分へ進んでいる。アイデンティティの確立が進んでいるから特に今回は大人な発言が見られたのかも。

成人期前期:モラトリアム期間を過ごしていた也映子も就職が決定。「私には何もない」と思い悩む時期を抜け、アイデンティティを獲得して理人との親密性を少しずつ育んでいる。一方で、眞於は希望を失い孤立。親密性と孤立。ここの課題と危機が一番今回の内容に沿っていますね。

成人期後期:家族の世話して、年下の世代を励まし温かく見守る幸恵。この時期の課題は正に幸恵の姿に重なる。多実ちゃんが1人で帰り、義母は友人に送ってもらい「あれ、なんか自由?」と気づく幸恵の気持ちがよくわかる。誰かのための時間ばかりを過ごしていると、自由な時間が本当に貴重なものになるんだ。課題達成だけに人間は喜びを得るわけではないということを自分も年齢を経てわかってきた。

老年期:病気により不自由になった身体に絶望していた由実子は、家族、友人のサポートを得つつ自分の人生を楽しんでいる。多実ちゃんが「お母さんウザイ。自分で出来るよ!」と言っている時に見守る表情よかったなぁ。我儘に見えるけど「あなたも好きなことやればいいのよ」という言葉の裏にあるものが憎めないのよね。この年代になった時に、これまでの人生で積み上げてきた経験を統合して受け入れられたらいいけど、結構難しいよね…。


各期の課題と登場人物を繋げて考えてみましたが、今回は眞於と也映子が大きく揺らいでいましたね。でも、眞於が大人じゃないわけではない。也映子が就職して大人になったわけでもない。好きな人に後悔してほしくないという也映子の言動は大人に見えるけれど、実は素直に気持ちを言える方が大人なのではないかとも思う。

どの年代の誰もが何かあるたびに揺らいで、親密性を増したり孤独を感じたりする。その繰り返しに私達は共感するのかな。

(追記)自分が傷ついた「耳栓レベル」の言葉を也映子が「バンド名にしよっか」と軽く笑い飛ばした時の理人の表情!理人の情愛に満ちたまぶしそうな表情はこのドラマの宝ですな…。


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