見出し画像

G線上のあなたと私 第9話 人間力なめんな

人は何かを手に入れると、それを失うことへの恐怖を感じる。

想いを伝えあったその先

無事にお互いの気持ちを伝えることが出来た…!部屋に帰り、G線の切れたバイオリンを見ながらニヤける理人は可愛かった。「こんなのが私の彼氏ってアリ?」「はい。そのつもりですけど」のやり取りもよかった。だけど、自己完結型の也映子はやっぱり色々考える。原作の年齢差は6歳だけどドラマは8歳差と あえて年齢差を大きくしている。眞於の「8歳差、超越してくださいね」にあるように、女性が8歳上の関係というのはどうやら超越しなくてはならないものらしい。

偶然出会った時に「眞於先生」から「眞於さん」と呼び方をさりげなく変化させた也映子。同い年で婚約破棄された同士の2人が、先生と生徒の関係で終わるのではなく1対1の付き合いに変化した様子が見れて嬉しかった。

若さと女子力の呪い

月明かりに向かい「女子力降臨してくださーい」とパックしながら叫ぶ也映子。若さと女子力があることは価値があること。そんな刷り込みに覆われたこの社会で生きていると也映子のような心境になるのも無理がない。

肌がピチピチで張りがあるのは生命力の塊で美しい。これからどんな自分になるかわからない時期は眩しい。若いということは可能性が沢山ある。誰もがそんな時期を通り過ぎ、失敗や経験や喜びを重ねて深みが増すのだけれど、私自身にも若さと女子力への呪いは根深い。

悲しい予感

共に歩んでいきたい人が若さの塊で、いつか自分から離れて行くことを感じながら過ごす恐怖といったらない。思い出したのは逃げ恥の百合ちゃん。百合ちゃんも「いつかこの人は私から離れていくだろう」という予感を抱えながら風見さんと共に過ごす選択をした。

也映子の「あの人はこれからの人だから」「これから他の人と付き合うこともあるって気づいてない」という言葉は、失いたくない関係を手にした結果出てきたもの。手に入れてしまったからこそ、この幸福を失う不安から元の関係に戻ろうとしてしまう。

男性が年上の場合、この悲しい予感を感じることは少ないよね。(オードリーの若様は奥さんと結婚前に15歳差を気にして「嫌になったら逃げてね」と言っていたそうだが)そう考えると、社会とか人の考え方ひとつでこんな悩み感じる必要なくなるんじゃないのかな。年齢差を大きくした理由は、也映子と理人を通じてそのことを私達に問い掛けているのではなかろうか。

空と幸恵

頑張っているのに虚しさや空回りを感じることが多い幸恵。夫から気持ちに寄り添った言葉はなく、孤独で気持ちが折れそうなことが幸恵のシルエットに差し込む逆光が物語っている。家出後におでん屋で月を見上げる幸恵と心配する也映子が見上げた空。その空は繋がっている。そして本当は、幸恵は家族の太陽なんだよ。 

人間力なめんな

「バイオリンに戻らない?」と理人に伝える也映子。「一緒にいるのが楽しい。それだけじゃダメなの?」理人の考え方が実は一番正しい。女心や不安なんて、本当は投げ捨てられちゃえばいい。

本当の女子力ってきっと「1人になりたい」と言っている人の心の裏に寄り添い、駆け寄る力。女子だけにあるものではないと思うから「人間力なめんな」が今回のタイトルには相応しくない?年齢を超えた関係性や互いの思いやりが交差するのがこの物語の肝だもの。

「自分でもどうしようもないものと戦ってるから」「年齢とか関係ない」「胸に秘めてるものがあるんだよ」…答え出てるじゃないか、也映子。自分の人間力なめずに突き進んでくれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?